【照会要旨】

 当社は小売業を営む法人ですが、商品の発注は全てインターネットを通じて行っていることから、取引先から、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けています。仕入税額控除の要件を満たすためには、電磁的記録をどのような方法で保存すればよいですか。

【回答要旨】

 相手方から適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録による提供を受けた場合、仕入税額控除の適用を受けるためには、その電磁的記録を保存する必要があります(法30まる7まる9二)。
 提供を受けた電磁的記録をそのまま保存しようとするときには、以下の措置を講じる必要があります(令50まる1、規15の5)。

まる1 次のイからニのいずれかの措置を行うこと

イ タイムスタンプが付された適格請求書に係る電磁的記録を受領すること(受領した者がタイムスタンプを付す必要はありません。)(電帳規4まる1一)

ロ 次に掲げる方法のいずれかにより、タイムスタンプを付すとともに、その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと(電帳規4まる1二)

・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供を受けた後、速やかにタイムスタンプを付すこと

・ 適格請求書に係る電磁的記録の提供からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合において、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかにタイムスタンプを付すこと

ハ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について、次のいずれかの要件を満たす電子計算機処理システムを使用して適格請求書に係る電磁的記録の受領及びその電磁的記録を保存すること(電帳規4まる1三)

・ 訂正又は削除を行った場合には、その事実及び内容を確認することができること

・ 訂正又は削除することができないこと

ニ 適格請求書に係る電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと(電帳規4まる1四)

まる2 適格請求書に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム概要書の備付けを行うこと(電帳規2まる2一、4まる1

まる3 適格請求書に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと(電帳規2まる2二、4まる1)  

まる4 適格請求書に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと(電帳規2まる6六、4まる1

※ 国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、A及びBの要件が不要となります。また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者であるときは検索機能の全てが不要となります。

@ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件として設定できること

A 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること

B 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

 他方、提供を受けた適格請求書に係る電磁的記録を紙に印刷して保存しようとするときは、整然とした形式及び明瞭な状態で出力する必要があります(規15の5まる2)。

※ 電子帳簿保存法上の保存方法等については、国税庁ホームページ内の電子帳簿等保存制度特設サイトをご参照ください。

(注)令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次のとおり見直しが行われました。

・ 上記まる1ロの「その電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」は不要とされました。

・ 上記まる4の※書きについて、下線部分が変更されました。

※ 国税に関する法律の規定による電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは、A及びBの要件が不要となります。また、当該電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている場合で、かつ、その判定期間に係る基準期間における売上高が5,000万円以下の事業者であるとき又は国税に関する法律の規定による電磁的記録の出力書面(整然とした形及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の要求に応じることができるようにしているときは検索機能の全てが不要となります。

・ 上記まる4の根拠法令のうち、電子帳簿保存法施行規則第2条第6項第6号は同項第5号に改正されました。

【関係法令通達】

 消費税法第30条第7項、第9項、消費税法施行令第50条第1項、消費税法施行規則第15条の5、電子帳簿保存法施行規則第2条第2項、第6項第6号、第4条第1項

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。