【照会要旨】

 従業員等のうち単身赴任をしている者に対して支給する単身赴任手当等について、次のように支給する場合の金銭はそれぞれ仕入税額控除の対象となるのでしょうか。

(1) 単身赴任者に対し単身赴任手当として毎月一定額を支給する場合

(2) 単身赴任者が、帰宅するための旅費として月又は年を単位として支給する場合

【回答要旨】

 いずれの場合も仕入税額控除の対象とはなりません。

(理由)

(1) 単身赴任者に対し単身赴任手当として毎月一定額を支給する場合
 単身赴任手当は、家族と離れて生活することに伴い、そうでない勤務者に比し生活費等の負担が大きくなることに配意して、当該単身赴任者に対する給与等の補填として支給されるものと考えられ、所得税においても非課税所得に該当せず、給与所得として支払者においてこれに対する所得税額を源泉徴収すべきものとされています。
 したがって、当該事業者における単身赴任手当の支払は、給与等を対価とする役務の提供に対する支払であることから消費税の課税仕入れに係る支払対価には該当しません(法21十二)。

(2) 単身赴任者が、帰宅するための旅費として月又は年を単位として支給する場合
 消費税における出張旅費、宿泊費、日当は、その事業者が事業遂行のために必要な費用を旅行をした者を通じて支出しているものと認識し、その旅行に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱われているところです(基通11−6−4)。
 これに対し、質問の単身赴任者に支給される旅費は、職務の遂行に必要な旅行の費用として支給されるものとは認められず、また、その旅費は給与に該当するものであることからすると、(1)の単身赴任手当と同様の性格のものと考えられますから、これを支払う事業者においては課税仕入れに係る支払対価に該当しません。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第12号、消費税法基本通達11-6-4

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。