【照会要旨】

 当社は、商品の価格表示を従来の円建てに加えて、米ドル建てによる価格表示を行うこととし、米ドル建てによる商品販売を計画しています。
 このように外貨による商品販売を行った場合、消費税の課税標準はどのように計算するのでしょうか。

【回答要旨】

 照会のような外貨建取引の資産の譲渡等の対価の額は、消費税法基本通達10−1−7《外貨建取引に係る対価》において、所得税又は法人税の課税所得金額の計算において外貨建ての取引に係る売上金額その他の収入金額につき円換算して計上すべきこととされている金額によることとされています。
 また、外貨建取引の課税仕入れに係る支払対価の額についても、同様に所得税又は法人税の取扱いの例によることになります。
 外貨建ての取引金額の換算については、所得税については所得税基本通達57の3−1《いわゆる外貨建て円払いの取引》から57の3−7《国外で業務を行う者の損益計算書等に係る外貨建取引の換算》まで、法人税については法人税基本通達13の2−1−1《いわゆる外貨建て円払いの取引》から13の2−2−18《外貨建資産等の支払の日等につき繰延べ等があった場合の取扱い》までに規定されているところであり、このため、外貨建取引に係る課税資産の譲渡等の対価の額は、これらの規定の取扱いにより、円換算した金額によることとなります。
 また、課税仕入れに係る支払対価の額の円換算の方法も、これと同様の方法で行うことになります。
 したがって、外貨建てにより行った資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れに係る支払対価の額の円換算は、原則として事業者が資産の譲渡等を行った日の対顧客直物電信売買相場の仲値(T.T.M)によるものとされますが、継続適用を条件として、資産の譲渡等の対価の額についてはその計上する日の電信買相場(T.T.B)により、課税仕入れに係る支払対価の額についてはその計上する日の電信売相場(T.T.S)によることも認められることになります。

(注)

1 この場合の電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値は、原則として、その事業者の主たる取引金融機関のものによることとなります。ただし、事業者が、同一の方法により入手等をした合理的なものを継続して使用している場合には、それによることができることとされています(所得税基本通達57の3−2(注)1、法人税基本通達13の2−1−2(注)1)。

2 円換算に当たっては、継続適用を条件として、次のいずれかによることができるものとされています(所得税基本通達57の3−2(注)2、法人税基本通達13の2−1−2(注)2)。

(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値

(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値

 また、資産の譲渡等の対価として取得した外貨を円貨に交換することに伴って生じた為替差損益は、為替相場の変動に伴う損益であることから、原則として、資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れの支払対価の額に含まれず、課税の対象外(不課税)となります。

【関係法令通達】

 消費税法基本通達10-1-7

注記
 令和6年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。