【照会要旨】

 X社は、その代表者が所有する土地に借地権を設定し、その土地を事業の用に供していますが、Y市が実施する道路改良事業のため、その土地が収用されることとなり、X社とY市は権利消滅補償契約を締結し、Y市はX社に対して借地権を消滅させることに対する権利消滅補償金として1億円を支払うこととなりました。
 この場合、X社の借地権の消滅は、消費税法施行令第2条第2項《資産の譲渡等の範囲》の規定により対価を得て資産の譲渡を行ったものとなり、X社が受け取る権利消滅補償金は、非課税売上げとなるのでしょうか。

【回答要旨】

 消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等であり、「資産の譲渡」とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいうとされています。
 また、消費税法施行令第2条第2項では、土地収用法その他の法律の規定に基づいてその所有権その他の権利を収用され、かつ、その権利を取得する者からその権利の消滅に係る補償金を取得した場合には、対価を得て資産の譲渡を行ったものとするとされています。
 照会の場合、Y市(収用者)からX社に対して借地権の消滅に係る補償金として権利消滅補償金が支払われていますが、Y市は、収用に係る土地の借地権を消滅させ、その土地の権利関係を清算した上で収用するものですから、収用に係る土地の所有権そのものを取得するものであって、その借地権を取得するものではありません。
 したがって、照会の土地の収用に伴う借地権の消滅は、Y市がその収用に係る土地の借地権を取得するものではないことから、資産の譲渡に該当せず、また、消費税法施行令第2条第2項に規定する場合にも該当しないことから、X社がY市から受け取る権利消滅補償金は、資産の譲渡等の対価の額に該当しません(非課税売上げとなりません)。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第8号、第4条第1項、消費税法施行令第2条第2項、消費税法基本通達5-2-1、5-2-10

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。