【照会要旨】

 事業者が行う土地信託に係る取引の消費税の取扱いで、例えば、土地信託契約の中でも一般的な賃貸型土地信託に係る消費税の取扱いは、どのようになりますか。
 なお、賃貸型土地信託とは、信託された土地の上に借入金等により建物を建築し、その賃貸による収益を受益者に信託配当金として交付する信託契約をいいます。

【回答要旨】

(1) 信託の規定による委託者から受託者への信託財産の移転は、資産の譲渡等に該当しません。
 ただし、信託の設定により取得した信託受益権を他に譲渡した場合には、受益者が信託受益権の目的となっている信託財産の構成物の全部を一括して譲渡したものとして取り扱われるので、その譲渡等の対価の額を課税資産と非課税資産とに合理的に区分する必要があります。

(2) 借入金等により建物を建築した場合には、受益者が当該建物を取得したことになりますので、受益者の課税仕入れに該当します。

(3) 信託財産となった建物を賃貸した場合の賃貸料収入は受益者の課税売上げとなります(ただし、住宅の貸付けに係るものは非課税となります。)。

(4) 信託財産から支出される販売費、一般管理費等は個々の内容により、課税、非課税及び不課税取引に区分し、その結果課税取引となるものについては、受益者の課税仕入れに該当します。

(5) 信託期間中に受託者から受益者に交付される信託配当金は、資産の譲渡等の対価として受領したものではありませんから、課税関係は生じません。

(6) 信託の終了に伴い受託者から受益者への信託財産の移転は、資産の取得等に該当しないので、課税関係は生じません。

【関係法令通達】

 消費税法第14条第1項

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。