【照会要旨】

 国外転出時課税制度について、所得税法第137条の2第1項に規定する納税猶予の特例の適用を受けている個人が納税猶予期間中に適用資産の譲渡をした場合は、その納税猶予の期限が確定することとされています。この「適用資産の譲渡」については、同条第5項において規定されており、その範囲から株式交換や株式移転などの事由が生じた場合は除かれていません。
 この点、所得税法第60条の2第11項では、個人が国外転出の時後に同法第57条の4第1項に規定する株式交換や同条第2項に規定する株式移転などにより取得した有価証券等は、国外転出時課税制度における各規定の適用上、その者が引き続き所有していたものとみなす旨規定しており、この各規定には、同法第60条の2第8項など、納税猶予の特例の適用を前提とした規定も含まれています。
 そうすると、適用資産について株式交換や株式移転が生じた場合など所得税法第57条の4第1項から第3項までの規定に該当する譲渡があったときは、その譲渡は所得税法第137条の2第5項に規定する「適用資産の譲渡」に含まれず、納税猶予の期限は確定しないと解してよろしいですか。

【回答要旨】

 照会意見のとおりで差し支えありません。
 なお、所得税法第137条の3第6項の規定における「適用贈与資産又は適用相続等資産の譲渡」と同法第60条の3第12項の規定についても、照会意見と同様に解して差し支えありません。

【関係法令通達】

 所得税法第57条の4、第60条の2第11項、第60条の3第12項、第137条の2第5項、第137条の3第6項

注記
 令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。