【照会要旨】

 甲は、勤務先であるA株式会社から、役務提供の対価として所得税法施行令第84条第1項に規定する特定譲渡制限付株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)に該当するA社株式(以下「制限付A社株式」といいます。)の交付を受けました。
 また、甲は制限付A社株式とは別に従来から譲渡制限のないA社株式(以下「普通A社株式」といいます。)を保有していました。
 今回、甲は、制限付A社株式に係る譲渡制限期間中に、普通A社株式の譲渡を行いましたが、その譲渡所得の計算上、取得費の計算はどのようにしたらよいですか。

【回答要旨】

 普通A社株式の譲渡所得に係る取得費は、制限付A社株式の取得はないものとして総平均法に準ずる方法(所得税法施行令第118条第1項)により計算した金額となります。

(理由)
 特定譲渡制限付株式については、その「譲渡制限が解除された日における価額」が取得価額とされます(所令1091二)。このため、その譲渡制限期間中は特定譲渡制限付株式の取得価額を計算することができないことから、その譲渡制限期間中に特定譲渡制限付株式と同一銘柄の株式等を譲渡した場合には、その同一銘柄の株式等に係る取得価額の計算において、その特定譲渡制限付株式は総平均法に準ずる方法による計算の対象となりません。

【関係法令通達】

 所得税法第48条第3項
 所得税法施行令第84条第1項、第109条第1項第2号、第118条第1項

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。