金融商品取引業者は、個人顧客向けに顧客が保有している上場株式を目的として、当該顧客にオプション料を支払うことを条件に、当該顧客から上場株式を一定額で取得できるコールオプション(以下「本件オプション」といいます。)を取得する店頭デリバティブ取引を行います。
この取引において金融商品取引業者は、あらかじめ指定された権利行使日に本件オプションの目的である上場株式の時価が権利行使価額を上回るときには、本件オプションを権利行使し、権利行使日の3営業日目に顧客に対して権利行使価額及びオプション料を支払って当該上場株式を取得します。
一方、権利行使日に本件オプションの目的である上場株式の時価が権利行使価額を下回るときには、本件オプションを放棄し、権利行使日の翌営業日に顧客に対してオプション料のみを支払うこととなります。
この取引の目的である上場株式が当該金融商品取引業者の特定口座内保管上場株式等である場合、以下のとおり取り扱われるものと解してよろしいでしょうか。
照会意見のとおり取り扱われることとなります。
(理由)
特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例は、上場株式等保管委託契約に基づき特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は特定口座に保管の委託がされている上場株式等(特定口座内保管上場株式等)を特定口座開設先の金融商品取引業者等に対して譲渡する場合等に適用があることとされています(措法37の11の3、
二)。
顧客が行う本件オプションの義務の履行として、本件オプションの付与先である証券会社へ特定口座内の上場株式を譲渡した場合の当該譲渡は、特定口座開設先の金融商品取引業者等に対する譲渡であるから、その譲渡に係る所得計算等は、特定口座において行われます。
オプション権が行使されて株式が売買された場合には、オプション料は株式の売買に係る譲渡収益の一部として取り扱われることから、本件オプションの義務の履行により上場株式を譲渡したときの譲渡収入金額は、権利行使価額とオプション料の合計額となります。
金融商品取引業者等が本件オプションを放棄した場合には、顧客に本件オプションの義務の履行による特定口座内保管上場株式等の譲渡が発生しないことから、支払われることとなるオプション料は、雑所得となります。
租税特別措置法第37条の11の3
租税特別措置法施行令第25条の10の2
所得税法第35条
金融商品取引法第2条第22項
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。