【照会要旨】

 私は、甲(被相続人)から贈与により次のとおり財産を取得し、これらの財産について相続時精算課税の適用を受けていましたが、昨年、甲が死亡し、甲の死亡に係る相続税の申告と納付をしました。
 今般(甲の相続開始から1年後)、私は、上記贈与により取得したA土地を譲渡することになりました。
 この場合、A土地の譲渡に係る租税特別措置法第39条第1項に規定する取得費加算の特例(以下「本特例」といいます。)の適用に当たり、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号に規定する「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」はどのように算出すればよいですか。

【贈与財産の内訳】

贈与年月日 贈与財産 贈与の時における価額
X年2月19日 A土地 600万円
X年5月12日 B土地 500万円

【回答要旨】

 本特例の適用において取得費に加算する金額は、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第1号に掲げる相続税額に同項第2号に掲げる割合を乗じて譲渡をした資産ごとに計算するものとされており、この割合の分子には、譲渡をした資産の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額を用います。
 他方、令和6年1月1日以後に特定贈与者からの贈与により取得した財産(以下「相続時精算課税適用財産」といいます。)については、当該財産の贈与の時における価額からその贈与があった年分の相続時精算課税に係る基礎控除の額を控除した残額を当該特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算又は算入することになります。この基礎控除の額は、個々の相続時精算課税適用財産の価額から控除するのではなく、贈与を受けた年分の相続時精算課税適用財産の価額の合計額から控除することになります。
 そのため、同一年中に特定贈与者から贈与により取得した財産が複数あった場合において、本特例により各財産の譲渡所得の取得費に加算する金額を計算するときの上記相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額をどのように考えるのか疑問が生ずるところです。
 この点、照会のA土地の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額については、次のとおり計算するのが相当と考えられます。

A土地の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額:540万円

(注) 同一年中において2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合における相続時精算課税に係る基礎控除の額は、相続税法基本通達21の11の2−2の算式により計算した額となります。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第39条、第70条の3の2
 租税特別措置法施行令第25条の16第1項、第40条の5の2
 相続税法第21の15、第21条の16
 相続税法施行令第5条の2
 相続税法基本通達21の11の2−2
 令和5年改正法附則第19条

注記
 令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。