【照会要旨】

 私は、甲(被相続人)の死亡に伴いA社株式を相続により取得しましたが、当該相続の開始前に甲から贈与によりA社株式を取得し、当該A社株式について相続時精算課税の適用を受けていたため、甲に係る相続税の課税価格には、相続により取得したA社株式の価額と相続時精算課税の適用を受けたA社株式の価額が含まれています。
 甲の相続開始から1年後、上記のとおり取得したA社株式のうち一部を譲渡することになりました。
 この場合、租税特別措置法第39条第1項に規定する取得費加算の特例の適用に当たっては、甲に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された“相続により取得したA社株式”と“贈与により取得したA社株式”のどちらも対象となりますが、当該算入された株式の価額(1株当たりの価額)が高い方から譲渡したものとして取り扱ってよろしいでしょうか。
 また、上記の贈与が、相続の開始前3年以内に受けたものであり、暦年課税により贈与税の申告を行っていた場合でも、上記と同様に取り扱ってよろしいでしょうか。

【回答要旨】

 照会のとおり、租税特別措置法第39条第1項に規定する取得費加算の特例の適用に当たっては、甲に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された株式の価額(1株当たりの価額)が高い方から譲渡したものとして取り扱うことができます。
 また、相続の開始前3年以内に甲から贈与により株式を取得し暦年課税により贈与税の申告を行っていた場合でも同様に取り扱うことができます。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第39条第1項
 相続税法第19条第1項、第21条の15第1項

注記
 令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。