【照会要旨】

 甲は、昨年に死亡した乙から乙の自宅であったA家屋、倉庫及びその敷地を相続しました。
 今回、甲は、A家屋の耐震リフォームをした後、それらの全てを譲渡する予定ですが、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けるほか、当該特例の適用を受けることができない部分について、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用を受けることができますか。

【回答要旨】

 甲は、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることができない部分について、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用を受けることができます。

(理由)
被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋が、例えば、主として当該被相続人の居住の用に供されていた母屋のほか、複数の建築物から構成される家屋であった場合は、それらの建築物のうち、被相続人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の建築物のみが被相続人居住用家屋に該当します。
 また、相続の開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋の敷地の用に供されていた土地が「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」のある一団の土地であった場合における当該被相続人居住用家屋の敷地の判定は、当該土地の面積に、被相続人居住用家屋とそれ以外の建築物の床面積の合計のうちに、被相続人居住用家屋の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ることとされています。
 そのため、本事例の場合、1倉庫及び2A家屋と倉庫のある一団の土地の面積に、A家屋と倉庫の床面積の合計のうちにA家屋の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分以外については、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用対象外であることから、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用を受けることができます。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第35条第3項、第4項
 租税特別措置法施行令第23条第8項、第9項
 租税特別措置法関係通達35−8

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。