【照会要旨】

 甲は、昨年に死亡した乙から乙の自宅であったA家屋とその敷地のほか、乙が死亡する半年前に完成した車庫と倉庫を相続により取得しました。甲は、これらの全てを取り壊した後、当該敷地を譲渡することを考えていたところ、売買契約の締結に当たり、買主から車庫と倉庫については取り壊さずに譲渡してほしい、との申出がありました。
 そのため、甲は、A家屋を取り壊した後、当該敷地と車庫及び倉庫の売買契約を締結しました。
 甲は、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることができますか。

【回答要旨】

 甲は、A家屋、車庫及び倉庫の床面積の合計のうちにA家屋の床面積の占める割合に相当する部分について、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることができます。

(理由)
 被相続人居住用家屋とは、その相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であって、当該被相続人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の建築物をいうことから、全部の取壊し等の対象は、当該一の建築物となります。
 また、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けるための一定の要件のうち、「当該取壊し、除却又は滅失の時から当該譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと」は、被相続人居住用家屋の取壊し等後に、新たに建物又は構築物の敷地の用に供してはならないという趣旨であることから、被相続人居住用家屋であるA家屋の全部を取壊し後、A家屋の敷地が新たな建物等の敷地として利用された事実がないならば、既存の車庫や倉庫などが存在していたとしても、租税特別措置法第35条第3項第2号の要件を満たしていることとなるため、本事例の場合、甲は、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けることができます。
 なお、敷地のうち車庫及び倉庫の床面積の占める割合に相当する部分については、本特例の適用対象とならないことに留意してください。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第35条第3項、第4項
 租税特別措置法施行令第23条第8項、第9項

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。