【照会要旨】

 収用交換等の場合の 5,000万円特別控除の特例は、収用交換等による譲渡が最初に買取り等の申出のあった日から6月以内にされなかった場合や同一事業における収用交換等による譲渡が二以上の年にわたってされたときの2年目以後の譲渡については、適用できないこととされています(措法33の43)が、土地区画整理事業の換地処分により清算金を取得した場合のこれらの適用除外規定の適用関係はどうなりますか。
 例えば、土地区画整理事業の施行により建物移転補償金を取得して収用交換等の場合の 5,000万円特別控除の特例を適用していた場合、その翌年以後に換地処分により清算金を取得した場合は、その清算金については特例の適用はできないこととなるのでしょうか。

【回答要旨】

1 収用交換等の場合の 5,000万円特別控除の特例(以下「特別控除の特例」といいます。)においては、ごね得を防止し、公共事業の円滑な執行を期する見地や資産の分割譲渡によって重複して特別控除の特例の適用を受けることとなることを防止するため、適用除外規定が設けられており、次のような場合には、特別控除の特例を適用しないこととされています。

1 収用交換等による譲渡が、公共事業施行者から最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までにされなかった場合(措法33の43一)

2 一の収用交換等に係る事業につき収用交換等による譲渡が二以上あった場合において、最初に譲渡があった年の翌年以後に譲渡されたとき(措法33の43二)

3 収用交換等による譲渡が最初に買取り等の申出を受けた者以外の者からされた場合(その申出を受けた者の死亡によりその者から資産を取得した者が譲渡をした場合を除きます。)(措法33の43三)

2 一方、土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に当たり、換地が定められなかった場合又は換地は定められたが宅地の所有者間において不均衡が生じた場合には、金銭によって清算すべきものとされ、換地計画においてその清算金の額を定めなければならないこととされています(土地区画整理法94)。この清算金は換地処分の公告があった日の翌日に確定することとされていますが(土地区画整理法 1048)、換地処分により当該清算金を取得した場合は、収用等の課税の特例の適用対象とされており(措法331三)、その収入すべき時期は、換地処分の公告のあった日の翌日とされています(措通33−7(2))。

3 上記のような特別控除の特例における適用除外規定の趣旨や土地区画整理法において規定された清算金の性質を踏まえた場合、1換地処分による清算金の支払(取得)は、そもそも事業施行者の買取り等の申出によって行われるものではないこと、2清算金の額等は土地区画整理法上の認可が必要な換地計画において定められ、その確定時期や所得税法上の収入すべき時期も換地処分の公告のあった日の翌日とされており、およそ恣意性の入る余地はなく、特別控除の特例の重複適用を目的として分割譲渡がなされることは想定できないことから、換地処分により土地区画整理法第94条の規定による清算金を取得したときに、適用除外規定によって特別控除の特例を適用しないこととするのは、相当ではないといえます。

4 したがって、土地区画整理事業の施行により建物移転補償金を取得して特別控除の特例を既に適用した場合であっても、その後の換地処分により同条の清算金を取得したときは、適用除外規定を考慮する必要はなく、特別控除の特例を適用して差し支えありません。

5 なお、土地区画整理事業の換地処分により清算金を取得する場合と同様に、特別控除の特例の適用上、適用除外規定を考慮する必要のない場合としては、次に掲げる場合などがあります。

1 土地改良法の規定による換地処分により清算金を取得する場合(措法331三)

2 都市再開発法による第一種市街地再開発事業における権利変換により施設建築物の一部等が与えられないように定められたこと等により補償金を取得する場合(措法331三の二)

3 都市再開発法による第一種市街地再開発事業における権利変換により変換することのない工作物所有のための賃借権、地役権等が消滅したことにより補償金を取得する場合(措法331六)

【関係法令通達】

 租税特別措置法第33条第1項、第33条の4第3項
 租税特別措置法関係通達33-7
 土地区画整理法第94条、第104条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。