【照会要旨】

 収用裁決により土地を譲渡した場合で、次の二つの事例のように起業者が補償金の供託をしたときの譲渡所得の収入金額はいくらとなるのでしょうか。

(1) 土地収用委員会の裁決において、土地の補償金を1,400万円と定められましたが、起業者ではこれを不服として起業者の見積りによる1,200万円を土地所有者に支払い、差額200万円は土地収用法第95条第2項の規定に基づき供託を行いました。

(2) 土地所有者からの補償金の支払請求及び裁決の申立が行われ、起業者は自己の見積額400万円を支払いましたが、裁決によりその土地の補償金の額は、510万円とされました。そこで起業者では、これを不服として510万円と400万円との差額110万円を供託し、訴訟を提起しました。

【回答要旨】

 収用委員会の収用裁決があった場合には、その裁決が失効(土地収用法第100条)するまで若しくは国土交通大臣の審査請求に対する裁決又は判決によって収用裁決が取り消されるまでは、その裁決は有効とされます。したがって、起業者が照会のように裁決による補償金の額と見積額との差額を供託したとしても、その部分について収用委員会の裁決が効力を失うというものではありません。
 このことから、供託があったかどうかにかかわりなく、収用委員会の裁決により定められた補償金の全額について、その裁決において権利取得の時期として定められた日に収入すべき金額が確定したものとして譲渡所得の計算を行います。この場合において、後日判決により補償金が減額されたときは、国税通則法第23条第2項第3号、国税通則法施行令第6条第1項第1号の規定により更正の請求をすることができます。

【関係法令通達】

 国税通則法第23条第2項第3号
 国税通則法施行令第6条第1項第1号
 土地収用法第46条の2、第46条の4、第95条、第100条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。