【照会要旨】

 甲は、その所有する土地A(時価5,000万円)を乙所有の土地B(時価2,000万円)と交換しました(甲・乙は兄弟である。)。

1 甲及び乙の譲渡所得に係る収入金額は、それぞれが交換により取得した土地の時価相当額によるべきですか。

2 時価ベースでみるときは、乙は、低額譲受による経済的利益3,000万円を得ることになりますが、贈与税の課税価格は、A土地の相続税評価額からB土地の時価を差引いた額でよいでしょうか。

3 固定資産の交換の特例を適用することができますか。

【回答要旨】

1 交換により譲渡した場合の収入金額は、交換により取得する資産の時価相当額によりますが、照会の場合は、甲・乙間に特殊の関係があり、その交換は純粋な経済取引とは認められず、乙は、A土地とB土地の時価の差額を贈与(低額譲受けによる経済的利益の享受)により取得したものと認められますので、その贈与により取得したと認められる金額(3,000万円)は、乙の譲渡所得の収入金額とはなりません。

2 贈与税の課税価格は、土地の時価を基として算定すべきですから、乙の低額譲受による経済的利益の額は、A土地とB土地の時価の差額(3,000万円)となります。

3 A土地とB土地の時価の差額(3,000万円)がいずれか高い方(A土地)の時価(5,000万円)の20%相当額を超えていることから、固定資産の交換の特例は適用できません。

 したがって、甲及び乙は、譲渡収入金額を2,000万円とする譲渡所得が課税されることになります(乙には上記2のとおり、別途、経済的利益の額3,000万円について贈与税が課税されます。)。

【関係法令通達】

所得税法第9条第1項第17号、第36条、第58条
相続税法第7条
平成元年3月29日付直評5外「負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について」

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。