【照会要旨】

 当社は、発注者と工事請負契約を締結し、個別の請負契約書を作成していますが、工事価格を変更した場合には、変更契約書を作成しています。この場合、当初の契約金額を増額したり、減額した場合の変更契約書の印紙税の取扱いはどうなりますか。

【回答要旨】

 変更契約書は、当初の請負契約の重要な事項である契約金額を変更するものですから、第2号文書(請負に関する契約書)に該当することになります。この場合、記載金額をどのように判定するかが問題になります。
 変更契約書に対する印紙税の取扱いについては、「当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額が記載されている場合には、当該変更金額が変更前の契約金額等を増加させるものであるときは、当該変更金額を当該文書の記載金額とし、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額はないものとする。」と規定されています(通則4のニ)。
 例えば、当初に契約金額が2億円の建設工事請負契約書(以下「原契約書」といいます。)を作成した後に契約金額を変更する「覚書」を作成した場合の取扱いを説明します。

覚書の内容   具体例 記載金額 税率
 その変更に係る契約についての変更前の契約金額等の記載されている契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、その変更契約書に変更金額(変更前の契約金額との差額)が記載されている場合
 (変更前の契約金額と変更後の契約金額の双方が記載されていることにより変更金額が明らかにできる場合を含みます。)
契約金額の増額  ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を2千万円増額と記載 2千万円 1万円
 ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を2億2千万円に変更と記載 2千万円 1万円
契約金額の減額  ○年○月○日の原契約書の契約金額を2千万円減額と記載 なし 200円
 ○年○月○日の原契約書の契約金額2億円を1億8千万円に変更と記載 なし 200円
 上記以外の場合
 (変更前の契約金額等の記載のある契約書が作成されていることが明らかにされていない場合及び原契約書が作成されていない場合等)
契約金額の増額  当初の契約金額2億円を2千万円増額と記載
2億2千万円 6万円
 当初の契約金額を2億2千万円に変更と記載 2億2千万円 6万円
 当初の契約金額を2千万円増額と記載 2千万円 1万円
契約金額の減額  当初の契約金額2億円を2千万円減額と記載 1億8千万円 6万円
 当初の契約金額を1億8千万円に変更と記載 1億8千万円 6万円
 当初の契約金額を2千万円減額と記載 2千万円 1万円

※ 平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に係る契約書の税率になります。当該建設工事の請負に係る契約書(記載された契約金額が100万円を超えるもの)については、次表のとおり税率が引き下げられています。

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円を超え 200万円以下のもの 400円 200円
200万円を超え 300万円以下のもの 1千円 500円
300万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え 1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え 5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

(注) 建設工事の請負に伴って作成される請負契約書のうち、その契約書に記載された契約金額が100万円以下のもの(契約金額の記載のないものを含みます。)は、軽減措置の対象となりません(税率200円)。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。

【関係法令通達】

 印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則4のニ、租税特別措置法第91条

注記
 令和6年4月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。