【照会要旨】

 「契約書」という場合は、一般に2以上の契約当事者が共に署名押印する形態のものを指していると考えられますが、印紙税法では「請書」のように当事者の一方だけが署名押印するような文書も契約書に該当するといわれました。どういう理由によるものでしょうか。

【回答要旨】

 課税物件表には、第1号の不動産の譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、第2号の請負に関する契約書、第14号の金銭又は有価証券の寄託に関する契約書などのように「○○に関する契約書」という名称で掲げられているものが多くありますが、ここにいう契約書は、一般的に言われるものよりかなり範囲が広く、そのため、通則5にその定義規定を置いています。
 すなわち、課税物件表に掲げられているこれらの契約書とは、契約証書、協定書、約定書その他名称のいかんを問わず、契約(その予約を含みます。以下同じ。)の成立若しくは更改又は契約の内容の変更若しくは補充の事実(以下「契約の成立等」といいます。)を証すべき文書をいい、念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することになっているものも含まれます。
 したがって、通常、契約の申込みの事実を証明する目的で作成される申込書、注文書、依頼書などと表示された文書であっても、実質的にみて、その文書によって契約の成立等が証明されるものは、契約書に該当することになります。
 契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為ですから、契約書とは、その2個以上の意思表示の合致の事実を証明する目的で作成される文書をいうことになります。

【関係法令通達】

 印紙税法別表第一 課税物件表の適用に関する通則5、印紙税法基本通達第12条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。