A社の100%子会社であるB社とC社は、B社を分割法人、C社を分割承継法人とする分割(以下「本件分割」といいます。)を行うことを予定しています。本件分割は、100%子法人同士の分割であることから、分割対価資産がない、いわゆる無対価分割を予定しています。
分割後もA社はB社及びC社の発行済株式の全部を継続して保有する見込みですが、本件分割は適格分割に該当しますか。
本件分割は適格分割に該当します。
(理由)
本件分割は、分割対価資産(分割承継法人であるC社によって交付されるC社株式その他の資産をいいます。)がないことから、無対価分割に該当します(法法2十二の九ロ)。
無対価分割が適格分割に該当するかどうかは、当事者間の関係や分割の区分(分割型分割又は分社型分割)によって、それぞれ異なる要件が設けられていますので、以下、順をおって説明します。
1 完全支配関係について
完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下「当事者間の完全支配関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係をいいます(法法2十二の七の六、法令4の2)。
分割法人であるB社と分割承継法人であるC社は、分割前にいずれもA社により発行済株式の全てを保有される関係にあることから、A社との間に当事者間の完全支配関係があります。したがって、B社とC社との間に同一の者(A社)による完全支配関係があります。
2 無対価分割における分割型分割と分社型分割の区分
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その分割の直前において イ 分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合 又は ロ 分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合 |
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その分割の直前において、分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除きます。) |
3 無対価分割の適格要件について
分割法人と分割承継法人との間に同一の者による完全支配関係がある吸収分割型分割が無対価分割である場合には、適格分割型分割とされるための要件は次のとおりです(法法2十二の十一イ、法令4の3二イ)。
(1) その分割前に次のイ又はロのいずれかの関係があること
(2) 分割後に同一の者と分割承継法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれていること
4 本件分割へのあてはめ
本件分割における分割前の株式保有関係は、A社(同一の者)が分割法人であるB社及び分割承継法人であるC社の発行済株式の全部を保有する関係であり、上記3の(1)のロの関係に当たります。また、分割後もA社はC社の発行済株式の全部を継続して保有する見込みであることから、A社(同一の者)と分割承継法人C社との間にA社(同一の者)による完全支配関係が継続することが見込まれています。
したがって、B社とC社との間で行われる分割は、適格分割に該当します。
法人税法第2条第12号の7の6、第12号の9ロ、第12号の10ロ、第12号の11イ
法人税法施行令第4条の2第2項、第4条の3第6項第2号イ
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。