支配関係のない法人間で行われる株式移転については、法人税法第2条第12号の18ハに規定する共同で事業を行うための株式移転の要件を満たすときは、適格株式移転に該当するとされています。
この共同で事業を行うための株式移転の要件(以下「共同事業要件」といいます。)の1つとして、次のいずれかを満たすことが必要となります(法令4の3二)。
当社(A社)がB社との間において検討している株式移転においては、A社の特定役員はいずれも退任しませんが、B社の特定役員(5人)のうち1人が当該株式移転に伴って退任する見込みです。
このような場合には、特定役員継続要件を満たさないこととなりますか。
B社の特定役員のうち1人が当該株式移転に伴って退任する場合であっても、特定役員継続要件を満たします。
(理由)
株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間に支配関係がない場合に共同事業要件を満たせば、適格株式移転に該当することとなりますが、この共同事業要件の1つとして、事業規模要件又は特定役員継続要件のいずれかを満たすものであることが規定されています。
このうち特定役員継続要件とは、当該株式移転前の当該株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人のそれぞれの特定役員の全てが当該株式移転に伴って退任をするものでないことと規定されています(法令4の3二)。
すなわち、株式移転前の株式移転完全子法人又は他の株式移転完全子法人のそれぞれの特定役員のうち一人でも株式移転後の株式移転子法人又は他の株式移転子法人に残留していれば、仮にそれ以外の特定役員が退任をしたとしても特定役員継続要件を満たすこととなります。
したがって、ご照会のように、A社の特定役員の全てが退任せず、かつ、B社の特定役員のうち1人が退任する場合であっても他の4人がB社に残留していれば、特定役員継続要件を満たすこととなります。
法人税法第2条第12号の18ハ
法人税法施行令第4条の3第24項第2号
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。