B社は、C社を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を予定しています。本件合併前における資本関係は次の図のとおりです。
このような資本関係にある法人間における本件合併が適格合併に該当するか否かの判定は、B社とC社との間における、当事者間の完全支配関係と法人相互の支配関係のいずれの関係により行えばよいでしょうか。
B社とC社との間における当事者間の完全支配関係により判定を行うこととなります。
(理由)1 適格合併
法人が行う合併が適格合併に該当するためには、合併法人と被合併法人との間の関係(完全支配関係、支配関係又はそれ以外の関係)に応じて定められた要件(法2十二の八)を満たす必要がありますが、ここでは完全支配関係と支配関係について説明します。
2 完全支配関係と支配関係
完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(以下「当事者間の完全支配関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係(以下「法人相互の完全支配関係」といいます。)をいいます(法2十二の七の六)。
支配関係とは、一の者が法人の発行済株式総数の50%を超える数の株式を直接若しくは間接に保有する関係(以下「当事者間の支配関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の支配関係がある法人相互の関係(以下「法人相互の支配関係」といいます。)をいいます(法2十二の七の五)。
そして、当事者間の支配関係には、一の者が法人の発行済株式総数の50%を超える数の株式を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係(以下「直接支配関係」といいます。)と当該一の者がこれとの間に直接支配関係がある法人を通じて他の法人の発行済株式総数の50%を超える数の株式を保有する場合における当該一の者と当該他の法人との間の関係(以下「みなし直接支配関係」といいます。)があります。
3 合併法人B社と被合併法人C社との間の関係
4 合併法人と被合併法人の間に「当事者間の完全支配関係」と「法人相互の支配関係」のいずれにも該当する関係がある場合の適格要件の適用関係
・ 合併前に被合併法人と合併法人との間に同一の者による支配関係(法人相互の支配関係)があり、かつ、合併後に当該同一の者と合併法人との間に当該同一の者による支配関係が継続することが見込まれている場合における被合併法人と合併法人との間の関係(法令4の3二)。
5 本件合併における適格要件の適用関係
3のとおり、本件合併においては、合併法人であるB社と被合併法人であるC社との間には、当事者間の完全支配関係と法人相互の支配関係のいずれにも該当する関係があります。
この点、4(2)のとおり、法人税法施行令第4条の3第3項の括弧書には、「前項(第2項)各号に掲げる関係に該当するものを除く」と規定されていますので、この規定から明らかなように、合併前に、合併法人と被合併法人との間に、当事者間の完全支配関係と法人相互の支配関係のいずれにも該当する関係がある場合には、当事者間の完全支配関係(4(1)の@)により適格判定を行うこととなります。
法人税法第2条第12号の7の5、第12号の7の6、第12号の8
法人税法施行令第4条の3第2項、第3項
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。