当社が長期保有目的で所有する上場株式の時価(株価)は大幅に下落しており、当事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る状況にあります。そこで、当社では当事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて株価の回復可能性を判断した上で、その株式の評価損を損金算入することとしました。
ところで、翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があった場合には、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要がありますか。
翌事業年度以降に株価の上昇などの状況の変化があったとしても、そのような事後的な事情は、当事業年度末の株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
(理由)
法人税基本通達9-1-7(注)2にもあるとおり、株価の回復可能性の判断は、あくまでも各事業年度末時点において合理的な判断基準に基づいて行うものです。
このため、例えば、当事業年度末においては将来的な回復が見込まれないと判断して評価損を計上した場合に、翌事業年度以降に状況の変化(株価の上昇など)があったとしても、そのような事後的な事情は当事業年度末時点における株価の回復可能性の判断に影響を及ぼすものではなく、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はありません。
法人税法第33条第1項、第2項
法人税法施行令第68条第1項第2号イ
法人税基本通達9-1-7
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。