【照会要旨】

 次図のような資本関係にある株式会社の甲社は、租税特別措置法第42条の4第19項第7号《試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除》に規定する中小企業者(以下「中小企業者」といいます。)に該当しますか。なお、甲社の資本金の額は1億円以下であり、甲社が属する企業グループは、いわゆるグループ通算制度を適用していません。

甲社の資本関係

(注) 大規模法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人など)による完全支配関係がある普通法人などをいい、中小企業投資育成株式会社を除きます(措令27の4まる17一)。

【回答要旨】

 甲社は、中小企業者に該当しません。

(理由)

 資本金の額が1億円以下の法人であっても、その発行済株式若しくは出資(その有する自己の株式又は出資を除きます)の総数若しくは総額の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属するもの又はその発行済株式若しくは出資の総数若しくは総額の3分の2以上が大規模法人の所有に属しているものは、中小企業者に該当しないこととされています(措令27の4まる17)。
 投資事業有限責任組合契約に関する法律(以下「組合法」といいます。)に基づく投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合契約を締結することにより成立する諾成の組合であり法人格を有さず(組合法2まる2、3)、投資事業有限責任組合の組合財産は総組合員の共有(合有)に属するとされています(組合法16、民法668)。
 したがって、投資事業有限責任組合の組合財産となっている株式については、各組合員の所有に属するものとして中小企業者に該当するかの判定を行うこととなります。ご質問のケースでは、組合財産である甲社の株式は、その総数の3分の2以上が大規模法人A社及びB社の所有に属していることから、甲社は中小企業者に該当しないこととなります。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第42条の4第19項第7号
 租税特別措置法施行令第27条の4第17項
 投資事業有限責任組合契約に関する法律第2条、第3条、第16条
 民法第668条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。