【照会要旨】

 次図のような資本系列にある判定法人は、租税特別措置法第42条の6第1項《中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》の対象となる中小企業者に該当しますか。
 なお、判定法人はいずれも資本金1億円以下であり、その属する企業グループは、いわゆるグループ通算制度を適用していません。

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却の対象となる中小企業者の範囲の図

【回答要旨】

 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のうち、その発行済株式若しくは出資(その有する自己の株式又は出資を除きます。以下同じです。)の総数若しくは総額の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人又はその発行済株式若しくは出資の総数若しくは総額の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人は、中小企業者に該当しない法人(みなし大企業)となります(措令27の4まる17)。
 この大規模法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人など)による完全支配関係がある普通法人などをいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
 この点、令和元年度の税制改正前は、大規模法人が直接にその株式又は出資を有する法人(その大規模法人を親法人とする子法人のみ)がみなし大企業に該当することとされていましたが、同改正後は、大規模法人が直接又は間接にその株式又は出資を有する法人がみなし大企業に該当することとなり、みなし大企業の範囲が拡大されています。
 上記の図の大規模法人がいずれも大法人である場合には、「資本金1億円以下の法人」は大法人による完全支配関係があるため大規模法人に該当し、判定法人は、その発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人(例1)又はその発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人(例2)となりますので、中小企業者に該当しません。
 なお、大規模法人がいずれも大法人に該当しない場合には、「資本金1億円以下の法人」は大規模法人に該当せず、判定法人は、その発行済株式の総数の一定割合以上が大規模法人の所有に属している法人とはならず、いずれも資本金が1億円以下の法人ですので、中小企業者に該当します。
 ただし、この場合でも判定法人が、租税特別措置法第42条の4《試験研究を行った場合の法人税額の特別控除》第19項第8号に規定する適用除外事業者に該当する場合には、本特別償却の対象となりませんので留意してください。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第42条の6第1項
 租税特別措置法施行令第27条の4第17項

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。