【照会要旨】

 国外事業所等※を有しない海運会社(内国法人)が、外国法人又は非居住者に裸用船契約により船舶を賃貸して用船料を収受している場合、外国税額控除の適用上、当該用船料に係る所得は国外所得金額に含まれますか。
 なお、国外事業所等を有するかどうかで取扱いが異なりますか。

※ 国外事業所等とは、我が国が租税条約(恒久的施設に相当するものに関する定めを有するものに限ります。)を締結している条約相手国等(租税条約の我が国以外の締約国又は締約者をいいます。以下同じです。)についてはその租税条約の条約相手国等内にあるその租税条約に定める恒久的施設に相当するものをいい、その他の国又は地域についてはその国又は地域にある恒久的施設に相当するものをいいます(法法694一、法令145の21)。

【回答要旨】

  • 1  非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく用船料は、法人税法第69条第4項第5号«外国税額の控除»に規定する国外源泉所得に該当するため、その用船料に係る所得の金額は国外所得金額に含まれることとなります(法法6914、法令141の2)。
     なお、お尋ねでは、国外事業所等を有しないとのことですが、同号に該当するか否かは、国外事業所等の有無にかかわりませんので、国外事業所等を有しない場合であっても、国外源泉所得に該当することとなります。
  • 2  仮に、国外事業所等を有する場合で、その国外事業所等を通じて非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく船舶貸付業を行う場合には、その国外事業所等が内国法人から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、その国外事業所等が果たす機能、その国外事業所等において使用する資産、その国外事業所等を内国法人の本店等との間の内部取引その他の状況を勘案して、その国外事業所等に帰せられるべき所得については、法人税法第69条第4項第1号に規定する国外源泉所得に該当することとなります。
     この場合、非居住者又は外国法人に対する裸用船契約に基づく用船料は、法人税法第69条第4項第1号及び第5号のいずれの国外源泉所得にも該当することとなりますが、このような場合には、外国税額控除に係る控除限度額の計算の基礎となる国外所得金額の計算においては、同項第1号の国外源泉所得への該当性が優先されることとなります(法令141の2)。

【関係法令通達】

 法人税法第69条第1項、第4項
 法人税法施行令第141条の2、第145条の2第1項
 法人税基本通達16−3−40

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。