【照会要旨】

 Aマンション管理組合は、占有者(区分所有者から専有部分(住居部分)を賃借している者をいいます。以下同じです。)からの申出を受け、管理するマンション内の駐車場を当該占有者に貸し付けることとしました。Aマンション管理組合が当該占有者に対して行うマンション駐車場の貸付けは、法人税法上の収益事業(駐車場業)に該当しますか(当該占有者以外の第三者に対する貸付けは行いません。)。
 なお、Aマンション管理組合は、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)第3条に規定する「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」であり、法人税法上、人格のない社団等に該当します。

【回答要旨】

 Aマンション管理組合が占有者にマンション駐車場を貸し付ける場合において、その貸付けが、マンション管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」という管理業務の一環として行われる区分所有者に対する貸付け(共済的事業としての貸付け)とは別の独立した事業を行っていると認められるときには、占有者に対するマンション駐車場の貸付けは、収益事業(駐車場業)に該当します。
(注) 区分所有者に対するマンション駐車場の貸付け(共済的事業としての貸付け)とは別の独立した事業を行っていると認められるかどうかは、占有者への貸付けの目的・貸付規模・貸付条件・募集方法・反復継続性などを総合勘案して判定することとなります。

 (理由)
1 マンション管理組合が区分所有者に対して行うマンション駐車場の貸付けについては、一般的に、
(1) マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること、
(2) 駐車料金は区分所有者がマンションの附属施設である駐車場の敷地を特別に利用することによる「管理費の割増金」と考えられること、
(3) 駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、マンション管理組合において駐車場の管理に要する費用を含めた管理費又は修繕積立金の一部に充当されることからすれば、区分所有法において区分所有者の団体を構成する目的とされる「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」という管理業務の一環としてマンション管理組合が区分所有者に対して行うものであり(区分所有法3)、収益事業たる駐車場業には該当しないものと解されています(質疑応答事例「団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定」、文書回答事例「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」)。 2 一方、マンション管理組合が占有者に対して行うマンション駐車場の貸付けについては、占有者は区分所有権の目的たるマンションの専有部分を有していない(区分所有者に含まれない)ことから、上記1(1)の共済的事業とはいえず、また、占有者は共用部分に係る管理費や修繕積立金を支払う立場にもないため、占有者が支払う駐車場の使用料を上記1(2)の「管理費の割増金」とみることはできませんので、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」という管理業務の一環としてマンション管理組合が区分所有者に対して行う貸付けと同様に取り扱うことはできません。
3 この場合、占有者に対するマンション駐車場の貸付けが、当該管理業務の一環として行われる区分所有者に対するマンション駐車場の貸付け(共済的事業としての貸付け)とは別の独立した事業を行っていると認められるときには、占有者に対するマンション駐車場の貸付けは、収益事業(駐車場業)に該当します。
4 占有者に対するマンション駐車場の貸付けが区分所有者に対するマンション駐車場の貸付け(共済的事業としての貸付け)とは別の独立した事業を行っているかについては、収入に係る事業の目的・内容・態様等の諸事情、すなわち、占有者への貸付けの目的・貸付規模・貸付条件・募集方法・反復継続性などを総合勘案して判定することとなります。
 そのため、占有者に対するマンション駐車場の貸付けが区分所有者以外の者に対するマンション駐車場の貸付けであることのみをもって、直ちに、区分所有者に対するマンション駐車場の貸付けとは別の独立した事業を行っていると判断することは相当ではありません。

【関係法令通達】

 法人税法第2条第13号、第4条、第6条
 法人税法施行令第5条第1項第31号
 建物の区分所有等に関する法律第3条

注記
 令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。