中小法人等(注)である法人債務者が特定調停により債権放棄を受けた場合、法人税法上の一般的な取扱いはどのようになるのでしょうか。
(注) 中小法人等とは、次の法人をいいます。
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法人債務者が債権放棄を受けた場合には、その債権放棄を受けた金額は、法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入されることとなります(法法22)。
しかし、その者が青色申告書を連続して提出している中小法人等である場合には、その事業年度の前10年間において生じた欠損金(以下「青色欠損金」といいます。)が損金の額に算入されます(ただし、青色欠損金を損金の額に算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。)(法法57)。
2 更に、当該法人債務者について会社法の規定による特別清算開始の命令があった場合等において、債権者から債権放棄を受けた場合又は当該法人債務者がその役員若しくは株主等(株主又は出資者)である者若しくはこれらであった者から私財提供を受けた場合には、更に青色欠損金より前に生じた欠損金等についても損金の額に算入されます(ただし、当該欠損金等を損金算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。)(法法59、法令117の3、117の4、法基通12−3−1)。
(注) 仮に、上記の債権放棄等に係る計画により、当該法人債務者が法人税法第25条第3項又は第33条第4項の規定の適用を受ける場合には、青色欠損金及び青色欠損金より前に生じた欠損金等を損金算入する前の所得金額が損金算入限度額となります。
(概念図)
法人税法第22条第2項、第25条第3項、第33条第4項、第57条、第59条第3項
法人税法施行令第117条の3、第117条の4
法人税基本通達12−3−1
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。