法人税法第34条第1項第3号《役員給与の損金不算入》に規定する業績連動給与のうち損金の額に算入することができるものについては、その算定方法の内容が、報酬委員会のその算定方法の決定等の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他の方法により開示されていることが要件とされていますが、この開示は、業務執行役員のそれぞれについて行わなければならないのでしょうか。
照会の開示については、業務執行役員の全てについてそれぞれ行う必要があります。
なお、開示の対象はあくまで業績連動給与の算定方法の内容であり、役員の個人名の開示を求めるものではなく、その肩書き別に業績連動給与の算定方法の内容が明らかにされていれば足りることになります。
(理由)
損金の額に算入することができる業績連動給与(注)とは、法人(同族会社にあっては、非同族会社との間に当該法人による完全支配関係があるものに限ります。)が業務執行役員に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあっては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限ります。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限ります。)をいいます(法法34三、
、法令69
〜
)。
(注)業績連動給与とは、次の給与をいいます。
上記の要件のうち、ロのに記載している「開示されていること」についてですが、そもそも業績連動給与を損金の額に算入するためには、その法人の業務執行役員の全てに対して支給するもので、かつ、個々の業務執行役員に支給する業績連動給与がそれぞれ法令の要件を満たすものである必要があります(法法34
三)。
したがって、ご質問の開示についても、業務執行役員の全てについてそれぞれ行うことになります(法法34三イ(3))。
具体的には、その法人の業務執行役員ごとに、業績連動給与の算定の基礎となる業績連動指標、
限度としている確定した額又は確定した数及び
客観的な算定方法の内容を開示する必要があります。ただし、個々の業務執行役員に支給する業績連動給与の算定方法の内容が結果的に明らかになるものであればよく、算定方法が同様の業績連動給与について算定方法の内容を包括的に開示することを妨げるものでありません。また、開示の対象はあくまで業績連動給与の算定方法の内容であり、役員の個人名の開示を求めるものではなく、その肩書き別に業績連動給与の算定方法の内容が明らかにされていれば足りることになります(法基通9−2−19)。
法人税法第34条第1項第3号、第5項、法人税法施行令第69条第9項〜第21項
法人税基本通達9−2−19
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。