【照会要旨】

 法人税法第34条第1項第3号(役員給与の損金不算入)に規定する業績連動給与の算定方法が、例えば、「経常利益の○○%に相当する金額を限度とする」といったものであっても、同号イ(1)に規定する損金算入要件の一つである「確定した額を限度としているもの」に該当しますか。

【回答要旨】

 照会の「経常利益の○○%に相当する金額を限度とする」といった支給額の上限が具体的な金額によらない算定方法は、「確定した額を限度としているもの」に該当せず、この算定方法によって支給された給与の額は、損金の額に算入することができません。

(理由)

 損金の額に算入することができる業績連動給与(注)とは、法人(同族会社にあっては、非同族会社との間に当該法人による完全支配関係があるものに限ります。)が業務執行役員に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあっては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限ります。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限ります。)をいいます(法法341三、5、法令699から21)。

  • イ 交付される金銭の額又は株式若しくは新株予約権の数(新株予約権にあっては無償で取得され、又は消滅する数を含みます。)の算定方法が、次のものを基礎とした客観的なものであること。
    • 1 職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標
    • 2 職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間又は職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標
    • 3 職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標
  • ロ 上記イの算定方法が、次の要件を満たすものであること。
    • 1 確定した額又は確定した数を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
    • 2 所定の日までに報酬委員会(その委員の過半数が当該法人の独立社外取締役であるものに限り、当該法人の業務執行役員と特殊の関係のある者が委員となっているものを除きます。)の決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成しているものに限ります。)その他適正な手続を経ていること。
    • 3 その内容が、上記2の手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることなどの方法により開示されていること。
  • ハ 次の要件を満たすものであること。
    • 1 金銭による給与…上記イ1から3に掲げる指標(以下「業績連動指標」といいます。)の数値が確定した日の翌日から1月を経過する日までに交付され、又は交付される見込みであること。
    • 2 株式又は新株予約権(下記3の新株予約権を除きます。)による給与…業績連動指標の数値が確定した日の翌日から2月を経過する日までに交付され、又は交付される見込みであること。
    • 3 法人税法第54条の2第1項に規定する特定新株予約権等による給与で、無償で取得され、又は消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの…上記ロ2の手続の終了の日の翌日から1月を経過する日までに交付されること
  • ニ 損金経理をしていること(損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含みます。)。

    (注)業績連動給与とは、次の給与をいいます。

    • 1 利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他のその法人又はその法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与
    • 2 法人税法第54条第1項に規定する特定譲渡制限付株式等による給与で無償で取得される株式の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの
    • 3 法人税法第54条の2第1項に規定する特定新株予約権等による給与で無償で取得され、又は消滅する新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するもの

 上記の要件のうち、ロの1に記載している「確定した額を限度としている」とは、支給額の上限が具体的な金額をもって定められていることをいいますから、ご質問のように「経常利益の○○%に相当する金額を限度とする」といった支給額の上限が具体的な金額によらないものはこの要件を満たさないこととなります(法基通9−2−18)。

【関係法令通達】

 法人税法第34条第1項第3号、第5項、法人税法施行令第69条第9項から第21項
 法人税基本通達9−2−18

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。