内国法人A社は非居住者Bから本年5月にBが国内に有している土地を購入し、7月に引渡しを受けました。Bは従来から海外企業へ出向していたため海外に居住していましたが、本年8月に帰国し居住者となりました。A社は本年9月にその土地の購入代金をBに支払いましたが、支払の時点でBは居住者となっていますので、源泉徴収は不要と考えてよいでしょうか。
非居住者に対する土地の譲渡対価として源泉徴収する必要があります。
非居住者又は外国法人が日本国内にある土地及び建物等の不動産を譲渡した場合、その譲渡対価を支払う者は、その支払の際に源泉徴収しなければならないこととされています(所得税法161条第1項第5号、第212条)。
土地の譲渡対価については、通常土地の引渡しがあった日が支払をすべき日(譲渡人から見た場合は収入すべき日)となりますので(所得税基本通達36-12)、土地の引渡しがあった日においてその譲渡対価の支払を受ける者が居住者であるか非居住者であるかによって源泉徴収の有無を判定することになります。
照会の場合、Bは本年8月に帰国し居住者となっていますが、Bの帰国前の非居住者である期間に土地の引渡しが行われていますので、A社はその土地の購入代金の支払の際に、非居住者に対する土地の譲渡対価として源泉徴収を行う必要があります。
(注) 源泉徴収の対象とされる支払が給与等である場合、その給与等が居住者又は非居住者のいずれに支払われるものであるかは、その給与等の支給期(収入すべき時期)(所得税基本通達36-9、212-5)においてその者が居住者又は非居住者のいずれであるかによって判定します。
したがって、給与等の計算期間の中途において国外にある支店等から国内にある本店等に転勤したため帰国した者に支払う給与等で、その者の居住者となった日以後に支給期の到来するものについては、その給与等の金額のうちに非居住者であった期間の勤務に対応する部分の金額が含まれているときであっても、その総額を居住者に対する給与等として源泉徴収を行うことになります(所得税基本通達212−5(注)2)。
所得税法第161条第1項第5号、第212条第1項、所得税基本通達36-9、36-12、212-5
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。