【照会要旨】

 内国法人A社は、自己株式の取得を事由として、ルクセンブルク法人である親会社に対し金銭を交付することになりました。その金銭のうち資本金等の額を超える部分については、みなし配当として源泉徴収を要することになりますが、日ルクセンブルク租税条約第10条第2項(a)の親子間配当の軽減税率の適用要件を判定する際の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」はいつとすればよいでしょうか。

【回答要旨】

 自己株式を取得した日の属する事業年度の終了の日を「利得の分配に係る事業年度の終了の日」として保有期間要件を判定します。

 みなし配当についても日ルクセンブルク租税条約第10条第2項(a)に規定する親子間配当の軽減税率の適用対象になりますが(同条約第10条第3項)、その適用を受けるためには、「利得の分配に係る事業年度の終了の日」に先立つ6か月の期間を通じて、25パーセント以上の株式を所有すること(保有期間要件)が求められています。
 みなし配当のうち法人の合併によるものは、その事業年度開始の日からその合併の前日までの期間を事業年度とみなすこととされているため(法人税法第14条第1項第2号)、そのみなし事業年度終了の日が「利得の分配に係る事業年度の終了の日」と解されます。
 一方、自己株式の取得を事由としたみなし配当については、みなし事業年度がありませんので、日ルクセンブルク租税条約第10条第2項(a)の「利得の分配に係る事業年度の終了の日」を「利得の分配(配当)が行われる事業年度の終了の日」として、保有期間要件を判定します。

【関係法令通達】

 所得税法第25条、日ルクセンブルク租税条約第10条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。