A社では、居住者である使用人の職務発明について特許を受ける権利を承継し、特許法第35条《職務発明》の規定に基づく相当の利益として、その権利の実施後の実績に応じて補償金を支払っています。この補償金については、工業所有権等の使用料として源泉徴収の対象となりますか。
居住者が「相当の利益」として支払を受ける補償金については、源泉徴収をする必要はありません。
特許法第35条の規定に基づき、特許を受ける権利の承継による相当の利益として支払われる補償金は、使用人の有する権利を使用者等に使用させたことによる使用料として支払を受けるものではありませんので、所得税法第204条第1項第1号《源泉徴収義務》に規定する工業所有権等の使用料に該当しません。
なお、使用人である発明者が特許権者となって使用者等に専用実施権を設定している場合のその対価の支払は、使用人の有する権利を使用することによるものですから、所得税法第204条第1項第1号に規定する工業所有権等の使用料に該当します。
所得税法第204条第1項第1号、特許法第35条
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。