【照会要旨】

 当社は、「ベビーシッター派遣事業」(注)を利用し、ベビーシッターを利用する当社の使用人(以下「本件利用者」といいます。)に対し、その利用料の支払に充てることができる割引券(以下「本件割引券」といいます。)を交付しています。
 今般、当社の独自の制度として、本件割引券の利用上限額を超えて本件利用者に自己負担が生じた場合に、本件利用者へ金銭を支給する制度(以下「本件制度」といいます。)を設けることとしました。
 本件制度において、本件利用者は、ベビーシッター派遣サービスを利用した後、領収証の写しを添えて当社に利用報告書を提出し、利用料のうち本件割引券の額を超えて自己負担した金額について、当社から補填金として金銭の支払を受けることとなります。
 本件割引券については、所得税法上、非課税所得に該当するとのことですが、当社が本件制度に基づき本件利用者に支払う補填金もこれと同様に非課税所得に該当するのでしょうか。
 なお、この補填金について、1家庭につき616,000円(本件割引券の対象児童1名に係る年間利用上限額と同額)を限度額とします。

(注) この事業は、子ども・子育て支援法に規定する仕事・子育て両立支援事業として、多様な働き方をしている労働者がベビーシッター派遣サービスを利用した場合に、その利用料金の一部又は全部を助成する事業であり、そのサービスの利用について1枚当たり2,200円、対象児童1名につき年間280枚(616,000円)の使用を上限として補助を受けることができる割引券が発行されるものです。

【回答要旨】

 本件補填金は、非課税所得に該当せず、給与所得として課税の対象となります。

 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業等により、その業務を利用する者の居宅等において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務等に要する費用に充てるため支給される金品については、所得税を課さないこととされていますが(所得税法第9条第1項第16号)、本件補填金は、貴社が独自に行う本件制度により本件利用者に支払われるものですから、国又は地方公共団体が行う事業により支給される金品には該当しません。
 そして、本件利用者は、貴社の使用人としての地位に基づき本件補填金の給付を受けていますので、本件補填金は、給与所得として課税の対象となります(所得税法第28条第1項)。

【関係法令通達】

 所得税法第9条第1項第16号、第28条第1項

注記
 令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。