A社では、健康保険料の負担割合を厚生労働省の認可を受け、次のように定めています。
事業主負担 = 6%
被保険者負担 = 3.97%
(6%+3.97%) × 1/2 = 4.985%
この「4.985%相当額」を超える事業主負担は、被保険者である従業員に対する経済的利益に該当しますか。
経済的利益には該当しません。
健康保険料の負担割合は、事業主負担が全体の2分の1、被保険者負担が全体の2分の1が原則ですが(健康保険法第161条)、健康保険組合の規約をもって事業主の負担割合を増加することができることとされており(同法第162条)、その増加した割合による事業主負担の保険料も、健康保険法の規定により事業主が負担すべき保険料ということとなります。
逆にいえば、この事業主負担以外の部分が被保険者として負担すべき保険料であり、これを事業主が負担した場合、照会の場合でいえば、3.97%相当額の全部又は一部を事業主が負担した場合に初めて経済的利益が発生することとなります。
所得税法第36条第1項、第2項、健康保険法第161条、第162条
注記
令和6年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。