【照会要旨】

 退職後、新たに再就職又は自営しようとする社員に対する助成策として転進助成金制度(以下「本制度」といいます。)を導入し、社員が転進後(退職後)の職業に役立つ資格、技能を習得するために受講又は受験した社外講座、試験に要した費用について、30万円を限度として転進助成金を支給することとしたいのですが、その転進助成金に対する課税上の取扱いはどのようになりますか。

(注) 本制度は中高年層の定年前退職を促進する目的のため創設されたものです。

【回答要旨】

 照会の転進助成金は、給与所得又は雑所得に該当することとなります。

 退職前(雇用関係継続中)に支給が確定するものは、雇用関係に基づいて受ける給付ですから、給与所得に該当します。
 退職後(雇用関係終了後)に支給が確定するものは、退職に基因して支払われるものではなく、また、本制度の対象となる講座や試験に該当しなければ助成は受けられない(転進後の就職に役立つことを目的として一定の受講等に要した費用を支弁するものです。)ことから、給与所得、退職所得及び一時所得のいずれにも該当しないので、雑所得に該当することとなります。
 なお、この転進助成金は、使用者の業務遂行上の必要に基づき、使用人としての職務に直接必要な資格、技術の習得を目的としたものではないため、非課税とはなりません(所得税基本通達36-29の2)。

【関係法令通達】

 所得税法第28条、第30条、第34条、第35条、第36条、所得税基本通達36-29の2

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。