○国税庁告示第五号

租税特別措置法施行規則(昭和三十二年大蔵省令第十五号)第十八条の十五の三第三十三項の規定に基づき、同項に規定する国税庁長官の定める基準を次のように定め、令和五年四月一日から適用する。

令和五年三月三十一日

国税庁長官 阪田 渉

1 この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  • 一 特定ファイル 租税特別措置法施行規則(以下「規則」という。)第十八条の十五の三第三十三項に規定する特定ファイルをいう。
  • 二 金融商品取引業者等 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号。以下「法」という。)第三十七条の十四第一項に規定する金融商品取引業者等をいう。
  • 三 営業所 法第三十七条の十四第一項に規定する営業所をいう。
  • 四 基準額提供事項 法第三十七条の十四第二十七項に規定する基準額提供事項をいう。
  • 五 アクセス権限 規則第十八条の十五の三第三十三項に規定する権限をいう。
  • 六 認定事業者 規則第十八条の十五の三第三十三項に規定する認定電子計算機(第十二号において「認定電子計算機」という。)について次号に規定する認定を受けた者をいう。
  • 七 認定 規則第十八条の十五の三第三十三項に規定する認定をいう。
  • 八 認定対象クラウドサービス等 法第三十七条の十四第二十七項の金融商品取引業者等の営業所の長が認定事業者と利用契約をし、又は当該金融商品取引業者等の営業所の長が自己構築する国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令(平成十五年財務省令第七十一号)第五条の二第四項の認定に係る電子計算機であって、法第三十七条の十四第二十七項の規定により基準額提供事項を提供する際に利用することが見込まれるものをいう。
  • 九 非課税口座 法第三十七条の十四第五項第一号に規定する非課税口座をいう。
  • 十 居住者又は非居住者 それぞれ所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三号又は第五号に規定する居住者又は非居住者をいう。
  • 十一 恒久的施設 所得税法第二条第一項第八号の四に規定する恒久的施設をいう。
  • 十二 認定クラウドサービス等 認定電子計算機であって、法第三十七条の十四第二十七項の金融商品取引業者等の営業所の長が同項の規定により基準額提供事項を提供する際に利用されるものをいう。

2 規則第十八条の十五の三第三十三項に規定する国税庁長官の定める基準は、次に掲げる基準とする。

  • 一 国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第五条の二第一項に規定する国税庁長官の定める基準(令和三年国税庁告示第二十三号。第四号において「基準告示」という。)第二項各号(第四号(ロに係る部分に限る。)及び第九号(イ及びチ(1)に係る部分に限る。)を除く。)に掲げる基準に該当すること。
  • 二 特定ファイルについて、次に掲げる措置を講ずること。
    • イ 当該特定ファイルを利用する法第三十七条の十四第二十七項の金融商品取引業者等の営業所の長、当該特定ファイルに記録されている基準額提供事項に対するアクセス権限が付与されている同項の所轄税務署長(以下この号において「所轄税務署長」という。)及び当該所轄税務署長から指示を受けた認定事業者に限り、特定ファイルにアクセスすることができること。
    • ロ 当該特定ファイルに記録されている基準額提供事項に対するアクセス権限が付与されている所轄税務署長から指示を受けた認定事業者は、次に掲げる行為を行うことができること。
      • (1) 当該基準額提供事項を閲覧すること。
      • (2) 当該基準額提供事項を複製すること及び当該複製された基準額提供事項を認定対象クラウドサービス等に備えられた所定の領域へ移管すること。
    • ハ ロ(1)及び(2)に掲げる行為に関して、当該行為を行う者、当該行為の内容並びに当該行為を行った日付及び時間に関する情報(ログ)を記録し、及び管理すること。
  • 三 認定対象クラウドサービス等について、次に掲げる措置を講ずること。
    • イ 法第三十七条の十四第二十九項の所轄税務署長(以下この号において「所轄税務署長」という。)は、認定事業者に対しロ(1)から(4)までに掲げる行為を行うための指示を行うことその他の同項の規定による規則第十八条の十五の三第三十七項に規定する事項の提供のために必要な行為を行うことができること。
    • ロ 認定事業者は、次に掲げる行為を行うことができること。
      • (1) 前号ロ(2)により移管された基準額提供事項を基に非課税口座を開設する居住者又は恒久的施設を有する非居住者に係る法第三十七条の十四第五項第六号イに規定する特定累積投資勘定基準額及び同号ハ(1)に規定する特定非課税管理勘定基準額(以下「特定累積投資勘定基準額等」という。)を算出すること。
      • (2) 認定事業者が複数いる場合には、所轄税務署長のイに規定する指示に基づき他の認定事業者との情報連携を行うこと。
      • (3) (1)により算出された特定累積投資勘定基準額等を複製すること及び居住者又は恒久的施設を有する非居住者の非課税口座で法第三十七条の十四第二十七項に規定する基準年の翌年分の同条第五項第七号に規定する特定累積投資勘定が設けられているものが開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に対し当該特定累積投資勘定基準額等を提供すること。
      • (4) 非課税口座を開設する居住者又は恒久的施設を有する非居住者に対し、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)附則第六条第三項に規定する情報提供等記録開示システムを通じて前号ロ(2)により複製された基準額提供事項を提供すること。
    • ハ 所轄税務署長が行うイに規定する行為及び認定事業者が行うロ(1)から(4)までに掲げる行為に関して、これらの行為を行う者、これらの行為の内容並びにこれらの行為を行った日付及び時間に関する情報(ログ)を記録し、及び管理すること。
  • 四 前号ロ(1)から(4)までに掲げる行為を行う所定の領域は、基準告示第二項第七号に規定する機器内に設けること。
  • 五 認定後においては、次に掲げる事項を遵守すること。
    • イ 法第三十七条の十四第二十七項の金融商品取引業者等の営業所の長が基準額提供事項の提供を行う前に、次に掲げる連動テストを実施し、かつ、正常に動作し、及び通信できることを確認すること。
      • (1) 当該認定クラウドサービス等と国税庁の使用に係る電子計算機との連動テスト
      • (2) 当該認定クラウドサービス等と他の認定クラウドサービス等との連動テスト
    • ロ 認定事業者は、特定ファイルについて第二号ロ(1)及び(2)に掲げる行為以外の行為(システムメンテナンス又はデータバックアップを含む。)を行う場合には、あらかじめ国税庁の当該職員に申し出て、承諾を得ること。
    • ハ 認定事業者は、認定クラウドサービス等について第三号ロ(1)から(4)までに掲げる行為以外の行為(システムメンテナンス又はデータバックアップを含む。)を行う場合には、あらかじめ国税庁の当該職員に申し出て、承諾を得ること。
    • ニ 認定事業者は、第三号ロ(3)に規定する特定累積投資勘定基準額等に誤りがあった場合又は同号ロ(3)に掲げる行為により提供すべき金融商品取引業者等の営業所の長に誤りがあった場合には、その旨、その原因及び対処方針等を、速やかに又は対応の経過に応じて、国税庁の当該職員に報告するとともに、国税庁の当該職員の指示がある場合には、その指示に従うこと。