(農業経営基盤強化促進法に規定する事業による譲渡をした場合)
70の4-29の2 措置法第70条の4第1項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子の対象となる譲渡等から除外される譲渡等は、措置法第70条の6第1項第1号に規定する「第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡その他政令で定める譲渡又は設定」とは異なることに留意する。
 したがって、措置法令第40条の6第9項第4号イ又はロの要件を満たさない受贈者が行った農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号((市町村の定める農業振興地域整備計画))に規定する農用地区域として定められている区域内にある特例適用農地等の次の(1)から(3)までに掲げる譲渡は、収用交換等による譲渡等に該当しないことに留意する。
  1. (1) 農業経営基盤強化促進法第4条第2項((定義))に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のための譲渡
  2. (2) 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のための譲渡
  3. (3) 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる譲渡
(注) 措置法第70条の4第1項の規定の適用を受けている受贈者で措置法令第40条の6第9項第4号イ若しくはロの要件を満たす受贈者が上記の(1)から(3)までに掲げる譲渡を行った場合におけるこれらの譲渡又は措置法第70条の6第1項の規定の適用を受けている相続人が上記の(1)から(3)までに掲げる譲渡を行った場合におけるこれらの譲渡は、それぞれ措置法第70条の4第1項第1号又は措置法第70条の6第1項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子の対象となる譲渡等から除外されることに留意する。

※ 太字部分が改定部分です。

(改正)

(説明)
 特例適用農地等の譲渡等をした場合において、譲渡等をした特例適用農地等の面積が100分の20を超えたときは、納税猶予税額の全額について納税猶予が打ち切られることとなる(措法70の41一)。
 平成24年度税制改正により措置法第70条の4第1項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子の対象となる譲渡から除かれる「第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡その他政令で定める譲渡又は設定」に、農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域内にある特例適用農地等の次に掲げる譲渡(措置法令第40条の6第9項第4号イ又はロの受贈者の区分に応じ、同号イ又はロの要件を満たす場合に限る。)が追加された(措令40の69四)。

  1. (1) 農業経営基盤強化促進法第4条第2項((定義))に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のための譲渡
  2. (2) 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のための譲渡
  3. (3) 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる譲渡

 そこで、本通達の(注)では、措置法第70条の4第1項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子の対象となる譲渡等から除外される譲渡等は、措置法令第40条の6第9項第4号イ又はロの要件を満たす受贈者が上記(1)から(3)までのいずれかに掲げる譲渡等を行った場合における譲渡等であり、措置法令第40条の6第9項第4号イ又はロの要件を満たさない受贈者が上記(1)から(3)までのいずれかに掲げる譲渡等を行った場合における譲渡等はその除外される譲渡等の対象とならないことを留意的に明らかにした。

(措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付け)
70の4―80 措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付け(以下70の4-93までにおいて「営農困難時貸付け」という。)とは、同条第1項の規定の適用を受ける受贈者が特例適用農地等について当該受贈者の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の6第45項で定める状態となった場合において、当該受贈者が当該特例適用農地等について行った次の(1)から(3)までに掲げるいずれかの貸付け(措置法第70条の4の2第1項に規定する猶予適用者(以下70の4-80において「猶予適用者」という。)に該当する受贈者にあっては次の(2)又は(3)に掲げる貸付け)を行った場合をいうことに留意する。
  1. (1) 措置法第70条の4の2第1項各号に掲げる貸付け
  2. (2) 特例適用農地等が措置法令第40条の6第46項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合における貸付け
  3. (3) 措置法第70条の4の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行っている場合に限る。)における当該貸付け又は当該貸付け以外の地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下70の4-85までにおいて「権利設定」という。)に基づく貸付け

※ 太字部分が改定部分です。

(改正)

(説明)
 平成24年度税制改正において、措置法第70条の4の2第2項に規定する猶予適用者(以下「猶予適用者」という。)が特例適用農地等の全部又は一部について、次の(1)から(3)までに掲げる地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(以下「賃借権等」という。)の設定による貸付け(以下「特定貸付け」という。)を行った場合において、特定貸付けを行った日から2月以内に特定貸付けを行った旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、その特定貸付けを行った農地又は採草放牧地については、その特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなされ、引き続き贈与税の納税猶予を適用することができる特例が創設された(措法70の4の21)(以下、この特例を「贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例」という。)。

  1. (1) 農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のために行われる貸付け(措法70の4の21一)
  2. (2) 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のために行われる貸付け(措法70の4の21二)
  3. (3) 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行われる貸付け(措法70の4の21三)

 この特例の創設に伴い、相続税の納税猶予と同様に、「贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例」の適用ができる場合には、営農困難時貸付けの特例の適用がないこととされた。ただし、相続税の場合と異なり、「贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例」は、適用対象者が猶予適用者に該当する必要があることから、特定貸付けの特例の適用ができる場合が相続税の納税猶予と異なることとなり、結果として営農困難時貸付けの特例の適用対象となる貸付けの内容が異なることとなる(70の6-74参照)。
 本通達は、贈与税の納税猶予における営農困難時貸付けとはどのような場合における貸付けをいうのかを適用対象者が猶予適用者に該当するか否かの区分に応じ次のとおり留意的に明らかにした。

  1. (1) 猶予適用者の場合
    • イ 特例適用農地等が措置法令第40条の6第46項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合における貸付け
    • ロ 特例適用農地等が措置法令第40条の6第46項各号に掲げる地域若しくは区域に存する場合で、措置法第70条の4の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けをできなかったとき(当該貸付けの申し込みを当該1年を経過する日まで引き続き行っている場合に限る。)における当該貸付け又は当該貸付け以外の地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定に基づく貸付け
  2. (2) 上記(1)以外の者の場合
    • イ 措置法第70条の4の2第1項各号に掲げる貸付け
    • ロ 上記(1)のイと同様の貸付け
    • ハ 上記(1)のロと同様の貸付け

(参考)

  • 要件1 措置法第70条の4の2第1項に規定する猶予適用者に該当するか。
  • 要件2 特例適用農地等が措置法令第40条の6第46項各号に掲げる地域又は区域(=事業地域)に存するか。
  • 要件1 措置法第70条の4の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付を行うことができたか。

要件をまとめた図