問 被相続人甲は、配偶者乙に対して、相続開始前々年に店舗兼住宅(甲の青果小売業の用に供されていた店舗部分の割合2分の1、甲と乙の居住の用に供されていた住宅部分の割合2分の1)の土地・建物について持分3分の1を贈与した。乙は、相続税法基本通達21の6−3但し書の取扱いを適用して、贈与を受けた持分に相当する部分はすべて居住用部分であるとして、贈与税の配偶者控除を適用して贈与税の申告を行った。
 乙は甲の土地・建物の共有持分のすべてを相続により取得し、甲及び乙の居住の用に供されていた部分を申告期限まで引き続き居住の用に供している。
 また、乙は、同所での甲の青果小売業を承継し、申告期限まで引き続き事業を営んでいる。
 この場合、小規模宅地等の特例の対象となる甲の居住の用に供されていた部分に相当する部分、甲の事業の用に供されていた部分に相当する部分の割合(相続開始直前の利用状況等は下図のとおり)はどうなるか。

店舗兼住宅の図


 租税特別措置法第69条の4第1項の規定の適用がある店舗兼住宅の敷地の用に供されていた宅地等で、相続の開始の前年以前に被相続人からその持分の贈与について、まる1相続税法第21条の6第1項((贈与税の配偶者控除))の規定による贈与税の配偶者控除を相続税法基本通達21の6−3の但し書の取扱いにより適用したもの又はまる2相続開始の年に被相続人からその持分の贈与について相続税法第19条第2項第2号((相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額))の規定を相続税法基本通達19−10の後段の取扱いにより同項に規定する特定贈与財産に該当することとなったものであっても、租税特別措置法施行令第40条の2第2項に規定する被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた部分の判定については、その相続開始の直前における現況によって行うこととなる。
 したがって、本件における相続財産である土地(甲の持分3分の2)について、特定居住用宅地等又は特定事業用宅地等の要件を満たしているとした場合の各部分に相当する部分は、次のとおりとなる。

【特定居住用宅地等に相当する部分】
 300平方メートル(土地の土地の面積)×(150平方メートル(甲の居住の用に供されていた部分の床面積)÷300平方メートル(建物総床面積))×(2÷3(甲の持ち分))=100平方メートル

【特定事業用宅地等に相当する部分】
 300平方メートル(土地の土地の面積)×(150平方メートル(甲の事業の用に供されていた部分の床面積)÷300平方メートル(建物総床面積))×(2÷3(甲の持ち分))=100平方メートル

 なお、相続税の申告書第11・11の2表の付表2の1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その1))及び第11・11の2表の付表2の2(小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その2))の記載は次頁のとおり。

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