(認定相続承継会社等が外国会社又は医療法人の株式等を有する場合の納税猶予分の相続税額の計算の基となる特例相続非上場株式等の価額)

70の7の4−6 特例相続非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項の規定の適用を受ける場合において、相続の開始の時に、特例相続非上場株式等に係る認定相続承継会社又は当該認定相続承継会社の特別関係会社(措置法令第40条の8の3第4項において準用する措置法令第40条の8の2第8項の特別の関係がある会社をいう。以下70の7の4−6の2までにおいて同じ。)であって当該認定相続承継会社との間に支配関係がある法人(以下70の7の4−6の2までにおいて「特別支配関係法人」という。)が会社法第2条第2号に規定する外国会社(当該認定相続承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。以下70の7の4−6の2までにおいて同じ。)又は措置法令第40条の8の3第7項において準用する措置法令第40条の8の2第12項に定める医療法人(以下70の7の4−6の2までにおいて「外国会社等」という。)の株式等を有するときにおける措置法第70条の7の4第2項第4号に規定する納税猶予分の相続税額(以下70の7の4−6の2までにおいて「納税猶予分の相続税額」という。)の計算の基となる当該特例相続非上場株式等の価額は、措置法第70条の7の4第1項の特例受贈非上場株式等の同法第70条の7第1項の規定の適用に係る贈与の時における当該認定相続承継会社の株式等の価額を基礎として当該認定相続承継会社又は当該認定相続承継会社の特別支配関係法人が当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして措置法令第40条の8の3第8項及び措置法規則第23条の12第3項の規定に基づき計算した価額となることに留意する。
 この場合において、措置法規則第23条の12第3項第2号ロ(1)に規定する「当該特別支配関係法人が直接又は他の特別支配関係法人を通じて間接に有する外国会社等の株式等の価額」とは、次に掲げる区分により計算した価額となることに留意する。

(1)  特別支配関係法人が直接に有する外国会社等の株式等の価額
 当該外国会社等の株式等の価額

(2)  特別支配関係法人が他の特別支配関係法人を通じて間接に有する外国会社等の株式等の価額
 次の算式により計算した価額
(算式)(特別支配関係法人が有する他の特別支配関係法人の株式等の数又は金額)×((他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額)−(他の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した場合の当該他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額))

  • (注)1 措置法規則第23条の12第3項第2号の純資産額を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることに留意する。
  • 2  平成22年4月1日前に贈与により取得をした平成22年改正法(所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)をいう。以下70の7の4−13までにおいて同じ。)による改正前の措置法(以下70の7の4−13までにおいて「平成22年改正前措置法」という。)第70条の7第2項第2号に規定する非上場株式等について同条第1項の規定の適用を受けている同項に規定する経営承継受贈者が当該非上場株式等の贈与をした者(以下70の7の4−6において「贈与者」という。)の死亡(平成22年4月1日以後における死亡に限る。)に伴い当該非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項の規定の適用を受ける場合において、当該贈与者の死亡に係る相続の開始の時に、特例相続非上場株式等に係る認定相続承継会社又は当該認定相続承継会社の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有するときにおける納税猶予分の相続税額の計算の基となる当該特例相続非上場株式等の価額は、平成22年改正措令附則第49条第1項第2号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により上記と同様の取扱いになることに留意する。
  • 3  上記(2)の算式中、「他の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した場合の当該他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額」とは、他の特別支配関係法人の株式等の価額を評価基本通達の定めにより計算した価額を基礎とし、当該他の特別支配関係法人が有している外国会社等の株式等の価額及び当該外国会社から受けた配当金に相当する金額を除外したところで計算した場合の当該株式等の価額とする。
(新設)

(説明)

 平成22年度税制改正により、特例相続非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項(非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予)の規定の適用を受ける場合において、相続の開始の時に、同条第1項に規定する特例相続非上場株式等(以下70の7の4−11までにおいて「特例相続非上場株式等」という。)に係る認定相続承継会社(以下70の7の4−11までにおいて「認定相続承継会社」という。)又は当該認定相続承継会社の特別関係会社(措置法令第40条の8の3第4項において準用する措置法令第40条の8の2第8項の特別の関係がある会社をいう。)であって当該認定相続承継会社との間に支配関係(措置法令第40条の8第7項に規定する関係をいう。)がある法人(以下「特別支配関係法人」という。)が、会社法第2条第2号に規定する外国会社(当該認定相続承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。以下同じ。)又は措置法令第40条の8の3第7項において準用する措置法令第40条の8の2第12項に定める医療法人(以下「外国会社等」という。)の株式等を有するときにおける措置法第70条の7の4第2項第4号に規定する納税猶予分の相続税額(以下「納税猶予分の相続税額」という。)の計算の基となる当該特例相続非上場株式等の価額は、同法第70条の7第2項第5号(納税猶予分の贈与税額)又は同法第70条の7の2第2項第5号(納税猶予分の相続税額)の規定振りと異なり、同法第70条の7の4第1項の特例受贈非上場株式等の同法第70条の7第1項の規定の適用に係る贈与の時における当該認定相続承継会社の株式等の価額を基礎として当該認定相続承継会社又は当該認定相続承継会社の特別支配関係法人が当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして措置法令第40条の8の3第8項及び措置法規則第23条の12第3項の規定に基づき計算した価額であるとされている(措法70の7の42四)。通達は、その旨を留意的に明らかにした。

(参考)措置法規則第23条の12第3項(抄)

 施行令第40条の8の3第8項の規定により読み替えて適用する法第70条の7の4第2項第4号イ及び同条第11項において準用する法第70条の7の2第14項第10号に規定する財務省令で定めるところにより計算した価額は、第1号に掲げる金額に第2号に掲げる割合を乗じて計算した金額とする。

1 法第70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された同項の特例受贈非上場株式等の一単位当たりの価額に法第70条の7の4第1項に規定する特例相続非上場株式等(以下この条において「特例相続非上場株式等」という。)の数又は金額を乗じて得た金額

2 法第70条の7の4第1項の規定の適用に係る相続の開始の時における、同条第2項第1号に規定する認定相続承継会社(以下この条において「認定相続承継会社」という。)の純資産額(会社の資産の額から負債の額を控除した残額をいう。以下この号において同じ。)から次に掲げる額の合計額を控除した残額が当該純資産額に占める割合

イ 当該認定相続承継会社が有する法第70条の7の4第2項第4号イの外国会社その他政令で定める法人(ロにおいて「外国会社等」という。)の株式等(株式又は出資をいう。ロにおいて同じ。)の価額

ロ 当該認定相続承継会社が有する当該認定相続承継会社の特別支配関係法人(法第70条の7の4第2項第1号ハに規定する特別関係会社であって当該認定相続承継会社との間に同項第4号イに規定する支配関係がある法人をいい、イの株式等に係る外国会社等を除く。)の株式等の価額に(1)に掲げる金額が(2)に掲げる金額に占める割合を乗じて得た金額

(1) 当該特別支配関係法人が直接又は他の特別支配関係法人を通じて間接に有する外国会社等(当該外国会社等との間に支配関係がある他の外国会社等を除く。)の株式等の価額((2)に掲げる金額を限度とする。)

(2) 当該特別支配関係法人の純資産額

 なお、この場合において、措置法規則第23条の12第3項第2号ロ(1)に規定する「当該特別支配法人が直接又は他の特別支配関係法人を通じて間接に有する外国会社等の株式等の価額」とは、次に掲げる区分により計算した価額となる。

(1) 特別支配関係法人が直接に有する外国会社等の株式等の価額
  当該外国会社等の株式等の価額

(2) 特別支配関係法人が他の特別支配関係法人を通じて間接に有する外国会社等の株式等の価額
  次の算式により計算した価額
(算式)(特別支配関係法人が有する他の特別支配関係法人の株式等の数又は金額)×((他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額)−(他の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した場合の当該他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額))
参考図

 ところで、通達の(注)1においては、措置法規則第23条の12第3項第2号の純資産額を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となること。また、(注)2においては、平成22年4月1日前に贈与により取得をした平成22年改正法(所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)をいう。)による改正前の措置法第70条の7第2項第2号に規定する非上場株式等について同条第1項の規定の適用を受けている同項に規定する経営承継受贈者が、当該非上場株式等の贈与をした者(以下「贈与者」という。)の死亡(平成22年4月1日以後における死亡に限る。)に伴い当該非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項(非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予)の規定の適用を受ける場合において、当該贈与者の死亡に係る相続の開始の時に、特例相続非上場株式等に係る認定相続承継会社又は当該認定相続承継会社の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有するときにおける納税猶予分の相続税額の計算の基となる当該特例相続非上場株式等の価額については、平成22年改正措令附則第49条第1項第2号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により上記と同様の方法により計算した価額となることから、それぞれについて留意的に明らかにした。

 なお、(注)3においては、上記(2)の算式中の「他の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した場合の当該他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額」について、法令上その計算方法について特段の定めがないことから、通達において、他の特別支配関係法人が保有する外国会社等の株式等の価額が特別支配関係法人の株式等の価額に包含されている部分として、当該他の特別支配関係法人の株式等の価額を評価基本通達の定めにより計算した価額を基礎とし、1当該他の特別支配関係法人が有している外国会社等の株式等の価額及び2当該外国会社から受けた配当金に相当する金額のみを除外したところで(再)計算した場合の当該株式等の価額を「他の特別支配関係法人が外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した場合の当該他の特別支配関係法人の株式等の1単位当たりの価額」として取り扱うこととした。

(注) この場合において、評価基本通達178((取引相場のない株式の評価上の区分))の大会社、中会社、小会社の区分、又は同通達189((特定の評価会社の株式))に掲げる区分はそのままの区分を適用して計算することに留意する。

(参考1)納税猶予税額を算出する際の基となる株式等の価額
  認定(贈与・相続)承継会社及び当該会社の特別関係会社(支配関係があるものに限る。)が一定の外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有しているか否かの有無
【措法70の7】
贈与税の納税猶予の特例の適用を受ける場合の特例受贈非上場株式等の価額
贈与時の価額 外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして計算した価額
【措法70の7の2】
相続税の納税猶予の特例の適用を受ける場合の特例非上場株式等の価額
相続開始時の価額
(※)経過措置(平21年改正法附則64)により、特定受贈同族会社株式等又は特定同族株式等について相続税の納税猶予(措法70条の7の21)の適用を受ける場合の特例非上場株式等である選択特定受贈同族会社株式等又は選択特定同族株式等の価額 贈与時の価額 贈与時の価額
【措法70の7の4】
非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70条の7の41)の特例の適用を受ける場合の特例相続非上場株式等の価額
措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額) 措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額)を基に、外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして措置規則23条の12第3項の規定に基づき計算した価額
平成22年4月前に贈与を受けた株式等について改正前の措法70条の71の規定の適用を受けている場合において非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70条の7の41)の特例の適用を受ける場合の特例相続非上場株式等の価額 措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額)を基に、外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして平成22年改正措置規則附則22条第3項の規定に基づき計算した価額

(参考2)
措置法第70条の7の4第2項第4号に規定する納税猶予分の相続税額の算出の基となる株式等の価値を求める計算(措置規則23の12第3項)

(平成22年4月1日前に贈与により取得をした非上場株式等に係る会社の措置法第70条の7の4第2項第1号ヘの要件)

70の7の4−11 平成22年4月1日前に贈与により取得をした平成22年改正前措置法第70条の7第2項第2号に規定する非上場株式等について同条第1項の規定の適用を受けている経営承継受贈者が、当該非上場株式等の贈与をした者の死亡に伴い当該非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ヘの規定の適用については、平成22年改正措令附則第49条第1項第1号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により、当該非上場株式等に係る会社は常時使用従業員(措置法規則第23条の12第2項において準用する措置法規則第23条の9第4項に規定する常時使用する従業員をいう。)の数が5人以上であるとみなされることに留意する。

(新設)

(説明)

 平成22年度税制改正において、認定相続承継会社の要件に、特例相続非上場株式等に係る認定相続承継会社の特別関係会社(認定相続承継会社と措置法令第40条の8の3第4項において準用する措置法令第40条の8の2第8項に規定する特別の関係がある会社をいう。以下同じ。)が会社法第2条第2号に規定する外国会社に該当する場合(当該会社又は当該会社との間に支配関係(措置法令第40条の8第7項に規定する関係をいう。)がある法人が当該特別関係会社の株式等を有する場合に限る。)には、当該会社の常時使用従業員(措置法規則第23条の12第2項において準用する措置法規則第23条の9第4項に規定する常時使用する従業員をいう。以下同じ。)の数が5人以上であることの要件(以下「常時使用従業員5人以上要件」という。)が追加された(措法70の7の42一ヘ)。
 ところで、平成22年度税制改正により、経過措置として、平成22年4月1日前に贈与により取得をした平成22年改正法(所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)をいう。)による改正前の措置法第70条の7第2項第2号に規定する非上場株式等について同条第1項(非上場株式等についての贈与税の納税猶予)の規定の適用を受けている経営承継受贈者が、当該非上場株式等の贈与をした者の死亡に伴い当該非上場株式等について措置法第70条の7の4第1項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ヘの規定(常時使用従業員5人以上要件)の適用については、平成22年改正措令附則第49条第1項第1号の規定により、当該非上場株式等に係る会社は常時使用従業員の数が5人以上であるとみなされ、措置法第70条の7の4第2項第1号ヘの要件(常時使用従業員5人以上要件)は課されていない。
 通達は、その旨を留意的に明らかにした。