(居住の用に供したとき等)

70の3−1 措置法第70条の3第1項第1号、第2号及び第3号に規定する「当該特定受贈者の居住の用に供したとき」、又は「同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき」とは、同条第3項第5号に規定する住宅取得等資金(以下70の3−14までにおいて「住宅取得等資金」という。)の贈与を受け、その全額を充てて住宅用家屋等(住宅用家屋、既存住宅用家屋又は増改築対象家屋をいう。以下70の3−3において同じ。)の新築等(新築、取得又は増改築等(同項第4号に規定する増改築等をいう。以下70の3−10までにおいて同じ。)をいう。以下70の3−3までにおいて同じ。)をした者が、当該住宅用家屋等を現にその居住の用に供したとき、又は当該住宅用家屋等をその居住の用に供することが確実であると見込まれるときをいうのであるが、その者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族(以下70の3−1において「生計を一にする親族」という。)と日常の起居を共にしていない場合において、その者と生計を一にする親族が居住の用に供し、又は居住の用に供することが確実であると見込まれるときで、当該やむを得ない事情が解消した後はその者が共に当該住宅用家屋等に居住することとなると認められるときは、これに該当するものとして取り扱う。
 なお、この取扱いの適用がある場合において、同条第7項の規定により贈与税の申告書に添付して提出しなければならないとされている書類については、次の(1)又は(2)に掲げるところによることとする。

  1. (1) 措置法規則第23条の6第6項第1号又は第2号の場合 同項第1号イ(2)又は第2号イ(2)に掲げる書類にあっては住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成されたもので、また、同項第1号ロ(3)又は第2号ロ(3)に掲げる書類にあっては、当該住宅用家屋等をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の住民票の写しの提出を約するもので差し支えない。
  2. (2) 同条第6項第3号の場合 同号イ(2)に掲げる書類にあっては、住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成されたもので、また、同号ロ(3)に掲げる書類にあっては、当該増改築対象家屋をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の戸籍の附票の写しその他の書類で当該生計を一にする親族が当該増改築等前に当該増改築対象家屋に居住していたこと及び当該増改築等後に当該増改築対象家屋に居住していることを明らかにするものの提出を約するもので差し支えない。
  • (注)1 上記の住宅用家屋とは、措置法第70条の3第3項第2号に規定する住宅用家屋(以下70の3−8までにおいて「住宅用家屋」という。)を、既存住宅用家屋とは、同項第3号に規定する既存住宅用家屋(以下70の3−8までにおいて「既存住宅用家屋」という。)を、増改築対象家屋とは、同項第1号に規定する特定受贈者(以下70の3−14までにおいて「特定受贈者」という。)が居住の用に供している住宅用の家屋をいうのであるから留意する。
  • 2  上記の取扱いは、その者と生計を一にする親族が当該住宅用家屋等を居住の用に供する前に、そのやむを得ない事情が解消している場合には、適用がないことに留意する。
  • 3  措置法第70条の3第1項第3号に規定する「当該特定受贈者が居住の用に供している住宅用の家屋」の判定については、上記に準じて取り扱う。
※下線部分が改正部分である。(改正)

(説明)

 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(措法70の3)の適用対象となる住宅用家屋とは、特定受贈者が生活の拠点として利用している家屋をいうものと解されることから、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者の親族を居住させるための住宅用家屋の新築等は、この特例の要件に該当しないこととなる。しかし、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が、転勤等のやむを得ない事由により一時的に家族と別居することを余儀なくされたような場合にまで一律にこの要件に該当しないとしてこの特例の適用を認めないとすることは適当ではない。
 そこで、70の3−1では、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、その者の配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族(以下「生計を一にする親族」という。)と日常の起居を共にしていない場合においても、その者と生計を一にする親族がその住宅用家屋を居住の用に供しており、かつ、そのやむを得ない事情が解消した場合には、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が共にその住宅用家屋に居住することとなると認められるときにはその居住用家屋は特定受贈者の居住の用に供したものとして取り扱うこととしている。
 本通達のなお書は、70の3−1の取扱いの適用を受ける場合において、贈与税の申告書に添付しなければならない書類について定めているが、平成22年度税制改正においてこの特例の適用を受ける贈与税の申告書に添付して提出する書類(措規23の66)について改正が行われたのを受け改めたものである。

(措置法第70条の2第1項の規定の適用後に住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入すべき価額がない場合の措置法第70条の3の適用関係)

70の3−3の2 措置法第70条の3第1項の規定は、住宅資金贈与者から贈与により取得した住宅取得等資金のうち贈与税の課税価格に算入される価額について適用があることから、措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた結果、当該住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入すべき価額がない場合には、適用がないことに留意する。

(新設)

(説明)

 平成22年度税制改正において、特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(措法70の3)については、その適用期限が平成23年12月31日まで2年延長された。
 ところで、住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の特例については、上記のほか直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法70の2)があるが、贈与により取得した住宅取得等資金の全額について、措置法第70条の2の規定の適用を受けたことにより住宅取得等資金のうち贈与税の課税価格に算入される価額がない場合に措置法第70条の3の規定の適用があるかどうか疑義が生ずる。
 措置法第70条の3の規定は相続時精算課税の選択の特例であり、贈与税の課税価格に算入される金額がない場合には、相続時精算課税を選択することはできないこととなる。
 そこで、70の3−3の2において、措置法第70条の3第1項の規定は、贈与により取得した住宅取得等資金のうち贈与税の課税価格に算入される価額について適用があることから、措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた結果、当該住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入すべき価額がない場合には、適用がないことを留意的に明らかにした。