(平成21年改正前措置法第69条の5第10項の書類を提出した特定受贈同族会社株式等についての相続税の納税猶予の適用)

69の5−19 平成21年改正法附則第64条第1項に規定する特定事業用資産相続人等(以下69の5−24までにおいて「特定事業用資産相続人等」という。)が平成21年3月31日以前に相続時精算課税に係る贈与により取得した特定受贈同族会社株式等について平成21年改正前措置法第69条の5第10項の書類を提出し、かつ、当該特定受贈同族会社株式等に係る特定贈与者(平成21年改正法附則第64条第2項に規定する特定贈与者をいう。以下69の5−25までにおいて同じ。)が平成20年10月1日以後に死亡している場合において、当該特定事業用資産相続人等が措置法第70条の7の2第1項の適用に係る要件及び平成21年改正法附則第64条第2項に掲げる要件のすべてを満たすときは、当該特定受贈同族会社株式等(平成21年改正令附則第43条第1項((非上場株式等についての相続税の課税価格の計算の特例等に関する経過措置))の規定により選択したものに限る。以下69の5−24までにおいて「選択特定受贈同族会社株式等」という。)は当該特定贈与者から相続(当該特定事業用資産相続人等が当該特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得した非上場株式等とみなされて、措置法第70条の7の2第1項の規定の適用があることに留意する。

(注) 選択特定受贈同族会社株式等について措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けようとする場合の措置法令第40条の8の2第1項第2号((非上場株式等についての相続税の納税猶予))の要件の判定に当たっては、「被相続人が有する認定承継会社の非上場株式等に係る議決権の数」に、平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第2項第3号に規定する経営承継相続人等(以下70の7の2−43までにおいて「経営承継相続人等」という。)が相続又は遺贈により取得をしたとみなされる選択特定受贈同族会社株式等に係る議決権の数を加算したところにより判定することに留意する。

※下線部分が改正部分である。(改正)

(説明)

 措置法第70条の7の2(非上場株式等についての相続税の納税猶予)の規定の適用対象となる非上場株式等は、原則として、被相続人から相続又は遺贈により取得したものに限られるのであるが(70の7の2−3参照)、平成21年改正法(所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)をいう。以下旧70の3の3・70の3の4−6までにおいて同じ。)附則第64条第1項に規定する特定事業用資産相続人等(以下69の5−24までにおいて「特定事業用資産相続人等」という。)が平成21年3月31日以前に相続時精算課税に係る贈与により取得した同項に規定する特定受贈同族会社株式等(以下69の5−24までにおいて「特定受贈同族会社株式等」という。)について平成21年改正前措置法(平成21年改正法附則第64条第11項の規定によりなお従前の例によるものとされる改正前の措置法をいう。以下旧70の3の3・70の3の4−2までにおいて同じ。)第69条の5第10項の書類を提出し、かつ、当該特定受贈同族会社株式等に係る特定贈与者(平成21年改正法附則第64条第2項に規定する特定贈与者をいう。以下同じ。)が平成20年10月1日以後に死亡している場合において、当該特定事業用資産相続人等が措置法第70条の7の2第1項の適用に係る要件及び平成22年3月31日までに納税地の所轄税務署長に平成21年改正法附則第64条第2項第1号の規定により措置法第70条の7の2の規定の適用を受けようとする旨その他一定の事項を記載した届出書を提出していることなど平成21年改正法附則第64条第2項に掲げる要件のすべてを満たすときは、同項に規定する選択特定受贈同族会社株式等(以下69の5−24までにおいて「選択特定受贈同族会社株式等」という。)は当該特定贈与者から相続(当該特定事業用資産相続人等が当該特定贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得した非上場株式等とみなされて、措置法第70条の7の2第1項の規定の適用があることとされている(平成21年改正法附則642)。
 ところで、平成22年度税制改正において、平成22年改正措令(租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)をいう。以下70の7の4−11までにおいて同じ。)附則第54条の規定により、特定受贈同族会社株式等について上記により措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合の平成21年改正措令(租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成21年政令第108号)をいう。以下旧70の3の3・70の3の4−2までにおいて同じ。)附則第43条第4項の読み替え規定が改正され、措置法令第40条の8の2第1項第2号の要件の判定に当たっては、被相続人が有する措置法第70条の7の2第2項第1号に規定する認定承継会社(以下70の7−34までにおいて「認定承継会社」という。)の非上場株式等に係る議決権の数に、平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第2項第3号に規定する経営承継相続人等(以下70の7−34までにおいて「経営承継相続人等」という。)が相続又は遺贈により取得をしたとみなされる選択特定受贈同族会社株式等に係る議決権の数を加算したところにより判定することとされたことから、通達の(注)について所要の改正を行った。

(特定受贈同族会社株式等について措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ホの要件)

69の5−23 特定受贈同族会社株式等について平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ホの規定の適用については、平成22年改正措令(租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成22年政令第58号)をいう。以下70の7の4−11までにおいて同じ。)附則第49条第2項第1号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により、当該特定受贈同族会社株式等に係る会社は常時使用従業員(措置法規則第23条の10第6項において準用する措置法規則第23条の9第4項に規定する常時使用する従業員をいう。以下69の5−23において同じ。)の数が5人以上であるとみなされることに留意する。

(注) 選択特定受贈同族会社株式等と相続又は遺贈により取得した当該選択特定受贈同族会社株式等に係る会社の株式等について併せて措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合であっても、当該特定受贈同族会社株式等に係る会社は常時使用従業員の数が5人以上であるとみなされることに留意する。

(新設)

(説明)

 平成22年度税制改正において、認定承継会社の要件に、措置法第70条の7の2第1項に規定する特例非上場株式等(以下70の7−34までにおいて「特例非上場株式等」という。)に係る認定承継会社の特別関係会社(認定承継会社と措置法令第40条の8の2第8項に規定する特別の関係がある会社をいう。以下同じ。)が会社法(平成17年法律第86号)第2条第2号((定義))に規定する外国会社に該当する場合(当該会社又は当該会社との間に支配関係(会社が他の法人の発行済株式又は出資(当該他の法人が有する自己の株式又は出資(以下「株式等」という。)を除く。)の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を直接又は間接に保有する関係として措置法令第40条の8第7項に規定する関係をいう。以下70の7の4−11までにおいて同じ。)がある法人が当該特別関係会社の株式等を有する場合に限る。)には、当該会社の常時使用従業員(措置法規則第23条の10第6項において準用する措置法規則第23条の9第4項に規定する常時使用する従業員をいう。以下同じ。)の数が5人以上であることの要件(以下「常時使用従業員5人以上要件」という。)が追加された(措法70の7の22一ホ)。

  • (注)1 措置法令第40条の8第7項に規定する支配関係とは、会社が他の法人の発行済株式又は出資(当該他の法人が有する自己の株式等を除く。以下この(注)の1において「発行済株式等」という。)の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有する場合における当該会社と他の法人との間の関係(以下この(注)の1において「直接支配関係」という。)をいう。この場合において、当該会社及び当該会社との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の他の法人又は当該会社との間に直接支配関係がある一若しくは二以上の他の法人がその他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するときは、当該会社は当該その他の法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の50を超える数又は金額の株式等を保有するものとみなされる(措令40の87)。
  • 2 「常時使用従業員」とは、措置法第70条の7第2項第1号イに定めるものをいい、会社の従業員であって、次に掲げるいずれかの者をいう(措規23の94)。
    (注)下線部分は、平成22年度税制改正により改正された箇所である。
    1. (1) 厚生年金保険法第9条、船員保険法第2条第1項又は健康保険法(大正11年法律第70号)第3条第1項に規定する被保険者(厚生年金保険法第18条第1項若しくは船員保険法第15条第1項に規定する厚生労働大臣の確認又は健康保険法第39条第1項に規定する保険者等の確認があった者に限る。)
    2. (2) 当該会社と2月を超える雇用契約を締結している者で75歳以上であるもの

 ところで、特定受贈同族会社株式等について平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ホの要件(常時使用従業員5人以上要件)の適用については、平成22年改正措令附則第49条第2項第1号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定において、当該特定受贈同族会社株式等に係る会社については常時使用従業員の数が5人以上であるとみなされ、措置法第70条の7の2第2項第1号ホの要件(常時使用従業員5人以上要件)が課されていない。通達は、その旨を留意的に明らかにした。
 なお、平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける選択特定受贈同族会社株式等と相続又は遺贈により取得した当該選択特定受贈同族会社株式等に係る会社の株式等の両方について、併せて同項の規定の適用を受ける場合の同条第2項第1号ホの要件(常時使用従業員5人以上要件)の適用についても上記と同様に、平成22年改正措令附則第49条第2項第1号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により、当該特定受贈同族会社株式等に係る会社については常時使用従業員の数が5人以上であるとみなされ、措置法第70条の7の2第2項第1号ホの要件(常時使用従業員5人以上要件)は課されていない。通達の(注)は、その旨を留意的に明らかにした。

(選択特定受贈同族会社株式等に係る認定承継会社等が外国会社又は医療法人の株式等を有する場合の納税猶予分の相続税額の計算の基となる特例非上場株式等の価額)

69の5−24 特定受贈同族会社株式等について平成21年改正法附則第64条第2項の規定により措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合において、相続の開始の時に、同条第1項に規定する特例非上場株式等(以下70の7の2−48までにおいて「特例非上場株式等」という。)に係る認定承継会社又は当該認定承継会社の特別関係会社(措置法令第40条の8の2第8項の特別の関係がある会社をいう。以下70の7の2−16の2までにおいて同じ。)であって当該認定承継会社との間に支配関係(措置法令第40条の8第7項に規定する関係をいう。以下70の7の4−6までにおいて同じ。)がある法人(以下70の7の2−16の2までにおいて「特別支配関係法人」という。)が会社法(平成17年法律第86号)第2条第2号((定義))に規定する外国会社(当該認定承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。)又は措置法令第40条の8の2第12項に定める医療法人の株式等を有するときにおける措置法第70条の7の2第2項第5号に規定する納税猶予分の相続税額(以下70の7の2−48までにおいて「納税猶予分の相続税額」という。)の計算の基となる当該特例非上場株式等である選択特定受贈同族会社株式等の価額は、平成22年改正措令附則第49条第2項第2号((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))の規定により、特定事業用資産相続人等が当該特定受贈同族会社株式等の贈与を受けた時の価額であることに留意する。

(新設)

(説明)

 平成22年度税制改正により、措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合において、相続の開始の時に、特例非上場株式等に係る認定承継会社又は当該認定承継会社の特別関係会社(認定承継会社と措置法令第40条の8の2第8項に規定する特別の関係がある会社をいう。以下同じ。)であって当該認定承継会社との間に支配関係(措置法令第40条の8第7項に規定する関係をいう。)がある法人(以下「認定承継会社等」という。)が会社法第2条第2号に規定する外国会社(当該認定承継会社の特別関係会社に該当するものに限る。)(以下「外国会社」という。)又は措置法令第40条の8の2第12項に定める医療法人(以下「医療法人」という。)の株式等を有するときにおける措置法第70条の7の2第2項第5号に規定する納税猶予分の相続税額(以下旧70の3の3・70の3の4−6までにおいて「納税猶予分の相続税額」という。)の計算の基となる当該特例非上場株式等の価額は、当該認定承継会社等が当該外国会社又は医療法人の株式等を有していなかったものとして計算した価額とされた(措法70の7の22五)。
 他方、平成21年改正法附則第64条第2項の規定により特定受贈同族会社株式等について措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受ける場合において、相続の開始の時に、認定承継会社等が外国会社又は医療法人の株式等を有するときにおける納税猶予分の相続税額の計算の基となる当該特例非上場株式等である選択特定受贈同族会社株式等の価額は、当該認定承継会社等が当該外国会社又は医療法人の株式等を有していなかったものとして計算した価額ではなく、平成22年改正措令附則第49条第2項第2号の規定により、特定事業用資産相続人等が当該特定受贈同族会社株式等の贈与を受けた時の価額とされている。通達は、その旨を留意的に明らかにした。

(参考)納税猶予税額を算出する際の基となる株式等の価額
  認定(贈与・相続)承継会社及び当該会社の特別関係会社(支配関係があるものに限る。)が一定の外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有しているか否かの有無
【措法70の7】
贈与税の納税猶予の特例の適用を受ける場合の特例受贈非上場株式等の価額
贈与時の価額 外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして計算した価額
【措法70の7の2】
相続税の納税猶予の特例の適用を受ける場合の特例非上場株式等の価額
相続開始時の価額
(※)経過措置(平21年改正法附則64)により、特定受贈同族会社株式等又は特定同族株式等について相続税の納税猶予(措法70条の7の21)の適用を受ける場合の特例非上場株式等である選択特定受贈同族会社株式等又は選択特定同族株式等の価額 贈与時の価額 贈与時の価額
【措法70の7の4】
非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70条の7の41)の特例の適用を受ける場合の特例相続非上場株式等の価額
措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額) 措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額)を基に、外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして措置規則23条の12第3項の規定に基づき計算した価額
平成22年4月前に贈与を受けた株式等について改正前の措法70条の71の規定の適用を受けている場合において非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予(措法70条の7の41)の特例の適用を受ける場合の特例相続非上場株式等の価額 措法70条の7の3第1項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額(贈与時の価額を基礎として計算した価額)を基に、外国会社の株式等又は医療法人の出資を保有していなかったものとして平成22年改正措置規則附則22条第3項の規定に基づき計算した価額