69の4−15 被相続人の事業用宅地等を相続又は遺贈により取得した被相続人の親族が当該相続に係る相続税の申告期限までに死亡した場合には、当該親族から相続又は遺贈により当該宅地等を取得した当該親族の相続人が、措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件を満たせば、当該宅地等は同項第1号に規定する特定事業用宅地等又は同項第4号に規定する貸付事業用宅地等に当たるのであるから留意する。
(注) 当該相続人について措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件に該当するかどうかを判定する場合において、同項第1号又は第4号の申告期限は、相続税法第27条第2項((相続税の申告書))の規定による申告期限をいい、また、被相続人の事業(措置令第40条の2第1項に規定する事業を含む。以下69の4−15において同じ。)を引き継ぐとは、当該相続人が被相続人の事業を直接引き継ぐ場合も含まれるのであるから留意する。
平成22年度税制改正において、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(措法69の4)について、次の改正が行われた。
1 特例対象宅地等の改正
特例の対象となる宅地等(土地及び土地の上に存する権利をいう。以下同じ。)は、個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、相続の開始の直前において、被相続人又はその被相続人と生計を一にするその被相続人の親族(以下「被相続人等」という。)の事業(事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの(以下「準事業」という。)を含む。)の用又は居住の用に供されていた宅地等で一定の建物又は構築物の敷地の用に供されていたもので、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等又は貸付事業用宅地等に該当する部分に限ることとされた(措法69の4)。
2 特定事業用宅地等
特定事業用宅地等とは、被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除く。)の用に供されていた宅地等で、次の(1)又は(2)の要件のいずれかを満たすその被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(その親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限る。)をいうこととされた(措法69の4一、措令40の2
)。
3 特定居住用宅地等
特定居住用宅地等とは、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(その宅地等が2以上ある場合には、特定の一の宅地等に限る。)で、その被相続人の配偶者又は次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれかを満たすその被相続人の親族(被相続人の配偶者を除く。以下3において同じ。)が相続又は遺贈により取得したもの(被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分又は次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限る。)をいうこととされた(措法69の4二、措令40の2
、
)。
4 特定同族会社事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始の直前において被相続人及びその被相続人の親族その他その被相続人と特別の関係がある者が有する株式の数又は出資の額がその株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資の総額の10分の5を超える法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除く。)の用に供されていた宅地等で、その宅地等を相続又は遺贈により取得したその被相続人の親族(申告期限においてその法人の法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く。)である者に限る。)が、相続開始の時から申告期限(当該申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日。)まで引き続き有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されているもの(その法人(申告期限において清算中の法人を除く。)の事業の用に供されていた宅地等のうち、上記要件を満たす親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限る。)をいうこととされた(措法69の4三、措令40の2
、措規23の2
)。
5 貸付事業用宅地等
被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業に限る。以下5において「貸付事業」という。)の用に供されていた宅地等で、次の(1)又は(2)の要件のいずれかを満たすその被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(特定同族会社事業用宅地等に該当するものを除き、その親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に対応する部分に限る。)については貸付事業用宅地等に該当し、200を限度に50%の減額が適用されることとされた(措法69の4
二、
四、措令40の2
、
)。
69の4−16 措置法第69条の4第3項第1号イの要件の判定については、同号イの申告期限までに、同号イに規定する親族が当該宅地等の上で営まれていた被相続人の事業の一部を他の事業(同号に規定する事業に限る。)に転業しているときであっても、当該親族は当該被相続人の事業を営んでいるものとして取り扱う。
なお、当該宅地等が被相続人の営む2以上の事業の用に供されていた場合において、当該宅地等を取得した同号イに規定する親族が同号イの申告期限までにそれらの事業の一部を廃止したときにおけるその廃止に係る事業以外の事業の用に供されていた当該宅地等の部分については、当該宅地等の部分を取得した当該親族について同号イの要件を満たす限り、同号に規定する特定事業用宅地等に当たるものとする。
措置法第69条の4第3項第4号イの要件の判定については、69の4−16に定める同項第1号イの要件の判定と同様に取り扱うことが適当であることから、69の4−16(注)1において同号イの要件の判定に準じて取り扱うことを明らかにした。
また、措置法第69条の4第3項第4号ロの要件の判定の場合にも69の4−16のなお書と同様に取り扱うのが適当であるので、69の4−16(注)2において69の4−16のなお書の取扱いに準じて取り扱うことを明らかにした。
69の4−17 措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定において、被相続人等の事業の用に供されていた施設が災害により損害を受けたため、同号イ又はロの申告期限において当該事業が休業中である場合には、同号に規定する親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)により当該事業の再開のための準備が進められていると認められるときに限り、当該施設の敷地は、当該申告期限においても当該親族の当該事業の用に供されているものとして取り扱う。
(注) 措置法第69条の4第3項第2号イ及びハ、同項第3号並びに同項第4号イ及びロの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。
貸付事業用宅地等に係る措置法第69条の4第3項第4号イ及びロの要件の判定については、69の4−17に定める同項第1号イ又はロの要件の判定と同様に取り扱うことが適当であることから、69の4−17 (注)において、同号イ又はロの要件の判定に準じて取り扱うことを明らかにした。
69の4−19 措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定において、同号に規定する親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)の事業の用に供されている建物等が同号イ又はロの申告期限までに建替え工事に着手された場合に、当該宅地等のうち当該親族により当該事業の用に供されると認められる部分については、当該申告期限においても当該親族の当該事業の用に供されているものとして取り扱う。
(注) 措置法第69条の4第3項第2号イ及びハ、同項第3号並びに同項第4号イ及びロの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。
措置法第69条の4第3項第4号イ及びロの要件の判定については、69の4−19で定める同項第1号イ又はロの要件の判定と同様に取り扱うことが適当であることから、69の4−19 (注)において、同号イ又はロの要件の判定に準じて取り扱うことを明らかにした。
69の4−24の2 措置法第69条の4第3項第4号に規定する被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等には、当該貸付事業に係る建物等のうちに相続開始の時において一時的に賃貸されていなかったと認められる部分がある場合における当該部分に係る宅地等の部分が含まれることに留意する。
個人が相続又は遺贈により取得した宅地等が措置法第69条の4第3項第4号に規定する「被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等」であるか否かの判定は、課税時期において、その宅地等が現実に貸付事業の用に供されていたかにより行うのが原則である。
しかし、課税時期において、従前から行ってきた貸付事業がたまたま一時的に中断されたに過ぎない場合にまで、同様の判定を行うことは、実情に即したものとはいえないものと考えられる。(参考:財産評価基本通達26)
そこで、69の4−24の2では、措置法第69条の4第3項第4号に規定する被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等には、貸付事業に係る建物等のうちに相続開始の時において一時的に賃貸されていなかったと認められる部分がある場合におけるその部分に係る宅地等の部分が含まれることを留意的に明らかにした。