(法施行令第1条の2第1項に含まれる契約)
3−4 相続税法施行令(昭和25年政令第71号。以下「法施行令」という。)第1条の2第1項第1号に規定する保険契約及び同項第3号に規定する契約には、同項第1号又は第3号に掲げる者と締結した保険法(平成20年法律第56号)第2条第9号((定義))に規定する傷害疾病定額保険契約(以下3−5において同じ。)が含まれることに留意する。
(新設)
(法施行令第1条の2第2項に含まれる契約)
3−5 法施行令第1条の2第2項第1号に規定する保険契約及び同項第2号に規定する契約には、同項第1号又は第2号に掲げる者と締結した傷害疾病定額保険契約が含まれることに留意する。
(新設)
(説明)
 新たに制定された保険法(平成20年法律第56号:平成22年4月1日施行)では、従来の商法における「生命保険契約」及び「損害保険契約」のほかにいわゆる第3分野の保険に対応する「傷害疾病定額保険契約」又は「傷害疾病損害保険契約」といった従来の商法における生命保険契約又は損害保険契約の概念とは異なる契約類型を示す用語が定義された。「傷害疾病定額保険契約」については、相続税法において、それが生命保険契約に該当するのか、それとも損害保険契約に該当するのかが明確となっていないため、この点を明確にする必要があることから、今回、改正が行われたものである。
 この新たに保険法において定義された「傷害疾病定額保険契約」は、保険法においては、生命保険契約にも損害保険契約にも該当しない、いわゆる第3分野の保険として定義されたことから相続税法に規定する生命保険契約又は損害保険契約に含まれるかどうか疑義が生じる。そこで、平成22年税制改正において、相続税法における生命保険契約及び損害保険契約の範囲が明確化され、改正後の相続税法第3条第1項第1号は生命保険契約とは「保険業法(平成7年法律第105号)第2条第3項に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。)その他の政令で定める契約」をいうこととし、また、損害保険契約とは「同条第4項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約」をいうこととし、相続税法施行令第1条の2第1項又は第2項の各号に掲げる者と締結した契約がこれに当たるものとしており、「傷害疾病定額保険契約」についても相続税法施行令第1条の2第1項第1号又は第3号に掲げる者と締結したもの又は同条第2項各号に掲げる者と締結したものであれば、相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険契約又は損害保険契約に該当することとなる。
 そこで、相基通3−4では、相続税法施行令第1条の2第1項第1号に規定する保険契約及び同項第3号に規定する契約には、同項第1号又は第3号に掲げる者と締結した保険法第2条第9号に規定する傷害疾病定額保険契約(以下「傷害疾病定額保険契約」という。)が含まれることを留意的に明らかにした。
 また、相基通3−5では、相続税法施行令第1条の2第2項第1号に規定する保険契約及び同項第2号に規定する契約には、同項第1号又は第2号に掲げる者と締結した傷害疾病定額保険契約が含まれることを留意的に明らかにした。
(参考)
保険法(抜すい)
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 保険契約 保険契約、共済契約その他いかなる名称であるかを問わず、当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付(生命保険契約及び傷害疾病定額保険契約にあっては、金銭の支払に限る。以下「保険給付」という。)を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生に応じたものとして保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)を支払うことを約する契約をいう。
二〜五 (省略)
六 損害保険契約 保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものをいう。
七 傷害疾病損害保険契約 損害保険契約のうち、保険者が人の傷害疾病によって生ずることのある損害(当該傷害疾病が生じた者が受けるものに限る。)をてん補することを約するものをいう。
八 生命保険契約 保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの(傷害疾病定額保険契約に該当するものを除く。)をいう。
九 傷害疾病定額保険契約 保険契約のうち、保険者が人の傷害疾病に基づき一定の保険給付を行うことを約するものをいう。
保険業法(抜すい)
(定義)
第2条 この法律において「保険業」とは、人の生存又は死亡に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険その他の保険で、第三条第四項各号又は第五項各号に掲げるものの引受けを行う事業(次に掲げるものを除く。)をいう。
一 他の法律に特別の規定のあるもの
二 次に掲げるもの
  1. イ 地方公共団体がその住民を相手方として行うもの
  2. ロ 一の会社等(会社(外国会社を含む。以下この号において同じ。)その他の事業者(政令で定める者を除く。)をいう。)又はその役員若しくは使用人(役員又は使用人であった者を含む。以下この号において同じ。)が構成する団体がその役員若しくは使用人又はこれらの者の親族(政令で定める者に限る。以下この号において同じ。)を相手方として行うもの
  3. ハ 一の労働組合がその組合員(組合員であった者を含む。)又はその親族を相手方として行うもの
  4. ニ 会社が同一の会社の集団(一の会社及び当該会社の子会社の集団をいう。)に属する他の会社を相手方として行うもの
  5. ホ 一の学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第一条に規定する学校をいう。)又はその学生が構成する団体がその学生又は生徒を相手方として行うもの
  6. ヘ 一の地縁による団体(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体であって、同条第二項各号に掲げる要件に該当するものをいう。)がその構成員を相手方として行うもの
  7. ト イからヘまでに掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
三 政令で定める人数以下の者を相手方とするもの(政令で定めるものを除く。)
2 この法律において「保険会社」とは、第3条第1項の内閣総理大臣の免許を受けて保険業を行う者をいう。
3 この法律において「生命保険会社」とは、保険会社のうち第3条第4項の生命保険業免許を受けた者をいう。
4 この法律において「損害保険会社」とは、保険会社のうち第3条第5項の損害保険業免許を受けた者をいう。
5 (省略)
6 この法律において「外国保険業者」とは、外国の法令に準拠して外国において保険業を行う者(保険会社を除く。)をいう。
7 この法律において「外国保険会社等」とは、外国保険業者のうち第185条第1項の内閣総理大臣の免許を受けた者をいう。
8 この法律において「外国生命保険会社等」とは、外国保険会社等のうち第185条第4項の外国生命保険業免許を受けた者をいう。
9 この法律において「外国損害保険会社等」とは、外国保険会社等のうち第185条第5項の外国損害保険業免許を受けた者をいう。
10〜16 (省略)
17 この法律において「少額短期保険業」とは、保険業のうち、保険期間が二年以内の政令で定める期間以内であって、保険金額が千万円を超えない範囲内において政令で定める金額以下の保険(政令で定めるものを除く。)のみの引受けを行う事業をいう。
18 この法律において「少額短期保険業者」とは、第272条第1項の登録を受けて少額短期保険業を行う者をいう。
19〜42 (省略)
(免許)
第3条 保険業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、行うことができない。
2 前項の免許は、生命保険業免許及び損害保険業免許の二種類とする。
3 生命保険業免許と損害保険業免許とは、同一の者が受けることはできない。
4 生命保険業免許は、第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
一 人の生存又は死亡(当該人の余命が一定の期間以内であると医師により診断された身体の状態を含む。以下この項及び次項において同じ。)に関し、一定額の保険金を支払うことを約し、保険料を収受する保険(次号ハに掲げる死亡のみに係るものを除く。)
二 次に掲げる事由に関し、一定額の保険金を支払うこと又はこれらによって生ずることのある当該人の損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険
  1. イ 人が疾病にかかったこと。
  2. ロ 傷害を受けたこと又は疾病にかかったことを原因とする人の状態
  3. ハ 傷害を受けたことを直接の原因とする人の死亡
  4. ニ イ又はロに掲げるものに類するものとして内閣府令で定めるもの(人の死亡を除く。)
  5. ホ イ、ロ又はニに掲げるものに関し、治療(治療に類する行為として内閣府令で定めるものを含む。)を受けたこと。
三 次項第一号に掲げる保険のうち、再保険であって、前二号に掲げる保険に係るもの
5 損害保険業免許は、第一号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて第二号若しくは第三号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
一 一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険(次号に掲げる保険を除く。)
二 前項第二号に掲げる保険
三 前項第一号に掲げる保険のうち、人が外国への旅行のために住居を出発した後、住居に帰着するまでの間(以下この号において「海外旅行期間」という。)における当該人の死亡又は人が海外旅行期間中にかかった疾病を直接の原因とする当該人の死亡に関する保険
6 (省略)
(免許)
第185条 外国保険業者は、第3条第1項の規定にかかわらず、日本に支店等(外国保険業者の日本における支店、従たる事務所その他の事務所又は外国保険業者の委託を受けて当該外国保険業者の日本における保険業に係る保険の引受けの代理をする者の事務所をいう。以下この節から第五節までにおいて同じ。)を設けて内閣総理大臣の免許を受けた場合に限り、当該免許に係る保険業を当該支店等において行うことができる。
2 前項の免許は、外国生命保険業免許及び外国損害保険業免許の二種類とする。
3 外国生命保険業免許と外国損害保険業免許とは、同一の者が受けることはできない。
4 外国生命保険業免許は、第3条第4項第1号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第2号若しくは第3号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
5 外国損害保険業免許は、第3条第5項第1号に掲げる保険の引受けを行い、又はこれに併せて同項第2号若しくは第3号に掲げる保険の引受けを行う事業に係る免許とする。
6 外国保険会社等は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約については、内閣府令で定める場合を除くほか、日本国内において締結しなければならない。
(登録)
第272条 内閣総理大臣の登録を受けた者は、第3条第1項の規定にかかわらず、少額短期保険業を行うことができる。
2 少額短期保険業者は、小規模事業者(その収受する保険料が政令で定める基準を超えないものをいう。第272条の26第1項第3号において同じ。)でなければならない。