(措置法第70条の6の2の適用の対象となる特例農地等の範囲)

70の6の2-1 措置法第70条の6の2第1項に規定する貸付け(以下70の6の3-6までにおいて「特定貸付け」という。)の対象となる農地又は採草放牧地とは、都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地以外の措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域に所在する農地又は採草放牧地であり、措置法第70条の6の2第1項の規定の適用がある農地又は採草放牧地は特例農地等に限られるのであるが、この場合において、次に掲げる特例農地等は特定貸付けの対象とならないことに留意する。

  • (1) 措置法第70条の6第1項に規定する準農地である特例農地等
  • (2) 措置法令第40条の7第65項第2号又は第3号に掲げる敷地又は用地である特例農地等
  • (3) 措置法第70条の6第9項の規定の適用を受ける特例農地等
  • (4) 措置法第70条の6第10項に規定する貸付特例適用農地等
  • (5) 措置法第70条の6第21項に規定する一時的道路用地等の用に供するため同項に規定する地上権等の設定に基づく貸付けの対象となっている特例農地等(農業相続人が特定貸付けを行っていた特例農地等の全部又は一部について一時的道路用地等の用に供するために特定貸付けに係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権を消滅させ、一時的道路用地等の用に供するため地上権等の設定に基づく貸付けを行っている特例農地等で同項に規定する貸付期限が到来したものを除く。)
  • (6) 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けの対象となっている特例農地等
(新設)

(説明)

 平成21年度税制改正では、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人(以下「猶予適用者」という。)が特例農地等のうち市街化区域外に所在する農地又は採草放牧地の全部又は一部について、次の(1)から(3)までに掲げる地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(以下「賃借権等」という。)の設定による貸付け(以下「特定貸付け」という。)を行った場合において、特定貸付けを行った日から2月以内に特定貸付けを行った旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、その特定貸付けを行った農地又は採草放牧地については、その特定貸付けに係る賃借権等の設定はなかったものと、農業経営は廃止していないものとみなされ、引き続き相続税の納税猶予を適用することができる特例が創設された(措法70の6の2丸1)。

  • (1) 農業経営基盤強化促進法第4条第2項に規定する農地保有合理化事業(同項第1号に掲げる事業に限る。)のために行われる貸付け(措法70の6の2丸1一)
  • (2) 農業経営基盤強化促進法第4条第3項に規定する農地利用集積円滑化事業(同項第1号に定める事業(同号ハに掲げるものを除く。)及び同項第2号に定める事業に限る。)のために行われる貸付け(措法70の6の2丸1二)
  • (3) 農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところにより行われる貸付け(措法70の6の2丸1三)

 70の6の2-1は、措置法第70条の6の2第1項に規定する特定貸付けの対象となる農地又は採草放牧地とは、都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する農地又は採草放牧地以外の措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域に所在する農地又は採草放牧地であり、そのうち措置法第70条の6の2第1項の規定の適用がある農地又は採草放牧地は相続税の納税猶予の適用を受ける特例農地等に限られるのであるが、次に掲げる特例農地等は特定貸付けの対象とならないことを留意的に明らかにしたものである。

  • (1) 措置法第70条の6第1項に規定する準農地である特例農地等
  • (2) 措置法令第40条の7第65項第2号又は第3号に掲げる敷地又は用地である特例農地等
  • (3) 措置法第70条の6第9項の規定の適用を受ける特例農地等
  • (4) 措置法第70条の6第10項に規定する貸付特例適用農地等
  • (5) 措置法第70条の6第21項に規定する一時的道路用地等の用に供するため同項に規定する地上権等の設定に基づく貸付けの対象となっている特例農地等(農業相続人が特定貸付けを行っていた特例農地等の全部又は一部について一時的道路用地等の用に供するために特定貸付けに係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権を消滅させ、一時的道路用地等の用に供するため地上権等の設定に基づく貸付けを行っている特例農地等で同項に規定する貸付期限が到来したものを除く。)
  • (6) 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けの対象となっている特例農地等

 (1)又は(2)に掲げる特例農地等は、措置法第70条の6の2の適用の対象となる特例農地等が農地又は採草放牧地に限られていることから、これらの特例農地等は本件特例の対象とならない。(3)の特例農地等は、措置法第70条の6第9項の規定により農業相続人の推定相続人の1人に対して使用貸借による権利を設定した農地又は採草放牧地について、特定貸付けの適用を受けるために権利設定に基づき貸し付けた場合には、当該推定相続人が有していたその農地又は採草放牧地に係る使用貸借による権利もその農地又は採草放牧地を借り受ける者に移転することから、納税猶予の期限の確定事由に該当することとなる(措法70の6丸9)。また、(4)の特例農地等は、措置法第70条の6第10項の規定により農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる使用貸借による権利又は賃借権を設定した農地又は採草放牧地について、特定貸付けの適用を受けるために賃借権等の設定に基づき貸し付けた場合には、農地又は採草放牧地を借り受けた者が有していたその農地又は採草放牧地に係る使用貸借による権利又は賃借権もその農地又は採草放牧地を新たに借り受ける者に移転することから、納税猶予の期限の確定事由に該当することとなる(措法70の6丸12)。更に、(5)の措置法第70条の6第21項に規定する一時的道路用地等の用に供されている特例農地等は、当該一時的道路用地等に係る事業施行者に対して地上権等の設定に基づき貸し付けられ、また、(6)の措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けが行われている特例農地等は、当該営農困難時貸付けにより特例農地等を借り受ける者に対して賃借権等の設定に基づき貸し付けられていることから、同一の特例農地等について賃借権等の設定に基づき特定貸付けを行うことは物理的に困難である。したがって、上記(1)から(6)までに掲げる特例農地等については、特定貸付けの対象とはならないこととなる。

(特定貸付けに該当しない貸付け)

70の6の2-2 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行っている特例農地等に同項において準用する措置法第70条の4第22項に規定する耕作の放棄又は同項に規定する権利消滅があった場合において、当該特例農地等に係る新たな貸付けを措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行ったときであっても、当該貸付けは措置法第70条の6第27項の規定が適用される営農困難時貸付けであり、措置法第70条の6の2の規定の適用はないことに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予における営農困難時貸付けを行っている特例農地等に耕作の放棄又は権利消滅があり、当該特例農地等につき新たな営農困難時貸付けを行う際には、当該特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域に存する場合には、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを継続して1月間行わなければ措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付け以外の地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下「権利設定」という。)に基づく貸付けを行うことができないが、この場合において、新たな営農困難時貸付けが措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行われた場合には、当該貸付けは措置法第70条の6の2の規定の適用がある特定貸付けに該当するのか、それとも、措置法第70条の6第27項の規定の適用がある営農困難時貸付けに該当するのか疑義が生ずる。
 70の6の2-2では、相続税の納税猶予の適用を受ける営農困難時貸付けを行っている特例農地等に耕作の放棄又は権利消滅があった場合において、当該特例農地等に係る新たな貸付けを措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行ったときであっても、当該貸付けは措置法第70条の6第27項の規定が適用される営農困難時貸付けであり、措置法第70条の6の2の規定の適用がないことを留意的に明らかにした。

(特定貸付けが行われている特例農地等について相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額)

70の6の2-3 措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける同項に規定する農業相続人(以下70の6の2-8までにおいて「猶予適用者」という。)が死亡した場合において、特定貸付けが行われている特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該猶予適用者の死亡の日における貸付けの態様に応じた当該特例農地等の時価によることに留意する。

(注) 特定貸付けが行われていた特例農地等について、猶予適用者の死亡の日前までに措置法第70条の6の2第2項に規定する貸付期限(当該貸付期限の到来前に同条第1項に規定する賃借権等の解約が行われたことにより当該賃借権等が消滅した場合には、当該賃借権等が消滅した日。以下70の6の2-8までにおいて「貸付期限」という。)が到来した場合又は同条第7項に規定する耕作の放棄(以下70の6の2-8までにおいて「耕作の放棄」という。)があった場合において、当該猶予適用者の死亡の日において新たな特定貸付けが行われていないときにおける当該特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該猶予適用者の死亡の日における当該特例農地等の時価によることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人(以下70の6の2-8までにおいて「猶予適用者」という。)が死亡した場合において、特定貸付けが行われている特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、措置法第70条の6の2第1項において、特定貸付けに係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権(以下「賃借権等」という。)の設定はなかったものとみなされ、また、措置法第70条の6の3第1項の規定により当該猶予適用者(特定貸付者)がその死亡の日まで農業の用に供していたものとみなされることから、賃借権等の設定はないものとしたところの自用地としての価額によるのではないかとの疑義が生ずる。
 しかし、措置法第70条の6の2第1項の規定は、措置法第70条の6第1項ただし書及び第7項の規定の適用について、賃借権等の設定はなかったものとみなされること、また、措置法第70条の6の3第1項の規定は、猶予適用者(特定貸付者)の相続人に係る措置法第70条の6第1項の規定の適用について猶予適用者の農業の用に供していたものとみなすこととされているものであり相続税法第22条の規定については触れられていない。そのため、特定貸付けが行われている農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該猶予適用者の死亡の日における貸付けの態様に応じた当該農地等の時価によることとなる。そこで、70の6の2-3では、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、特定貸付けが行われていた特例農地等について、猶予適用者の死亡の日前までに貸付期限の到来又は耕作の放棄があった場合に、当該猶予適用者の死亡の日において新たな特定貸付けが行われていないときにおける当該特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額についても上記と同様であることから、注書きにおいて、当該猶予適用者の死亡の日における当該特例農地等の時価によることを留意的に明らかにした。

(特定貸付けに係る権利設定に関する届出書)

70の6の2-4 措置法第70条の6の2第1項に規定する届出書は、特定貸付けを行ったごとに提出しなければならないのであるから、例えば、特定貸付けを行った日において2以上の契約又は農用地利用集積計画の定めるところにより特定貸付けを行っている場合には、それぞれの契約又は農用地利用集積計画ごとに当該届出書を提出しなければならないことに留意する。

(注) 措置法第70条の6の2第2項に規定する届出書及び同条第4項に規定する届出書の提出も同様であることに留意する。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6の2第1項に規定する届出書(以下「特定貸付けに係る権利設定に関する届出書」という。)は、特定貸付けを行ったごとに提出しなければならないこととされているが(措令40の7の2丸1)、特定貸付けを行った日に2以上の契約又は農用地利用集積計画の定めるところにより特定貸付けを行ったときには、一の特定貸付けに係る権利設定に関する届出書により提出しなければならないのか疑義が生ずる。
 70の6の2-4は、特定貸付けに係る権利設定に関する届出書については、特定貸付けを行ったごとに提出しなければならないことを留意的に明らかにするとともに、特定貸付けを行った日に2以上の契約又は農用地利用集積計画の定めるところにより特定貸付けを行ったときにおける特定貸付けに係る権利設定に関する届出書の提出は、それぞれの契約又は農用地利用集積計画ごとに当該特定貸付けに係る権利設定に関する届出書を提出しなければならないことを例として示したものである。
 なお、措置法第70条の6の2第2項及び同条第4項に規定する届出書の提出についても上記と同様であることから注書きにおいて、そのことを明らかにした。

(措置法第70条の6の2第1項の賃借権等の設定があった場合の措置法第70条の6第1項の担保)

70の6の2-5 特例農地等が措置法第70条の6第1項に規定する担保に提供されている場合において、その特例農地等につき措置法第70条の6の2第1項に規定する賃借権等の設定があったときにおいても、その担保を提供した猶予適用者に対して国税通則法第51条第1項に規定する増担保の提供を命ずる必要はないことに留意する。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6第1項に規定する担保として特例適用農地等が提供されている場合において、その特例適用農地等について特定貸付けの適用を受けるため賃借権等の設定があっても、当該制度の趣旨などを踏まえ、権利設定による担保価値の減少はないものと取り扱うこととし、その担保を提供した受贈者に対して国税通則法第51条第1項に規定する増担保の提供等を命ずる必要がないことを留意的に明らかにした。

(貸付期限の更新があった場合)

70の6の2-6 措置法第70条の6の2第1項に規定する特定貸付農地等(以下70の6の2-7までにおいて「特定貸付農地等」という。)の貸付けに係る期限の到来前に、当該貸付に係る期限を延長したときには、当該延長前の貸付けに係る期限において同条第2項に規定する貸付期限は到来しないことに留意する。

(新設)

(説明)

 70の6の2-6は、措置法第70条の6の2第1項に規定する特定貸付農地等(以下70の6の2-7までにおいて「特定貸付農地等」という。)の貸付けに係る期限の到来前に、当該貸付に係る期限を延長したときには、当該延長前の貸付けに係る期限において同条第2項に規定する貸付期限は到来しないことから、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、特定貸付けが農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画に定めるところにより行われている場合において、当該農用地利用集積計画に係る貸付期限(貸付期間の終期)に、同じ当事者において新たな農用地利用集積計画の定めるところにより賃借権等の再設定が行われたときには、当該再設定前の貸付けに係る期限において措置法第70条の6の2第2項に規定する貸付期限は到来しないこととなる。

(新たな特定貸付けに関する承認申請書の添付書類)

70の6の2-7 措置法令第40条の7の2第3項に規定する申請書に添付して提出しなければならない措置法規則第23条の8の2第6項に定める書類は、当該申請書を提出する農業相続人が貸付けの申込みを行っている同項第1号から第3号に掲げる農地保有合理化法人、農地利用集積円滑化団体又は市町村長の書類をいうことに留意する。

(注) 特定貸付農地等に耕作の放棄があった場合における措置法令第40条の7の2第7項において準用する同条第3項に規定する申請書に添付して提出しなければならない措置法規則第23条の8の2第8項において準用する同条第6項に定める書類も同様であることに留意する。

(新設)

(説明)

 特定貸付けを行っている特例農地等につき措置法第70条の6の2第2項に規定する貸付期限が到来した場合には、原則として、貸付期限から2月以内に当該貸付期限が到来した特例農地等につき新たな特定貸付けを行うか又は特定貸付けを行った者の自己の農業の用に供しない場合には、納税猶予税額の全部又は一部について納税猶予の期限が確定することとされているが、当該貸付期限の翌日から1年を経過する日までに新たな特定貸付けを行う見込みであることにつき、当該貸付期限から2月以内に措置法令第40条の7の2第3項に規定する申請書を提出し、税務署長の承認を受けたときには、納税猶予が継続することとされている。
 ところで、措置法令第40条の7の2第3項に規定する申請書に添付して提出しなければならない措置法規則第23条の8の2第6項に定める貸付けの申込みを受けたことを証する書類は、貸付期限が到来した特例農地等につき新たな特定貸付けを行うために、その貸付け先を探していることを確認するための書類であることから、当該特例農地等が存する地域又は区域が措置法規則第23条の8の6第3項第1号から第3号に掲げる地域又は区域の2以上に該当する場合であっても、当該申請書を提出する農業相続人が貸付けの申込みを行っている同項第1号から第3号に掲げる農地保有合理化法人、農地利用集積円滑化団体又は市町村長の書類で足りこととなる。70の6の2-7では、そのことを留意的に明らかにした。
 なお、特定貸付農地等に耕作の放棄があった場合における措置法令第40条の7の2第7項において準用する同条第3項に規定する申請書に添付して提出しなければならない措置法第23条の8の2第8項において準用する同条第6項に定める書類も同様であることから、注書きにおいて留意的に明らかにした。

(特定貸付けを行っている特例農地等につき貸付期限の到来又は耕作の放棄があった後に猶予適用者が死亡した場合)

70の6の2-8 措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける特例農地等につき貸付期限の到来又は耕作の放棄があったときにおいて、次の(1)又は(2)に掲げる場合には、当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった当該特例農地等に係る納税猶予期限は確定せず、措置法第70条の6第38項の規定により相続税は免除されることに留意する。
 なお、(2)の場合において、当該猶予適用者の死亡の日前に新たな特定貸付けを行った部分又は当該猶予適用者の農業の用に供した部分に係る措置法第70条の6の2第4項に規定する届出書がその提出期限(当該猶予適用者の死亡の日前に提出期限が到来しているものに限る。)までに提出されていない部分については猶予期限は確定していることに留意する。

  • (1) 貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から2月以内に当該特例農地等に係る猶予適用者が死亡した場合
  • (2) 措置法第70条の6の2第3項に規定する税務署長の承認を受け、貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から1年を経過する日までに、当該特例農地等に係る猶予適用者が死亡した場合

(注) 上記(1)又は(2)の場合において、貸付期限の到来又は権利消滅があったときから猶予適用者の死亡の日までの間に、当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった特例農地等について新たな特定貸付けを行ったとき又は当該猶予適用者の農業の用に供したときであっても、措置法第70条の6の2第2項又は第4項に規定する届出書の提出は要しないことに留意する。

(新設)

(説明)

 特定貸付けの適用を受ける猶予適用者は、特定貸付けの規定の適用を受ける特例農地等につき貸付期限の到来又は耕作の放棄があった場合に、当該特例農地等につき、丸1新たな特定貸付けを行った場合又は猶予適用者の農業の用に供した場合において、当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から2月以内に措置法第70条の6の2第2項に規定する届出書を提出したとき、丸2当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日の翌日から1年を経過する日までに新たな特定貸付けを行う見込みである場合において、当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から2月以内に同条第3項の規定による承認の申請をし、税務署長の承認を受けたとき、丸3丸2の承認に係る特例農地等につき当該貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日の翌日から1年を経過する日までに新たな特定貸付けを行った場合又は当該猶予適用者の農業の用に供した場合において、これらに該当することとなった日から2月以内に同条第4項に規定する届出書を提出したときには、納税猶予は継続することとされている。
 ところで、上記の届出書の提出又は承認の申請について、当該届出書又は承認の申請の期限前に猶予適用者の死亡により相続税の免除事由が生じた場合であっても、上記丸1から丸3までの事由が生じたときには税務署長に当該届出書の提出又は承認の申請をしなければならないのかどうか疑義が生ずる。例えば、猶予適用者の死亡の日前2月以内に特定貸付けを行っている特例農地等につき貸付期限の到来又は耕作の放棄があり、相続税の納税猶予の免除後(農業相続人の死亡後)に、同条第2項に規定する届出書の提出期限又は同条第3項に規定する承認の申請の期限が到来し、当該期限までに、貸付期限の到来又は耕作の放棄があった特例農地等が新たな特定貸付け又は猶予適用者の農業の用に供されていなかったとしても、これらの事由が生じた日から2月を経過する日より前に猶予税額が免除されることから納税猶予の期限が確定するものではない。
 そこで、70の6の2-8は、農業相続人の死亡により相続税の免除事由が生じた場合には、次の事由が生じている特定貸付けを行っていた特例農地等に係る納税猶予期限は確定せず、同条第38項の規定により相続税は免除されること、これらの届出書の提出又は承認の申請は要しないことを留意的に明らかにしたものである。

  • (1) 貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から2月以内に当該特例農地等に係る猶予適用者が死亡した場合
  • (2) 措置法第70条の6の2第3項に規定する税務署長の承認を受け、貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から1年を経過する日までに、当該特例農地等に係る猶予適用者が死亡した場合

 なお、措置法第70条の6の2第3項に規定する税務署長の承認を受け、貸付期限の到来又は耕作の放棄があった日から1年を経過する日までに、当該特定貸付けを行っていた特例農地等に係る猶予適用者が死亡した場合において、当該猶予適用者の死亡の日前に新たな特定貸付けを行った部分又は当該猶予適用者の農業の用に供した部分に係る同条第4項に規定する届出書がその提出期限(当該猶予適用者の死亡の日前に提出期限が到来しているものに限る。)までに提出されていない部分については、相続税の免除事由が生じる前に、既に猶予期限が確定していることから、なお書でそのことを留意的に明らかにした。

(旧法猶予適用者が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合の相続税の納税猶予についての取扱い)

70の6の2-9 措置法第70条の6の2第8項各号に掲げる農業相続人(以下70の6の2-12において「旧法猶予適用者」という。)が同条第1項の規定の適用を受けた場合には、当該旧法猶予適用者は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用され、措置法第70条の6の2第8項各号に規定する改正前の租税特別措置法第70条の6の規定は適用がないことに留意する。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6の2第8項各号に掲げる農業相続人(以下70の6の2-12において「旧法猶予適用者」という。)が特定貸付けの規定の適用を受けた場合には、当該旧法猶予適用者は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用され、措置法第70条の6の2第8項各号に規定する改正前の措置法第70条の6の規定は、適用しないこととされている(措法70の6の2丸9)。
 70の6の2-9では、そのことを留意的に明らかにした。

(平成3年改正前の措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける農業相続人が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合の相続税の納税猶予についての取扱い)

70の6の2-10 平成3年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合には、同条第9項の規定により措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定を適用することとなるが、この場合において当該農業相続人が有する特例農地等のうちに措置法第70条の4第2項第3号に規定する特定市街化区域農地等がある場合には、当該特定市街化区域農地等については同項第4号に規定する都市営農農地等以外の措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等とみなして、同条の規定の適用をすることに留意する。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6の2第8項各号に掲げる農業相続人が同条第1項の特定貸付けの規定の適用を受けた場合には、当該農業相続人は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用され、措置法第70条の6の2第8項各号に規定する改正前の措置法第70条の6の規定は、適用しないこととされている(措法70の6の2丸9)。
 措置法第70条の6の2第8項第1号に規定する平成3年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人が有する特例農地等のうちに平成21年改正後の措置法第70条の4第2項第3号に規定する特定市街化区域農地等がある場合に、当該農業相続人が特定貸付けを行ったときには、平成21年改正後の措置法第70条の6の規定が適用され、これらの特定市街化区域農地等の適用関係について明らかにする必要がある。このため措置法令第40条の7の2第9項の規定において、当該特定市街化区域農地等については同項第4号に規定する都市営農農地等以外の平成21年改正後の措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等とみなして同条の規定を適用することとされた。
 70の6の2-10では、そのことを留意的に明らかにした。

(旧法猶予適用者が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合の継続届出書の提出)

70の6の2-11 旧法猶予適用者(次の(1)から(5)までに掲げる農業相続人である旧法猶予適用者に限る。)が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合には、同条第9項の規定により措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定を適用することとなるが、この場合において(1)から(5)までに掲げる農業相続人の区分に応じ(1)から(5)までに掲げる規定の適用を受けている場合の同条第31項に規定する届出書(以下70の6の2-11において「継続届出書」という。)の提出については、措置法第70条の6の2第1項に規定する届出書を提出した日の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに継続届出書を提出しなければならないことに留意する。

  • (1) 平成3年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人同条第14項の規定
  • (2) 平成12年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第16項の規定
  • (3) 平成13年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第25項の規定
  • (4) 平成15年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第31項の規定
  • (5) 平成17年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第31項の規定

(注) 上記の継続届出書の提出期間については、当該3年を経過するごとの日の属する月の前々月の初日から当該3年を経過するごとの日までの期間として取り扱う。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6の2第8項各号に掲げる農業相続人が同条第1項の特定貸付けの規定の適用を受けた場合には、当該農業相続人は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用され、措置法第70条の6の2第8項各号に規定する改正前の措置法第70条の6の規定は、適用しないこととされている(措法70の6の2丸9)。この場合において、次に掲げる者が次に定める規定の適用を受けている場合には、措置法第70条の6第31項に規定する届出書(以下「継続届出書」という。)の提出については、措置法令第40条の7の2第10項の規定により措置法第70条の6の2第1項に規定する届出書を提出した日の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに当該継続届出書を提出しなければならないこととされている。そこで、70の6の2-11では、そのことを留意的に明らかにした。

  • (1) 平成3年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第14項の規定
  • (2) 平成12年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第16項の規定
  • (3) 平成13年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第25項の規定
  • (4) 平成15年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第31項の規定
  • (5) 平成17年改正前の措置法第70条の6第1項本文の規定の適用を受ける農業相続人 同条第31項の規定

(旧法猶予適用者が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合の利子税の割合)

70の6の2-12 旧法猶予適用者が措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受けた場合には、当該旧法猶予適用者は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用されることとなるが、同条第39項に規定する利子税の割合については、次に掲げる旧法猶予適用者の区分に応じそれぞれ次の割合となることに留意する。

  • (1) 特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有する旧法猶予適用者 年3.6%
  • (2) 特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有しない旧法猶予適用者
    • イ 特例農地等のうち相続又は遺贈により取得をした日において同条第5項に規定する市街化区域内農地等に対応する部分の金額を基礎とする部分 年6.6%
    • ロ イ以外の部分 年3.6%

(注)

  • 1 上記の利子税の割合は、農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)の施行の日以後の期間に対応する利子税について適用があることに留意する。
  • 2 措置法第93条((利子税の割合の特例))の規定の適用があることに留意する。
(新設)

(説明)

 措置法第70条の6の2第8項各号に掲げる農業相続人が同条第1項の特定貸付けの規定の適用を受けた場合には、当該農業相続人は措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人とみなして同条の規定が適用され、措置法第70条の6の2第8項各号に規定する改正前の措置法第70条の6の規定は、適用しないこととされている(措法70の6の2丸9)。この場合において、平成21年改正後の措置法第70条の6第39項に規定する利子税の割合については、次に掲げる旧法猶予適用者の区分に応じそれぞれ次の割合となる。

  • (1) 特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有する旧法猶予適用者 年3.6%
  • (2) 特例農地等のうちに相続又は遺贈により取得をした日において都市営農農地等であるものを有しない旧法猶予適用者
    • イ 特例農地等のうち相続又は遺贈により取得をした日において同条第5項に規定する市街化区域内農地等に対応する部分の金額を基礎とする部分 年6.6%
    • ロ イ以外の部分 年3.6%

 70の6の2-12では、このことを留意的に明らかにした。
 なお、上記の利子税の割合は、農地法等の一部を改正する法律(平成21年法律第57号)の施行の日(平成21年12月15日)以後の期間に対応する利子税について適用があり、また、措置法第93条((利子税の割合の特例))の規定の適用があることから、注書きにおいてそのことを留意的に明らかした。