(営農困難時貸付けの対象から除かれる特例農地等)

70の6-77 営農困難時貸付けの対象となる特例農地等には、措置法第70条の6第9項の規定の適用を受ける特例農地等、同条第10項に規定する貸付特例適用農地等又は借受代替農地等、一時的道路用地等の用に供するために地上権等の設定に基づく貸付けの対象となっている特例農地等(農業相続人が営農困難時貸付けを行っていた特例農地等の全部又は一部を一時的道路用地等の用に供するために営農困難時貸付けに係る地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権を消滅させ、一時的道路用地等の用に供するために地上権等の設定に基づく貸付けを行っている特例農地等で、同条第21項に規定する貸付期限が到来したものを除く。)及び措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける特例農地等は含まれないことに留意する。

(新設)

(説明)

 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けの対象となる特例農地等は、同条第1項の規定の適用を受ける農地、採草放牧地又は準農地であることから、現に農業相続人の農業の用に供されている農地又は採草放牧地のほか、次に掲げるものも含まれることとなる。

  • (1) 措置法第70条の6第1項に規定する準農地
  • (2) 措置法令第40条の7第65項各号に規定する農地等又は敷地若しくは用地
  • (3) 措置法第70条の6第9項の規定の適用を受ける特例農地等
  • (4) 農業相続人が既に措置法第70条の6第10項の規定により農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる使用貸借による権利又は賃借権を設定した農地又は採草放牧地
  • (5) 農業相続人が既に措置法第70条の6第21項に規定する一時的道路用地等の用に供するために地上権等を設定した農地等
  • (6) 措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける特例農地等

 しかし、措置法第70条の6第9項の規定により農業相続人の推定相続人の1人に対して使用貸借による権利を設定した農地又は採草放牧地について、営農困難時貸付けの適用を受けるために地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下「権利設定」という。)に基づき貸し付けた場合には、当該推定相続人が有していたその農地又は採草放牧地に係る使用貸借による権利もその農地又は採草放牧地を借り受ける者に移転することから、納税猶予の期限の確定事由に該当することとなる(措法70の6丸9)。また、措置法第70条の6第10項の規定により農業経営基盤強化促進法第20条に規定する農用地利用集積計画の定めるところによる使用貸借による権利又は賃借権を設定した農地又は採草放牧地について、営農困難時貸付けの適用を受けるために権利設定に基づき貸し付けた場合には、農地又は採草放牧地を借り受けた者が有していたその農地又は採草放牧地に係る使用貸借による権利又は賃借権もその農地又は採草放牧地を新たに借り受ける者に移転することから、納税猶予の期限の確定事由に該当することとなる(措法70の6丸12)。更に、措置法第70条の6第21項に規定する一時的道路用地等の用に供されている農地等については、当該一時的道路用地等に係る事業施行者に対して地上権等の設定に基づき貸し付けられ、また、措置法第70条の6の2第1項に規定する特定貸付けが行われている特例農地等については、当該特定貸付けにより特例農地等を借り受ける者に対して賃借権等の設定に基づき貸し付けられていることから、同じ特例農地等について権利設定に基づき営農困難時貸付けを行うことは物理的に困難である。
 なお、措置法第70条の6第10項に規定する借受代替農地等は、同条第1項の規定の適用を受ける農地又は採草放牧地には当たらないことから営農困難時貸付けの対象とはならない。
 70の6-77は、このことを留意的に明らかにしたものである。

(注)

  • 1 相続税の納税猶予の適用を受けている農業相続人が措置法第70条の6第10項又は措置法第70条の6の2の規定の適用を受けていた場合であっても、措置法第70条の6第12項第1号又は第3号の規定に該当し同条第13項の規定の適用を受けているとき又は措置法第70条の6の2の規定の適用を受け、その後、賃借権等の消滅又は耕作の放棄があり、農業相続人自らが特例農地等で農業経営を再開している場合には、その農地又は採草放牧地を借り受ける者に対し新たに特例農地等につき権利設定をすることができるので、営農困難時貸付けの適用要件を満たすものである限り、その適用があることとなる。
  • 2 措置法令第40条の7第65項第2号又は第3号に規定する敷地又は用地のうち農業経営基盤強化促進法第4条第1項第3号に規定する農業用施設の用に供される土地に該当しないものについて営農困難時貸付けを行う場合には、当該敷地又は用地は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの対象となる農地又は採草放牧地には該当しないことから、同項各号に掲げる貸付以外による権利設定に基づく貸付けにより営農困難時貸付けを行うこととなる。
  • 3 農業経営基盤強化促進法第4条第1項第3号に規定する農業用施設の用に供される土地に該当し、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより貸付けを行った場合であっても、措置法第70条の6の2の規定の適用対象となるのは、特例農地等のうち農地又は採草放牧地に限られることから、当該貸付けには、措置法第70条の6の2の適用はなく、措置法第70条の6第27項の適用を受ける営農困難時貸付けとなる。

(営農困難時貸付けが行われている特例農地等について相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額)

70の6-78 措置法第70条の6第27項の規定の適用を受ける同項に規定する農業相続人が死亡した場合において、営農困難時貸付けが行われている特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該農業相続人の死亡の日における貸付けの態様に応じた当該特例農地等の時価によることに留意する。

(注) 営農困難時貸付けが行われていた特例農地等について、農業相続人の死亡の日前までに措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項に規定する耕作の放棄(以下70の6-90までにおいて「耕作の放棄」という。)又は同項に規定する権利消滅(以下70の6-90までにおいて「権利消滅」という。)があった場合において、当該農業相続人の死亡の日において新たな営農困難時貸付けが行われていないときにおける特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該農業相続人の死亡の日における当該特例農地等の時価によることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予の適用を受ける営農困難時貸付けが行われている農地等について、当該営農困難時貸付けに係る農業相続人が死亡した場合において、当該営農困難時貸付けが行われている農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項において、権利設定はなかったものとみなされ、また、措置法第70条の6第28項の規定により農業相続人がその死亡の日まで農業の用に供していたものとみなされることから、権利設定はないものとしたところの自用地としての価額によるのではないかとの疑義が生ずる。
 しかし、措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項の規定は、措置法第70条の6第1項ただし書及び第7項の規定の適用について権利設定はなかったものとみなされ、また、措置法第70条の6第28項の規定は、農業相続人の相続人に係る同条第1項の規定の適用について農業相続人の農業の用に供していたものとみなすこととされているものであり相続税法第22条の規定の適用については触れられていない。そのため、営農困難時貸付けが行われている農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額は、当該農業相続人の死亡の日における貸付けの態様に応じた当該農地等の時価によることとなる。70の6-78では、そのことを留意的に明らかにしたものである。
 なお、営農困難時貸付けが行われていた特例農地等について、農業相続人の死亡の日前までに耕作の放棄又は権利消滅があった場合に、当該農業相続人の死亡の日において新たな営農困難時貸付けが行われていないときにおける当該特例農地等の相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき価額についても上記と同様であることから、注書きにおいて、そのことを留意的に明らかにした。

(特定貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合)

70の6-79 措置法令第40条の7第50項に規定する「貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合」とは、同項各号に掲げる地域若しくは区域にある特例農地等が同項第1号に規定する農地保有合理化事業を行う法人、同項第2号に規定する農地利用集積円滑化事業を行う者及び同項第3号に規定する利用権設定等促進事業を行っている市町村に対して、当該特例農地等に係る措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みが当該貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日まで継続して行われていたが、同日において当該貸付けの申込みによる貸付けができない場合をいうことに留意する。
 なお、当該特例農地等の所在が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域の2以上に該当する場合には、該当する各号に掲げる農地保有合理化事業を行う法人、農地利用集積円滑化事業を行う者又は利用権設定等促進事業を行っている市町村のすべてに対して貸付けの申込みが行われていなければならないことに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予に係る営農困難時貸付けは、措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合又は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行っている場合に限る。)に、特例農地等について地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定に基づく貸付けにより行うことができることとされている(措法70の4丸27、措令40の6丸50)。
 この場合の「貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けができなかった場合」とは、特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域の2以上に該当するときに、そのうちの1つに対してのみ貸付けの申込みを行っている場合であっても、これに該当するのかどうか疑義が生ずる。
 70の4-79では、措置法令第40条の7第50項に規定する「貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合」とはどのような場合がこれに当たるかを留意的に明らかしたものである。すなわち、特例農地等の所在が同項各号に掲げる地域若しくは区域の2以上に該当する場合には、該当する各号に掲げる農地保有合理化事業を行う法人、農地利用集積円滑化事業を行う者又は利用権設定等促進事業を行っている市町村のすべてに対して貸付けの申込みが行われている場合をいい、特例農地等の所在が同項各号に掲げる地域若しくは区域の2以上に該当する場合において、同項各号に掲げる農地保有合理化事業を行う法人、農地利用集積円滑化事業を行う者又は利用権設定等促進事業を行っている市町村の1つにしか貸付けの申込みを行っていないときや、特例農地等が措置法令第40条の7第50項第2号に規定する事業の実施区域に所在し、当該所在において農地利用集積円滑化事業を行う者が2以上存する場合に、その1つにしか貸付けの申込みを行っていないときには、同項に規定する「貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合」には当たらないこととなる。

(営農困難時貸付農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合)

70の6-80 措置法第70条の4第21項の規定の適用を受ける同項に規定する受贈者に係る贈与者が死亡し、同条第21項に規定する営農困難時貸付農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合において、当該営農困難時貸付農地等につき措置法第70条の6第1項の規定の適用を受けるときには、次に掲げるものを除き、当該営農困難時貸付農地等は、営農困難時貸付けが行われている特例農地等として取り扱う。

  • (1) 当該受贈者に係る贈与者の死亡の日後、措置法第70条の6第1項に規定する相続税の申告書の提出期限までに当該受贈者の農業の用に供された当該営農困難時貸付農地等
  • (2) 当該贈与者の死亡に係る相続税の申告において措置法第70条の6の3第4項の規定により読み替えて適用する措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける当該営農困難時貸付農地等
(新設)

(説明)

 贈与税の納税猶予の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡し、営農困難時貸付農地等が措置法第70条の5第1項の規定により当該受贈者が相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合には、措置法第70条の6第29項の規定により当該受贈者に係る贈与者の死亡の日まで当該受贈者がその農業の用に供していたものとみなされ、当該営農困難時貸付農地等については、相続税の納税猶予の適用を受けることができることとされている。
 ところで、上記の場合において、贈与税の納税猶予における営農困難時貸付農地等について、相続税の納税猶予の適用を受けるときには、当該営農困難時貸付農地等は、措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けが行われている特例農地等かどうか疑義が生じる。70の6-80は、次に掲げるものを除き、当該営農困難時貸付農地等は同項に規定する営農困難時貸付けが行われている特例農地等として取り扱うことを明らかにしたものである。

  • (1) 受贈者に係る贈与者の死亡の日後、措置法第70条の6第1項に規定する相続税の申告書の提出期限までに当該受贈者の農業の用に供された営農困難時貸付農地等
  • (2) 贈与者の死亡に係る相続税の申告において措置法第70条の6の3第4項の規定により読み替えて適用する措置法第70条の6の2第1項の規定の適用を受ける営農困難時貸付農地等

 なお、上記の取扱いにより相続税の納税猶予における営農困難時貸付けが行われている特例農地等として取り扱われる特例農地等につき耕作の放棄又は権利消滅があった場合には、措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項の規定の適用があることとなる。

(措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付農地等に耕作の放棄又は権利消滅があった後に贈与者が死亡した場合)

70の6-81 措置法第70条の6第1項の規定の適用を受けようとする特例農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされたものである場合において、当該取得をしたものとみなされる基因となった贈与者の死亡の日前1年以内に、当該特例農地等のうち措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付けを行っていた同項に規定する営農困難時貸付農地等につき同条第22項の耕作の放棄又は権利消滅があったとき(当該営農困難時貸付農地等に係る農業相続人が当該営農困難時貸付農地等について同項第3号の税務署長の承認を受けているとき、又は当該税務署長の承認を受けていない場合で当該贈与者の死亡の日前2月以内に同項の耕作の放棄又は権利消滅があったときに限る。)における当該営農困難時貸付農地等(既に同項の規定により同項第2号又は第4号の届出書が提出されたものを除く。)に係る措置法第70条の6の規定の適用については、措置法令第40条の7第52項に定めるところによることに留意する。
 この場合において、同項第1号ロに規定する書類を同項に規定する相続税の申告書に添付して提出した農業相続人が当該耕作の放棄又は権利消滅があった日の翌日から1年を経過する日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行っていないとき又は当該農業相続人の農業の用に供していないときは、同日において同項において準用する措置法第70条の4第22項第4号の規定により権利設定があったものとみなされ、当該耕作の放棄又は権利消滅があった営農困難時貸付農地等のうち同日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行っていない部分又は当該農業相続人の農業の用に供していない部分について相続税の納税猶予の期限が確定することに留意する。

(新設)

(説明)

 贈与税の納税猶予の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡し、営農困難時貸付農地等が措置法第70条の5第1項の規定により当該受贈者が相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合においては、措置法第70条の6第29項の規定により当該受贈者に係る贈与者の死亡の日まで当該受贈者がその農業の用に供していたものとみなされ、当該営農困難時貸付農地等については、相続税の納税猶予の適用を受けることができることとされている(措法70の6丸1丸29)。
 ところで、相続税の納税猶予の適用を受けようとする特例農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされたものである場合において、当該取得をしたものとみなされる基因となった贈与者の死亡の日前1年以内に、当該特例農地等のうち営農困難時貸付けを行っていた営農困難時貸付農地等につき耕作の放棄又は権利消滅があったとき(当該営農困難時貸付農地等に係る農業相続人が当該営農困難時貸付農地等について措置法第70条の4第22項第3号の税務署長の承認を受けているとき、又は当該税務署長の承認を受けていない場合で当該贈与者の死亡の日前2月以内に同項の耕作の放棄又は権利消滅があったときに限る。)における当該営農困難時貸付農地等(既に同項の規定により同項第2号又は第4号の届出書が提出されたものを除く。)に係る措置法第70条の6の規定の適用については、当該贈与者の死亡に係る相続税の申告書に次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じそれぞれ(1)又は(2)に定める書類を添付したときに限り、当該営農困難時貸付農地等は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付特例農地等と、同条第22項の耕作の放棄又は権利消滅は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項の耕作の放棄又は権利消滅と、農業相続人は措置法第70条に6第27項において準用する措置法第70条の4第22項第3号の税務署長の承認を受けたものとみなすこととされている(措令40の7丸52一)。

  • (1) 営農困難時貸付農地等について、相続税の申告書の提出期限までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行った場合又は当該営農困難時貸付農地等に係る農業相続人の農業の用に供した場合 同項において準用する措置法第70条の4第22項第4号の届出書
  • (2) 営農困難時貸付農地等について、措置法第70条の4第22項の耕作の放棄又は権利消滅があった日から1年を経過する日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行う見込みである場合 新たな営農困難時貸付けを行う予定年月日その他財務省令で定める事項を記載した書類

 この場合において、(2)に掲げる書類を相続税の申告書に添付して提出した農業相続人について、結果として耕作の放棄又は権利消滅があった日の翌日から1年を経過する日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行っていないとき又は当該農業相続人の農業の用に供していないときには、同日において措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項第4号の規定により権利設定があったものとみなされ、当該耕作の放棄又は権利消滅があった営農困難時貸付農地等のうち同日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行っていない部分又は当該農業相続人の農業の用に供していない部分について相続税の納税猶予の期限が確定することとなる。
 70の6-81では、これらのことを留意的に明らかにしたものである。

(贈与者の死亡後に耕作の放棄又は権利消滅があった場合)

70の6-82 措置法第70条の6第1項の規定の適用を受けようとする特例農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされたものである場合において、当該取得をしたものとみなされる基因となった贈与者の死亡の日から当該贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までの間に、当該特例農地等のうち措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付けを行っていた同項に規定する営農困難時貸付農地等につき同条第22項の耕作の放棄(以下70の6-82において「耕作の放棄」という。)又は同項の権利消滅(以下70の6-82において「権利消滅」という。)があったときにおける当該営農困難時貸付農地等に係る措置法第70条の6の規定の適用については、当該贈与者の死亡に係る同条第1項に規定する相続税の申告書に次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じそれぞれ(1)又は(2)に定める書類を添付したときに限り、当該営農困難時貸付農地等は同条第27項において準用する措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付農地等と、当該耕作の放棄又は権利消滅は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項の耕作の放棄又は権利消滅と、当該農業相続人は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項第3号の税務署長の承認を受けたものとして取り扱う。

  • (1) 当該営農困難時貸付農地等について、当該相続税の申告書の提出期限までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行った場合 同項において準用する措置法第70条の4第22項第4号の届出書(当該提出期限前2月以内に措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行った場合で、当該提出期限までに当該届出書を提出できないときは、当該営農困難時貸付けを行った日その他措置法規則第23条の8第26項第1号に掲げる事項を記載した書類)
  • (2) 当該営農困難時貸付農地等について、耕作の放棄又は権利消滅があった日から1年を経過する日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行う見込みである場合 当該新たな営農困難時貸付けを行う予定年月日その他措置法規則第23条の8第27項に掲げる事項を記載した書類
(新設)

(説明)

 贈与税の納税猶予の適用を受ける受贈者に係る贈与者が死亡し、営農困難時貸付農地等が措置法第70条の5第1項の規定により当該受贈者が相続又は遺贈により取得したものとみなされる場合においては、措置法第70条の6第29項の規定により当該受贈者に係る贈与者の死亡の日まで当該受贈者がその農業の用に供していたものとみなされ、当該営農困難時貸付農地等については、相続税の納税猶予の適用を受けることができることとされている。
 70の6-82では、相続税の納税猶予の適用を受けようとする特例農地等が措置法第70条の5第1項の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされたものである場合において、当該取得をしたものとみなされる基因となった贈与者の死亡の日から当該贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までの間に、当該特例農地等のうち贈与税の納税猶予における営農困難時貸付けを行っていた営農困難時貸付農地等につき耕作の放棄又は権利消滅があったときにおける当該営農困難時貸付農地等に係る措置法第70条の6の規定の適用の取扱いを明らかにした。
 すなわち、贈与者の死亡の日から当該贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までの間に、当該特例農地等のうち贈与税の納税猶予における営農困難時貸付けを行っていた営農困難時貸付農地等につき耕作の放棄又は権利消滅があったときの相続税の納税猶予の適用については、当該贈与者の死亡に係る相続税の申告書に次の(1)又は(2)に掲げる場合の区分に応じそれぞれ(1)又は(2)に定める書類を添付したときに限り、当該営農困難時貸付農地等は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項に規定する営農困難時貸付農地等と、当該耕作の放棄又は権利消滅は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項の耕作の放棄又は権利消滅と、当該農業相続人は措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項第3号の税務署長の承認を受けたものとして、措置法第70条の6第1項の規定の適用があるものとして取り扱うこととした。

  • (1) 営農困難時貸付農地等について、相続税の申告書の提出期限までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行った場合 同項において準用する措置法第70条の4第22項第4号の届出書(当該提出期限前2月以内に措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行った場合で、当該提出期限までに当該届出書を提出できないときは、当該営農困難時貸付けを行った日その他措置法規則第23条の8第26項第1号に掲げる事項を記載した書類)
  • (2) 営農困難時貸付農地等について、耕作の放棄又は権利消滅があった日から1年を経過する日までに新たな措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けを行う見込みである場合 当該新たな営農困難時貸付けを行う予定年月日その他措置法規則第23条の8第27項に掲げる事項を記載した書類

(営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書)

70の6-83 措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項に規定する届出書については、70の4-86((営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-86((営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書))の説明を参照。

(営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書の添付書類)

70の6-84 措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第21項に規定する届出書に添付して提出しなければならない措置法規則第23条の8第25項において準用する措置法規則第23条の7第32項第2号ニに定める書類については、70の4-87 ((営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書の添付書類))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-87((営農困難時貸付けに係る権利設定に関する届出書の添付書類))の説明を参照。

(措置法第70条の6第27項の営農困難時貸付けがあった場合の同条第1項の担保)

70の6-85 特例農地等が措置法第70条の6第1項に規定する担保に供されている場合において、その特例農地等につき同条第27項に規定する地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定があったときの同条第1項の担保については、70の4-88 ((措置法第70条の4第21項の権利設定があった場合の同条第1項の担保))を準用する。

(新設)

(説明)

 70の4-88((措置法第70条の4第21項の権利設定があった場合の同条第1項の担保))の説明を参照。

(新たな営農困難時貸付けを行うときの貸付けの申込みを継続して行う期間)

70の6-86 営農困難時貸付けを行っている特例農地等について耕作の放棄又は権利消滅があった場合において、当該特例農地等につき新たな営農困難時貸付けを行うときの措置法令第40条の7第50項に規定する措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを継続して行う期間については、当該貸付けの申込みを行った日後1月を経過する日までであることに留意する。

(注) 一時的道路用地等の用に供されていた特例農地等について措置法令第40条の7第55項において準用する措置法第70条の6第21項に規定する貸付期限の到来により当該特例農地等につき新たな営農困難時貸付けを行うときの貸付けの申込みを継続して行う期間も同様であることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予に係る営農困難時貸付けは、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付け以外の地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいうが、営農困難時貸付けを行っている特例農地等につき措置法第70条の6第27項において準用する措置法第70条の4第22項に規定する耕作の放棄又は権利消滅があったときにおける新たな営農困難時貸付けを行う場合の措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを継続して行う期間については、措置法令第40条の7第56項の規定により当該貸付けの申込みを行った日後1月を経過する日までとされている。70の4-89では、そのことを留意的に明らかにしたものである。
 なお、一時的道路用地等の用に供されていた特例農地等について措置法令第40条の7第55項において準用する措置法第70条の6第21項に規定する貸付期限の到来により当該特例農地等につき新たな営農困難時貸付けを行うときの措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを継続して行う期間も措置法令第40条の7第56項の規定により上記と同様であることから、注書きにおいて、そのことを留意的に明らかにした。

(新たな営農困難時貸付けを措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けで行った場合)

70の6-87 営農困難時貸付けを行っている特例農地等に耕作の放棄又は権利消滅があった場合において、当該特例農地等に係る新たな営農困難時貸付けを措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行ったときでも、当該貸付けは措置法第70条の6第27項の規定が適用される営農困難時貸付けであることに留意する。

(新設)

(説明)

 相続税の納税猶予に係る営農困難時貸付けは、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について同項各号に掲げる貸付け以外の地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいうこととされている。
 ところで、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けを行っている特例農地等に耕作の放棄又は権利消滅があり、当該特例農地等につき新たな営農困難時貸付けを行う際には、当該特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域に存する場合には、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを継続して1月間行わなければ措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付け以外の権利設定に基づく貸付けを行うことができないが、この場合において、新たな営農困難時貸付けが措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行われた場合には、当該貸付けは措置法第70条の6の2の規定の適用がある特定貸付けに該当するのか、それとも、措置法第70条の6第27項の規定の適用がある営農困難時貸付けに該当するのか疑義が生ずる。
 そこで、70の6-87では、相続税の納税猶予の適用を受ける営農困難時貸付けを行っている特例農地等に耕作の放棄又は権利消滅があった場合において、当該特例農地等に係る新たな営農困難時貸付けを措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けにより行ったときであっても、当該貸付けは措置法第70条の6第27項の規定が適用される営農困難時貸付けであることを留意的に明らかにした。