70の6-1の2 措置法第70条の6第1項に規定する「農地法第32条の規定による通知(同条ただし書の規定による公告を含む。第1号において同じ。)に係るもの」については、70の4-1の2((農地法第32条の規定による通知に係るもの))を準用する。
70の4-1の2((農地法第32条の規定による通知に係るもの))の説明を参照。
70の6-7の2 措置法第70条の6第1項に規定する「農業相続人」には、次の(1)から(4)までに掲げる者が含まれることに留意する。
措置法第70条の6第1項の規定による農地等についての相続税の納税猶予等(以下「相続税の納税猶予」という。)の適用対象となる同条第1項に規定する農業相続人(以下「農業相続人」という。)は、相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した農地等について農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行うと認められる者であることにつき農業委員会の証明を受けた者とされている(措令40の7)。この場合において、次に掲げる受贈者又は相続人は、それぞれ次に掲げる規定において相続又は遺贈により農地等を取得したものとみなされるか、又はその者が当該農地等を農業の用に供するものとみなされることから当該農業相続人に含まれることとなる。70の6-7の2では、そのことを留意的に明らかにした。
70の6-13の3 措置法第70条の6第1項に規定する農業相続人の農業の用に供している農地又は採草放牧地として取り扱うものについては、70の4-12((贈与者等の農業の用に供している農地又は採草放牧地))の後段を準用する。
70の4-12((贈与者等の農業の用に供している農地又は採草放牧地))の説明を参照。
70の6-17 措置法第70条の6第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうものとする。
(注) 次に掲げる農業相続人(相続又は遺贈により特例農地等を取得をした日において当該特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。)の納税猶予に係る相続税の本税の額のうち、当該特例農地等のうち措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。)に係る農業投資価格控除後の価格に対応する部分の金額については、上記(2)の「平均余命年数」を「平均余命年数(20年を限度とする。)」と読み替えて、当該金額に係る納税猶予期間中の利子税の額を計算する。
担保として必要な財産の価額は、本税のほか猶予期間中の利子税も担保する必要があることを留意的に明らかにした。
また、(1)、(2)に該当する場合には、必要担保額に充足する担保財産が提供されたものとして取り扱うこととした。
なお、(1)以外の方法により担保提供する場合、担保提供時には「農業相続人の死亡の日まで」という未確定の猶予期間に係る利子税を計算できないことから、必要担保額の計算に当たっては「農業相続人の平均余命年数に相当する納税猶予期間中の利子税の額」による取扱いとし、また、(注)1、2に該当する農業相続人の納税猶予に係る相続税の本税の額のうち、当該特例農地等のうち措置法第70条の6第5項に規定する市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。)に係る農業投資価格控除後の価格に対応する部分の金額については、納税猶予期限が農業相続人の死亡の日又は相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日のいずれか早い日(措法70の6)であることから、当該金額部分に係る必要担保額を計算するに当たっての利子税の額は20年を上限とした平均余命年数により計算する取扱いとした。
70の6-27 措置法第70条の6第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算は、次に掲げる場合に応じ、次に掲げる算式により行うことに留意する。
なお、同条第38項第4号に定める相続税について同項の規定により免除があった場合には、70の6-30の2((市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算))に留意する。
(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
この場合の譲渡等には、措置法第70条の6第1項第1号に規定する収用交換等による譲渡その他措置法令第40条の7第8項に規定する譲渡又は設定(以下70の6-27において「収用交換等による譲渡等」という。)を含まない。
譲渡等をした措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける農地等(以下「特例農地等」という。)の面積が100分の20を超える場合には、納税猶予税額の全額について納税猶予が打ち切られることとなるのであるが(措法70の6一)、この譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算に関する基本的な事項を整理するとおおむね次のとおりである。
70の6-27は、上記の点を踏まえ、既往において代替取得農地等を取得していない場合と取得している場合との態様の別に、それぞれの場合に応ずる計算方法を算式で示したものである。
すなわち、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる算式により行うこととなる。
なお、これによる計算は、同一年中に2度以上譲渡等があった場合においても、その譲渡等の面積をまとめて行うことなく、特例農地等の譲渡等があった都度、それぞれ各別に行うこととなることに留意する必要がある。
(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
(注)
70の6-30の2 措置法第70条の6第38項第4号の規定により、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において同号の市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。以下70の6-30の2において同じ。)がある場合には、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額については、同号の規定により当該20年を経過する日において免除されるが、免除の時において同条第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算を行う必要はなく、同項後段の適用はないことに留意する。
なお、免除後に特例農地等の譲渡等があった時は、当該免除に係る市街化区域内農地等の面積は同号後段に規定する「当該相続人のその時の直前におけるこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等に係る耕作又は養畜の用に供する土地の面積」(70の6-27((譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算))の算式におけるA)には含めず、当該100分の20の計算を行うことに留意する。
(注) 相続税の申告書の提出期限後10年を経過する日において農業相続人が有する措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける準農地のうち農地又は採草放牧地として当該農業相続人の農業の用に供されていないことから同条第7項の規定により納税猶予期限が確定した準農地は、同条第1項第1号後段に規定する「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」であることから、当該準農地に係る面積は、同項に規定する100分の20を超えるかどうかの計算の分母の面積に含まれることに留意する。
相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において措置法第70条の6第38項第4号の市街化区域内農地等(都市営農農地等を除く。以下70の6-30の2において同じ。)がある場合には、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額については、同号の規定により当該20年を経過する日において免除されるが、相続税が免除された特例農地等に係る面積は、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかを判定するときの計算式の分母から除外することとなる(措法70の6一)。
ところで、相続税が免除された特例農地等の面積については、譲渡等に係る特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかを判定するときの計算式の分母から除外することとなるが、免除があった時において100分の20を超えるかどうかの判定をしなければならないのか疑義が生じる。
70の6-30の2では、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において措置法第70条の6第38項第4号の市街化区域内農地等がある場合に、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について、当該20年を経過する日において免除があった場合には、その免除があった時においては、措置法第70条の6第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算は行わないことを明らかにするとともに、その免除があった特例農地等の面積は、その後、特例農地等の譲渡等があった場合に限り、「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」の面積、すなわち、70の6-27((譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算))の算式によるAの面積には含めず、100分の20を超えるかどうかの計算を行うことを留意的に明らかにしたものである。
なお、相続税の申告書の提出期限後10年を経過する日において農業相続人が有する特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地に転用されず当該農業相続人の農業の用に供されていないことから同条第7項の規定により納税猶予期限が確定した準農地については、同条第1項第1号後段に規定する「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」であることから、当該納税猶予期限が確定した準農地の面積は、100分の20を超えるかどうかの計算の分母の面積に含まれる。そこで、注書きにおいて、そのことを留意的に明らかにした。
70の6-40 所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)による改正後の措置法第70条の6第1項に規定する相続税の納税猶予期限は、同条第21項の規定の適用の有無にかかわらず、原則として、次に掲げる相続人の区分に応じ、それぞれに掲げる日となることに留意する。
(注) 上記の農業相続人については、たとえ、当該都市営農農地等である特例農地等がその後同条第7項又は第8項の規定に該当したことにより同条第1項の規定の適用を受ける特例農地等のうちに都市営農農地等を有しないこととなった場合においても、すべての特例農地等についてその死亡の日となることに留意する。
(注) 上記の農業相続人の区分のいずれに該当するかは、特例農地等を相続又は遺贈により取得をした日において、いずれの農地等に該当するかによることに留意する。
平成21年改正法による改正により、市街化区域内農地等以外の特例農地等に係る納税猶予税額については、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において猶予税額を免除(相続又は遺贈により取得した日において特例農地等のうちに都市営農農地等がある農業相続人を除く。)する措置が廃止され、農業相続人の死亡の日まで納税猶予を継続することとされた。この改正により相続税の納税猶予期限は、原則として、次に掲げる相続人の区分に応じ、それぞれに掲げる日とされた。
なお、上記の農業相続人の区分のいずれに該当するかは、特例農地等を相続又は遺贈により取得をした日において、いずれの農地等に該当するかによることにより判定することとなる。
70の6-40では、このことを留意的に明らかにした。
70の6-59の2 措置法第70条の6第10項の規定の適用を受ける貸付特例適用農地等に係る同項に規定する借受代替農地等の全部又は一部につき同条第12項第2号に規定する耕作の放棄があった場合については、70の4-63の2((借受代替農地等の全部又は一部につき耕作の放棄があった場合))を準用する。
70の4-63の2((借受代替農地等の全部又は一部につき耕作の放棄があった場合))の説明を参照。
70の6-74 措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付け(以下70の6-91までにおいて「営農困難時貸付け」という。)とは、同条第1項の規定の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下70の6-74までにおいて「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいうことに留意する。
したがって、営農困難時貸付けは、措置法第70条の6第27項の規定の適用を受けようとする特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合又は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行われている場合に限る。)における当該貸付け以外の権利設定に基づく貸付けをいう。
農地等の納税猶予制度は適用期間が長期にわたるため、その適用期間中に、農業相続人の障害や疾病などの理由により特例農地等について、農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となることも想定される。このような場合には、耕作の放棄や営農廃止となり納税猶予の期限が確定し、利子税を含めた納税が必要となる。しかし、本人の意思によらないこのような場合にまで納付を求めることは酷であり、また、農地の有効利用にもつながらないことから、平成21年度税制改正において、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が障害、疾病、その他の事由により特例農地等について自己の農業の用に供することが困難な状態となった場合に一定の貸付け(以下「営農困難時貸付け」という。)を行ったときは、引き続き相続税の納税猶予制度を適用することができることとされた(措法70の6)。
70の6-74は、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けとは、どのような貸付けをいうのかを留意的に明らかにした。すなわち、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けとは、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が特例農地等について当該農業相続人の農業の用に供することが困難な状態として措置法令第40条の7第49項に定める状態となり、かつ、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合において、当該特例農地等について地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権の設定(以下70の6-74までにおいて「権利設定」という。)に基づく貸付けを行った場合をいう。この場合における措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合とは、営農困難時貸付けを行おうとする特例農地等が措置法令第40条の7第50項各号に掲げる地域若しくは区域のいずれにも存しない場合又は措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日までに当該貸付けを行うことができなかった場合(当該貸付けの申込みを当該1年を経過する日まで引き続き行われている場合に限る。)をいう。
なお、営農困難時貸付けを行う際に、措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けの申込みを行った日後1年を経過する日以降に当該貸付の申込みにより貸付けを行った場合の当該貸付けは、措置法第70条の6の2の規定の適用を受ける特定貸付けとなる。
また、相続税の納税猶予制度における営農困難時貸付けは、相続税の納税猶予制度においては特定貸付けの特例(措法70の6の2)があることから、贈与税の納税猶予における営農困難時貸付けとは制度の仕組みが異なり、特定貸付けの特例が適用できる場合には、相続税の納税猶予における営農困難時貸付けの規定の適用がないことに留意が必要である。
70の6-75 措置法第70条の6第27項に規定する農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となった場合については、70の4-81 ((受贈者の農業の用に供することが困難な状態となった場合))を準用する。
70の4-81((受贈者の農業の用に供することが困難な状態となった場合))の説明を参照。
70の6-76 措置法第70条の6第27項の規定は、特例農地等の一部について貸付けを行う場合でも適用があることに留意する。
相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が措置法第70条の6第27項に規定する営農困難時貸付けの適用を受ける場合には、当該農業相続人が営農困難な状態にあることから特例農地等の全部につき営農困難時貸付けを行わなければならないか疑義が生じる。
措置法第70条の6第27項の規定においては、相続税の納税猶予の適用を受ける農業相続人が、障害、疾病その他の事由により特例農地等について自己の農業の用に供することが困難な状態として一定の状態となった場合(特例農地等につき措置法第70条の6の2第1項各号に掲げる貸付けができない場合として政令で定める場合に限る。)に、地上権、永小作権、使用貸借による権利又は賃借権に基づく貸付けを行ったとき、とされており特例農地等の一部につき営農困難時貸付けを行った場合であっても同項の規定の適用があることとなる。そこで、70の6-76は、そのことを留意的に明らかにしたものである。
なお、特例農地等の一部につき営農困難時貸付けを行う場合としては、例えば、特例農地等について、その所在が農業相続人の住所地から遠方にあるものは営農が困難であるとして営農困難時貸付けを行い、近隣にあるものについては農業相続人の農業の用に供する場合などが考えられる。