(直系尊属の範囲)

70の2-1 措置法第70条の2第1項に規定する直系尊属には、同条第2項第1号に規定する特定受贈者(以下70の2-14までにおいて「特定受贈者」という。)の養親及び当該養親の直系尊属は含まれるが、例えば、次に掲げるものは含まれないことに留意する。

  • (1) 当該特定受贈者の配偶者の直系尊属(民法第727条((縁組による親族関係の発生))に規定する親族関係がある場合を除く。(2)において同じ。)
  • (2) 当該特定受贈者の父母が養子の縁組による養子となっている場合において、当該特定受贈者が当該養子の縁組前に出生した子である場合の当該父母の養親及びその養親の直系尊属
  • (3) 当該特定受贈者が民法第817条の2第1項((特別養子縁組の成立))に規定する特別養子縁組による養子である場合のその実方の父母及び実方の直系尊属
  • (注) 養親及び当該養親の直系尊属から措置法第70条の2第1項に規定する住宅取得等資金を贈与により取得した場合において、当該贈与の時に民法第727条に規定する親族関係がないときは、措置法第70条の2第1項の規定の適用はないことに留意する。
(新設)

(説明)

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間にその直系尊属からの贈与により住宅取得等資金の取得をした特定受贈者が、次の丸1から丸3までに掲げる場合に該当するときは、その贈与により取得した住宅取得等資金のうち500万円までの金額(既にこの贈与税の非課税の適用を受けている場合には、既に適用を受けた金額を控除した残額)については、贈与税の課税価格に算入しないこととされた(以下「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という。)(措法70の2丸1)。
 なお、この贈与税の非課税の規定は、暦年課税にあっては基礎控除(相法21の5、措法70の2の2)と、相続時精算課税にあっては特別控除(相法21の12)、特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(措法70の3)又は住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例(措法70の3の2)と、併せて適用が可能とされている。

  • 丸1 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の新築若しくは建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得又はこれらの住宅用家屋の新築若しくは取得とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利の取得のための対価に充てて住宅用家屋の新築(新築に準ずる状態として、屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものを含む。)をした場合又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をした場合において、同日までに新築若しくは取得をしたこれらの住宅用家屋を特定受贈者の居住の用に供したとき又は新築若しくは取得をしたこれらの住宅用家屋を同日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。
  • 丸2 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を既存住宅用家屋の取得又はその既存住宅用家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利の取得のための対価に充てて既存住宅用家屋の取得をした場合において、同日までにその既存住宅用家屋を特定受贈者の居住の用に供したとき又はその既存住宅用家屋を同日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。
  • 丸3 特定受贈者が贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金の全額を特定受贈者が居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築等又はその家屋についての増改築等とともにするその敷地の用に供されることとなる土地若しくは土地の上に存する権利の取得の対価に充ててその住宅用の家屋について増改築等(増改築等の完了に準ずる状態として、増築又は改築部分の屋根(その骨組みを含む。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものを含む。)をした場合において、同日までに増改築等をしたその住宅用の家屋を特定受贈者の居住の用に供したとき又は増改築等をしたその住宅用の家屋を同日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき。

(注)

  • 1 「特定受贈者」とは、相続税法第1条の4第1号又は第2号の規定に該当する個人で、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において20歳以上である者をいう(措法70の2丸2一)。
  • 2 「住宅取得等資金」とは、次のいずれかに掲げる新築、取得又は増改築等(特定受贈者の配偶者その他の特定受贈者と特別の関係がある者との請負契約その他の契約に基づき新築若しくは増改築等をする場合又はその特別の関係がある者から取得をする場合を除く。)の対価に充てるための金銭をいう(措法70の2丸2五)。
    • (1) 特定受贈者による住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得(これらの住宅用家屋の新築又は取得とともにするその敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利の取得を含む。)
    • (2) 特定受贈者による既存住宅用家屋の取得(その既存住宅用家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利の取得を含む。)
    • (3) 特定受贈者が所有している家屋につき行う増改築等(その家屋についての増改築等とともにするその敷地の用に供されることとなる土地又は土地の上に存する権利の取得を含む。)

ところで、住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる住宅取得等資金の贈与者については、特定受贈者の直系尊属に限られている(措法70の2丸1)。
 この場合の住宅取得等資金の贈与者である直系尊属とは、民法の考え方に則して解するのが相当であり、70の2-1では、具体例を示して留意的に明らかにしたものである。
 すなわち、措置法第70条の2第1項に規定する住宅取得等資金の特定受贈者の直系尊属には、住宅取得等資金の贈与時において、民法第727条に規定する縁組(以下「縁組」という。)によりその者と法定血族関係が生じている養親及びその養親の直系尊属はこれに当たるが、次に掲げるものは、その者の直系尊属には含まれないため、これらの者から受けた贈与は住宅取得等資金の贈与税の非課税の対象とならないことを明らかにした。

  • (1) 特定受贈者の配偶者の直系尊属(民法第727条((縁組による親族関係の発生))に規定する親族関係がある場合を除く。(2)において同じ。)
  • (2) 特定受贈者の父母が養子の縁組による養子となっている場合において、当該特定受贈者が当該養子の縁組前に出生した子である場合の当該父母の養親及びその養親の直系尊属
  • (3) 特定受贈者が民法第817条の2第1項((特別養子縁組の成立))に規定する特別養子縁組による養子である場合のその実方の父母及び実方の直系尊属

(居住の用に供したとき等)

70の2-2 措置法第70条の2第1項第1号、第2号及び第3号に規定する「当該特定受贈者の居住の用に供したとき」又は「同日後遅滞なく当該特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれるとき」とは、同条第2項第5号に規定する住宅取得等資金(以下70の2-14までにおいて「住宅取得等資金」という。)の贈与を受け、その全額を充てて住宅用家屋等(住宅用家屋、既存住宅用家屋又は増改築対象家屋をいう。以下70の2-2において同じ。)の新築等(新築、取得又は増改築等(同項第4号に規定する増改築等をいう。以下70の2-2において同じ。)をいう。以下70の2-2までにおいて同じ。)をした者が、当該住宅用家屋等を現にその居住の用に供したとき、又は当該住宅用家屋等をその居住の用に供することが確実であると見込まれるときをいうのであるが、その者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族(以下70の2-2において「生計を一にする親族」という。)と日常の起居を共にしていない場合において、その者と生計を一にする親族が居住の用に供し、又は居住の用に供することが確実であると見込まれるときで、当該やむを得ない事情が解消した後はその者が共に当該住宅用家屋等に居住することとなると認められるときは、これに該当するものとして取り扱う。
 なお、この取扱いの適用がある場合において、同条第7項の規定により贈与税の申告書に添付して提出しなければならないとされている書類については、次の(1)又は(2)に掲げるところによることとする。

  • (1) 措置法規則第23条の5の2第6項第1号又は第2号の場合 同項第1号イ(3)又は第2号イ(2)に掲げる書類にあっては住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成されたもので、また、同項第1号ロ(3)又は第2号ロ(3)に掲げる書類にあっては、当該住宅用家屋等をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の住民票の写しの提出を約するもので差し支えない。
  • (2) 同条第6項第3号の場合 同号イ(2)に掲げる書類にあっては、住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成されたもので、また、同号ロ(3)に掲げる書類にあっては、当該増改築対象家屋をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の戸籍の附票の写しその他の書類で当該生計を一にする親族が当該増改築等前に当該増改築対象家屋に居住していたこと及び当該増改築等後に当該増改築対象家屋に居住していることを明らかにするものの提出を約するもので差し支えない。

(注)

  • 1 上記の住宅用家屋とは、措置法第70条の2第2項第2号に規定する住宅用家屋(以下70の2-8までにおいて「住宅用家屋」という。)を、既存住宅用家屋とは、同項第3号に規定する既存住宅用家屋(以下70の2-8までにおいて「既存住宅用家屋」という。)を、増改築対象家屋とは、特定受贈者が居住の用に供している住宅用の家屋をいうことに留意する。
  • 2 上記の取扱いは、その者と生計を一にする親族が当該住宅用家屋等を居住の用に供する前に、そのやむを得ない事情が解消している場合には、適用がないことに留意する。
  • 3 措置法第70条の2第1項第3号に規定する「当該特定受贈者が居住の用に供している住宅用の家屋」の判定については、上記に準じて取り扱う。
(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる住宅用家屋とは、特定受贈者が生活の拠点として利用している家屋をいうものと解されることから、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者の親族を居住させるための住宅用家屋の新築等は、この非課税の要件に該当しないこととなる。しかし、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が、転勤等のやむを得ない事由により一時的に家族と別居することを余儀なくされたような場合にまで一律に、この要件に該当しないとして住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を認めないとすることは適当ではない。
 そこで、70の2-2において、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、その者の配偶者、扶養親族その他その者と生計を一にする親族(以下「生計を一にする親族」という。)と日常の起居を共にしていない場合においても、その者と生計を一にする親族がその住宅用家屋を居住の用に供しており、かつ、そのやむを得ない事情が解消した場合には、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者が共にその住宅用家屋に居住することとなると認められるときにはその居住用家屋は特定受贈者の居住の用に供したものとして取り扱うこととしたものである。
 70の2-2が適用される典型的な例は、いわゆる単身赴任のサラリーマンの場合(例えば、赴任先が東京であるため、たまたま東京の大学に在学していた子と東京で生活をし、配偶者や他の子を高松に残しているような場合を含む。)であるが、赴任先で妻子と日常の生活を共にし、前住所地に両親や兄弟等を残しているようなときにおいて、これらの者が居住するために新築又は取得をする居住用家屋についてまで特定受贈者が居住の用に供する家屋として取り扱う趣旨ではない。また、その住宅用家屋を特定受贈者の妻子が居住の用に供する前に、単身赴任しなければならないやむを得ない事情が解消している場合には、当然のことながらこの適用はないこととなる(70の2-2の(注)2参照。)。
 次に、70の2-2の取扱いの適用を受ける場合において、贈与税の申告書に添付しなければならないとされる書類のうち措置法規則第23条の5の2第6項第1号イ(3)又は第2号イ(2)に掲げる特定受贈者が「居住の用に供した日以後に作成された住民票の写し」、同項第1号ロ(3)又は第2号ロ(3)に掲げる「所轄税務署長に提出することを約する書類」、同項第3号イ(2)に掲げる特定受贈者が「居住の用に供した日以後に作成された戸籍の附票の写しその他の書類で特定受贈者が増改築等前に増改築対象家屋に居住していたこと及び増改築等後に増改築対象家屋に居住していることを明らかにするもの」、同号ロ(3)に掲げる「所轄税務署長に提出することを約する書類」については、申告時点において添付することができないことから、同項第1号イ(3)又は第2号イ(2)に掲げる書類については「住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成された住民票の写し」、同項第1号ロ(3)又は第2号ロ(3)に掲げる書類については「住宅用家屋等をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の住民票の写しの提出を約する書類」、同項第3号イ(2)に掲げる書類については「住宅取得等資金を贈与により取得した日以後に作成されたもの」、同号ロ(3)に掲げる書類については、「増改築対象家屋をその者と生計を一にする親族の居住の用に供すること及びその居住の用に供したときは遅滞なくその生計を一にする親族の戸籍の附票の写しその他の書類でその生計を一にする親族が増改築等前に増改築対象家屋に居住していたこと及び増改築等後に増改築対象家屋に居住していることを明らかにするものの提出を約する書類」を添付することで差し支えないこととした。
 なお、特定受贈者が、贈与により取得した住宅取得等資金の全額を特定受贈者が居住の用に供している住宅用家屋について行う増改築等に充てたときにも住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用が認められる(措法70の2丸1三)。この場合にも、その者の居住の用に供されている家屋の判定に当たり上記と同様な問題が生じるおそれがあるが、住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を認めないとすることは適当ではないと考えられることから、70の2-2の(注)3において本通達の本文の取扱いに準じて取り扱うことを明らかにした。

(住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等)

70の2-3 措置法第70条の2第1項第1号に規定する住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利については、70の3-2((住宅用家屋の新築又は取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等))((注)2を除く。)を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる住宅用家屋の新築又は取得には、住宅用家屋の新築若しくは取得とともにするその敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の取得が含まれることとされている(措法70の2丸1一)。
 この場合の「土地等の取得」とは、条文上、「住宅用家屋の新築若しくは取得とともにする」と規定されていることから、住宅用家屋の新築又は取得と同時に取得された場合に限られている。
 措置法第70条の2の規定における住宅用家屋の新築又は取得とともにするその敷地の用に供されている土地等の取扱いについては、措置法第70条の3第1項第1号に規定する住宅用家屋の新築又は取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地又は土地の上に存する権利と同様であることから、70の3-2((注)2を除く。)を準用することとした。
 70の3-2では、対象となる土地等について、住宅用家屋の新築をする場合と住宅用家屋の取得をする場合とに区分して次のとおり例示している。

  • (1) 住宅用家屋の新築の場合
    • 丸1 土地の分譲業者から土地を取得し、その業者との間でその土地の上に住宅用家屋を新築する請負契約を締結した場合のその土地等
    • 丸2 住宅用家屋の新築請負契約の締結を条件(停止条件又は解除条件)に取得した土地等
  • (2) 住宅用家屋の取得の場合
     いわゆる建売住宅、分譲マンションの土地等

 なお、70の2-3においては、70の3-2の(注)2を除いて準用することとしている。これは、70の3-2の(注)2が相続時精算課税固有の取扱いを示したものであることによる。すなわち、住宅用家屋の新築又は取得とともにするその敷地の用に供されている土地等以外の土地等の取得のため金銭(以下「土地等取得資金」という。)は、住宅取得等資金には該当しないこととなるが、土地等取得資金を贈与により取得した同一年中に住宅取得等資金を土地等取得資金を贈与した者より取得し相続時精算課税の適用を受ける場合には、その土地等取得資金についても相続時精算課税の適用を受けることとなる。しかし、住宅取得等資金の贈与税の非課税は、それぞれの贈与により取得した金銭が住宅取得等資金に該当するか否かによりその適用の可否を判断することとなるため、土地等取得資金はこの非課税の適用を受けることはできないことに留意する必要がある。

(住宅取得等資金が法施行地外にある場合等)

70の2-4 住宅取得等資金の所在が相続税法の施行地外である場合については、70の3-3((住宅取得等資金が法施行地外にある場合等))((注)を除く。)を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受ける場合において、住宅取得等資金により新築等をする住宅用家屋等の所在は、措置法令第40条の4の2第1項、第2項及び第3項の規定により相続税法の施行地内でなければならないが、住宅取得等資金の所在地については、法令上、特に制限がないことから、相続税法の施行地内又は施行地外のいずれでもよいこととなる。
 措置法第70条の2の規定における住宅取得等資金が法施行地外にある場合の取扱いについては、措置法第70条の3の規定における取扱いと同様であることから、70の3-3((注)を除く。)を準用することとした。

(床面積の意義)

70の2-5 措置法令第40条の4の2第1項第1号に規定する家屋の床面積、同項第2号に規定する区分所有する部分の床面積、同条第4項第2号に規定する家屋の床面積及び同号に規定する区分所有する部分の床面積については、70の3-5((床面積の意義))を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる新築若しくは取得する住宅用家屋又は居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築等の対象となる当該住宅用の家屋の要件の一つとして、丸1一棟の家屋の場合には床面積が50平方メートル以上であること、また、丸2一棟の家屋でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるもの(以下「区分所有の目的となる建物」という。)につきその各部分を区分所有する場合には、その者が区分所有する部分の床面積が50平方メートル以上であることが必要とされている(措令40の4の2丸1丸2丸4)。
 措置法令第40条の4の2第1項第1号に規定する家屋の床面積、同項第2号に規定する区分所有する部分の床面積、同条第4項第2号イに規定する家屋の床面積及び同号ロに規定する区分所有する部分の床面積の取扱いについては、措置法令第40条の5第1項第1号に規定する家屋の床面積、同項第2号に規定する区分所有する部分の床面積、同条第4項第2号イに規定する床面積及び同号ロに規定する床面積と同様であることから、70の3-5を準用することとした。
 70の3-5では、この要件に該当するかどうかについては、丸1一棟の家屋の場合の床面積は各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により、また、丸2区分所有の目的となる建物につきその各部分を区分所有する場合のその者が区分所有する部分(その者が所有する建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分)の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により判定することとしている。

(店舗兼住宅等の場合の床面積の基準の判定)

70の2-6 措置法令第40条の4の2第1項及び同条第4項第2号に規定する床面積の基準の判定については、70の3-6((店舗兼住宅等の場合の床面積基準の判定))を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる新築若しくは取得する住宅用家屋又は居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築等の対象となる当該住宅用の家屋の要件の一つとして、丸1一棟の家屋の場合には、床面積が50平方メートル以上であること、また、丸2区分所有の目的となる建物につきその各部分を区分所有する場合にはその者が区分所有する部分の床面積が50平方メートル以上であることが必要とされている(措令40の4の2丸1丸2丸4)。
 措置法令第40条の4の2第1項第1号に規定する家屋の床面積、同項第2号に規定する区分所有する部分の床面積、同条第4項第2号イに規定する家屋の床面積及び同号ロに規定する区分所有する部分の床面積の取扱いについては、措置法令第40条の5第1項第1号に規定する家屋の床面積、同項第2号に規定する区分所有する部分の床面積、同条第4項第2号イに規定する床面積及び同号ロに規定する床面積と同様であることから、70の3-6を準用することとした。
 70の3-6では、この床面積が50平方メートル以上であるかどうかの判定に当たり、その家屋が住宅取得等資金の贈与を受けた者の居住の用と店舗や事務所の用などその者の居住の用以外の用との併用となっている場合又は2以上の者と共有となっている場合であっても、その店舗や事務所の用などその者の居住の用以外の用に供されている部分又は他の者の共有持分に相当する部分を含めたその家屋全体の床面積により判定することとしている。

(定期借地権等の設定に際し保証金等の支払いがある場合)

70の2-7 借地権(借地借家法(平成3年法律第90号)第22条((定期借地権))及び第24条((建物譲渡特約付借地権))に規定する借地権をいう。)の設定に際し、借地権者から借地権設定者に対し、保証金、敷金などその名称のいかんを問わず借地契約の終了の時に返還を要するものとされる金銭等の預託があった場合については、70の3-7((定期借地権等の設定に際し保証金等の支払いがある場合))を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金が住宅用家屋の敷地の用に供されている土地等の取得の対価に充てられた場合であっても、それが住宅用家屋の新築若しくは取得又は増改築等とともに取得されるものの対価に充てられるときは、住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用があることとされている(措法70の2丸1)。
 ところで、借地権(借地借家法(平成3年法律第90号)第22条((定期借地権)) 及び第24条((建物譲渡特約付借地権))に規定する借地権をいう。以下「定期借地権等」という。)の設定に際し、一般に借地権者から借地権設定者に対して権利金(借地契約の終了の時に借地権者に返還を要しないものとされる金銭)や保証金等(借地契約の終了の時に借地権者に返還を要するものとされる金銭)が支払われるが、保証金等の支払いについては、この非課税の適用対象となる土地の上に存する権利の取得の対価に充てられたものといえるのか否か疑義がある(権利金の支払いについては、定期借地権等が土地の上に存する権利である以上、その支払った金銭はその取得の対価に充てられたものとみることができる。)。
 定期借地権等の設定に際して保証金等の支払いがあった場合には、借地権者はその保証金等の返還請求権を有することになることから、直ちに当該支払いが、土地の上に存する権利である定期借地権等の設定の対価の支払いであるということはできない。
 しかし、その保証金等に対して低額の利息の支払いしかない場合又は利息の支払いがないこととされている場合には、支払った保証金等の額のうち定期借地権等の設定時における保証金等の返還請求権の価額に相当する部分以外の部分は土地の所有者に帰属したと考えることができることから、当該部分は定期借地権等の設定の対価に充てたものとみることができる。
 定期借地権等の設定に際し、借地権者から借地権設定者に対し、保証金、敷金などその名称のいかんを問わず借地契約の終了の時に返還を要するものとされる金銭等の預託があった場合における措置法第70条の2の適用に関する取扱いは、措置法第70条の3と同様であることから、70の3-7を準用することとした。

(住宅用家屋の取得の意義)

70の2-8 措置法第70条の2第1項第1号に規定する住宅用家屋の取得及び同項第2号に規定する既存住宅用家屋の取得の意義については、70の3-8((住宅用家屋の取得の意義))を準用する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与について住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるためには、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の新築(新築に準ずる状態として、屋根(その骨組みを含む。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態を含む。)又は取得をしなければならないこととされている(措法70の2丸1、措規23の5の2丸1)。
 措置法第70条の2第1項第1号に規定する住宅用家屋の取得及び同項第2号に規定する既存住宅用家屋の取得の意義は、措置法第70条の3第1項に規定する住宅用家屋の取得及び同項第2号に規定する既存住宅用家屋の取得の意義と同様であることから、70の3-8を準用することとした。
 なお、70の3-8において「取得」とは、売主から現実に住宅用家屋の引渡しを受けたことをいうこととし、具体例も示している。すなわち、いわゆる建売住宅や分譲マンションの取得の対価に充てるために住宅取得等資金の贈与を受けた場合において、その建売住宅や分譲マンションの取得のための売買契約を締結しただけでは「取得」には当たらないこととなる。また、住宅取得等資金の贈与を受けた者が、請負契約により住宅用家屋の新築をする場合には、その贈与を受けた年の翌年3月15日現在において、その家屋がいわゆる「棟上げ」を了した以降の状態にあれば「新築」とみるが、建売住宅の取得をする場合には、このような状態にあったとしても「取得」とはみられないこととなる。

(「特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの」の意義)

70の2-9 措置法令第40条の4の2第5項第4号に規定する「当該特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの」の意義については、70の3-9((「特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの」の意義))を準用する。

(新設)

(説明)

措置法第70条の2第2項第5号の規定により、贈与を受けた金銭を同号に掲げる新築、取得又は増改築等の対価に充てる場合であっても、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者との請負契約その他の契約に基づき新築若しくは増改築等をし、又はその者から取得をした場合には、特殊関係者からの新築若しくは増改築等又は取得に当たることとなり、この贈与は住宅取得等資金の贈与税の非課税を適用することはできない(措法70の2丸2五、措令40の4の2丸5)。
 この場合の特殊関係者については、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者から給付を受ける金銭その他の財産そのものによって日常の生活の資の主要部分を賄っている者のほか、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者から給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入によって日常生活の資の主要部分を賄っている者も含まれる。一方、住宅取得等資金の贈与を受けた特定受贈者から離婚に伴う財産分与、損害賠償その他これに類するものとして給付を受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者については、これらの者を特殊関係者に含めることは法の予定しているところではないと考えられる。
 措置法令第40条の4の2第5項第4号に規定する「当該特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの」の意義は、措置法令第40条の5第5項第4号に規定する「当該特定受贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの」の意義と同様であることから、70の3-9を準用することとした。

(店舗兼住宅等の場合の増改築等の工事に要した費用の額の判定)

70の2-10 措置法第70条の2第2項第4号イに規定する工事に要した費用の額の判定については、70の3-10((店舗兼住宅等の場合の増改築等の工事に要した費用の額の判定))を準用する。

(新設)

(説明)

措置法第70条の2第2項第5号に規定する増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅増改築資金」という。)の贈与について住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるためには、その特定受贈者の居住の用に供している家屋(その者が居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限る。)の増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること及びその工事による工事後の家屋の床面積が50平方メートル以上であるものとされている(措法70の2丸2四、措令40の4の2丸4)。
 措置法第70条の2第2項第4号イに規定する工事に要した費用の額の判定についての取扱いは、措置法第70条の3第3項第4号イに規定する工事の費用に要した額の判定と同様であることから、70の3-10を準用することとした。
 なお、70の3-10においては、家屋の増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であるかどうかの判定は、その家屋の増改築等の工事に要した費用の総額により行うこととしている。
 したがって、例えば、増改築等の工事の対象となった家屋(その対象となった家屋が措置法令第40条の4の2丸4二ロに規定する家屋にあっては、その者の区分所有する部分をいう。)が、丸1店舗や事務所の用など住宅増改築資金の贈与を受けた者の居住の用以外の用との併用となっているもの又は併用となるものにあっては、その者の居住の用に供されていない部分又は供されないその店舗や事務所などの部分の工事に要した費用の額を含めたところの総額により、また、丸22人以上の者で共有されているものにあっては、他の者の共有持分に相当する部分の工事に要した費用の額を含めたところの総額により、措置法第70条の2第2項第4号イに規定する「当該工事に要した費用の額」の判定を行うこととなる。
 この場合において、その者の居住の用に供する部分の工事に要した費用の額は、当該工事に要した費用の額の2分の1以上でなければならないこととされている(措令40の4の2丸4一)。

(国土交通大臣が財務大臣と協議して定める書類)

70の2-11 措置法規則第23条の5の2第5項第1号イからニまでに規定する国土交通大臣が財務大臣と協議して定める書類とは、措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けようとする者から措置法規則第23条の5の2第5項の証明の申請を受けた建築士(建築士法(昭和25年法律第202号)第23条の3第1項の規定により登録された建築士事務所に属する建築士に限るものとし、木造以外の住宅に係る工事にあっては一級建築士又は二級建築士に限るものとする。)が、平成21年6月26日付国土交通省告示第684号の別表で定める書式により、当該申請に係る工事が相続税法の施行地内で行われるもので、措置法令第40条の4の2第3項第1号に規定する増築、改築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替、同項第2号に規定する修繕若しくは模様替、同項第3号に規定する修繕若しくは模様替又は同項第4号に規定する修繕若しくは模様替に該当する旨を証するものをいうことに留意する。

(新設)

(説明)

 住宅増改築資金の贈与について住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるためには、特定受贈者の居住の用に供している家屋(その者が居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限る。)の増改築等の工事が、相続税法の施行地内で行われたもので、次に掲げる工事(その工事と併せて行うその家屋と一体となって効用を果たす設備の取替え又は取付けに係る工事を含む。)に該当するものであることにつきそれぞれに掲げる書類により証明されたものでなければならないとされている(措法70の2丸2四、措令40の4の2丸3、措規23の5の2丸5、平成21年国土交通省告示第684号)。

  • (1) 増築、改築、建築基準法第2条第14号に規定する大規模な修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替(措令40の4の2丸3一) 次に掲げるいずれかの書類
    • a 建築基準法第6条第1項に規定する確認済証の写し
    • b 建築基準法第7条第5項に規定する検査済証の写し
    • c 建築士(建築士法第23条の3第1項の規定により登録された建築士事務所に属する建築士に限るものとし、木造以外の住宅に係る工事にあっては一級建築士又は二級建築士に限る。以下同じ。)から交付を受けた措置令第40条の4の2第3項第1号に掲げる工事に該当する旨の増改築等工事証明書

    (注) 上記の用語の定義は次のとおりである。

    • 1 「増築」とは、一の敷地内にある既存の家屋を、棟続きで床面積を増加させること又は別棟の扱いで床面積を増加させること(別棟扱いの部分は、独立して居住の用途に供することができないものに限る。)
    • 2 「改築」とは、家屋の全部又は一部を除去し、又はこれらの部分が災害等によって消滅した後、引き続きこれと用途、規模及び構造の著しく異ならない家屋を建てること。
    • 3 「修繕」とは、既存の家屋の部分に対して、おおむね同様の形状、寸法、材料により行われる工事であること。
    • 4 「模様替」とは、おおむね同様の形状、寸法によるが、材料、構造種別等は異なるような既存の家屋の部分に対する工事であること(例えば、木造の柱を鉄骨造の柱とし、土塗りの壁をコンクリートブロック造の壁とし、茅葺きの屋根を亜鉛鉄板葺きの屋根とする等の工事は模様替に該当する。)。
  • (2) 区分所有の目的となる建物につきその各部分を区分所有する場合のその者が区分所有する部分について行う次に掲げるいずれかの修繕又は模様替((1)に掲げる工事に該当するものを除く。)(措令40の4の2丸3二) 建築士から交付を受けた次の丸1から丸3までの工事に該当する旨の増改築等工事証明書
    • 丸1 その区分所有する部分の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものをいう。以下同じ。)である床及び最下階の床の過半又は主要構造部である階段の過半について行う修繕又は模様替
    • 丸2 その区分所有する部分の間仕切壁の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(その間仕切壁の一部について位置の変更を伴うものに限られる。)
    • 丸3 その区分所有する部分の主要構造部である壁の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(その壁の過半について遮音又は熱の損失の防止のための性能を向上させるものに限られる。)
  • (3) 家屋(その家屋が一棟の建物を区分した建物につきその各部分を区分所有する場合には、その者が区分所有する部分)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替((1)又は(2)に掲げる工事に該当するものを除く。)(措令40の4の2丸3三) 建築士から交付を受けた措置令第40条の4の2第3項第3号に掲げる工事に該当する旨の増改築等工事証明書
  • (4) 家屋について行う地震に対する安全性に係る基準に適合させるための修繕又は模様替((1)から(3)までに掲げる工事に該当するものを除く。)(措令40の4の2丸3四) 建築士から交付を受けた措置法令第40条の4の2第3項第4号に掲げる工事に該当する旨の増改築等工事証明書

 70の2-11は、措置法規則第23条の5の2第5項第1号イからニまでに掲げる国土交通大臣が財務大臣と協議して定める書類とは、建築士から交付を受けた一定の増改築等の工事に該当する旨の増改築等工事証明書であることを留意的に明らかにしたものである。

(措置法第70条の2に規定する非課税の適用順序)

70の2-12 相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続又は遺贈に係る被相続人から相続開始の日の属する年の3年前の年に2回以上にわたって措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けることのできる住宅取得等資金の贈与を受け、当該年分の贈与税につき同項の規定の適用を受けている場合で、当該贈与により取得した住宅取得等資金の価額の合計額が同項の規定の適用を受けることができる金額を超え、かつ、当該贈与に係る住宅取得等資金のうちに相続開始前3年以内の贈与に該当するものと該当しないものとがあるときにおける相続税法第19条の規定の適用に当たっては、措置法第70条の2第1項の規定の適用を受ける住宅取得等資金は、まず、相続税の課税価格の計算上、相続開始前3年以内の贈与に該当する住宅取得等資金から適用されたものとして取り扱う。

(新設)

(説明)

 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した特定受贈者が、被相続人から相続開始の日の属する年の3年前の年に2回以上にわたって措置法第70条の2第1項の規定による住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けることができる住宅取得等資金の贈与を受け、その年分の贈与税につき住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けている場合で、その贈与により取得した住宅取得等資金の額の合計額が住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けることができる金額を超え、かつ、その贈与に係る住宅取得等資金のうち相続開始前3年以内の贈与に該当するものと該当しないものとがあるときにおける相続税法第19条の規定の適用に当たっては、住宅取得等資金の贈与税の非課税額がいずれの贈与から控除されたものとして取り扱うべきか疑義が生ずる。70の2-12では、これについて納税者に有利となるよう相続財産に加算される相続開始前3年以内の贈与に該当する住宅取得等資金の贈与から順に適用されたものとして取り扱うこととしたものである。

〔計算例〕

((設例)) 被相続人甲の孫は、平成24年8月に甲から遺贈により財産を取得したが、相続開始の日の属する年の3年前の年(平成21年)に次のとおり甲から贈与により住宅取得等資金を取得している。

  • 1 平成21年7月に取得した住宅取得等資金  300万円
  • 2 平成21年9月に取得した住宅取得等資金  600万円

甲の孫は、上記住宅取得等資金により新築住宅用家屋を取得して平成22年1月に居住の用に供した。
 甲の孫は、平成21年分の贈与税について住宅取得等資金の贈与税の非課税(500万円)の適用を受けており、その贈与税額は33.5万円である。

((贈与税額控除の額の計算))

  • 1 平成21年分の贈与税の課税価格
    (住宅取得等資金)(住宅取得等資金) (非課税額)
    ( 300万円  +  600万円 ) − 500万円  =  400万円
  • 2 相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額
    (相続開始前3年以内の贈与に係る住宅取得等資金)(平成21年分の非課税額)
    600万円−500万円=100万円

    (注) 住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用は、相続開始前3年以内の贈与に係る住宅取得等資金から適用されたものとして計算する。

  • 3 贈与税額控除
    33.5万円 × 100万円/400万円 = 83,750円

(修正申告書の提出期限)

70の2-13 住宅取得等資金を贈与により取得をした日の属する年の翌年3月15日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれることにより措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた者が、同条第4項各号に該当する場合において、同項の規定により当該取得をした日の属する年分の贈与税についての修正申告書を提出しなければならない期限は、当該取得をした日の属する年の翌年の12月31日から2月を経過する日とする。

(注) 上記の修正申告書に係る贈与税は、当該贈与により財産を取得した者が、当該贈与をした者に係る相続税法第21条の9第5項に規定する相続時精算課税適用者(以下70の2-13において「相続時精算課税適用者」という。)以外の者である場合には相続税法基本通達21の2-3((相続又は遺贈により財産を取得しなかった者の贈与税の課税価格))に規定する暦年課税(以下70の4-36の2までにおいて「暦年課税」という。)により、相続時精算課税適用者である場合には相続税法第21条の9第3項により、贈与税を計算することに留意する。なお、同項の規定により贈与税を計算する場合には、相続税法第21条の12第1項の規定の適用がないことに留意する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金を贈与により取得した日の属する年の翌年3月15日後遅滞なく住宅取得等資金を充てて新築等をした家屋を居住の用に供することが確実であるものとして住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けた特定受贈者が、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年12月31日までにその家屋をその特定受贈者の居住の用に供していなかった場合には、「同日までに当該特定受贈者の居住の用に供していなかった」ことに該当した日から2月以内に修正申告書を提出しなければならないこととされている(措法70の2丸4)。
 ところで、この修正申告書の提出期限の起算日については、例えば、12月31日前に当該居住用家屋に居住することなくそれ以外に別の居住用家屋を取得し当該別の居住用家屋に居住を開始した場合や、12月31日前に当該住宅用家屋に居住することなく譲渡してしまった場合など、いつの時点をとらえて「当該特定受贈者の居住の用に供していなかった」とするのか疑義が生ずるところであるが、「同日までに当該特定受贈者の居住の用に供していなかった」との事実は、12月31日を経過した日に初めて確定するものと言えることから、当該起算日を一律「当該取得をした日の属する年の翌年12月31日」とすることが相当であると考えられる。70の2-13は、そのことを明らかにしたものである。
 なお、(注)においては、修正申告書に係る贈与税の計算に当たっては、贈与により財産を取得した者が、当該贈与をした者に係る相続税法第21条の9第5項に規定する相続時精算課税適用者(以下70の2-13において「相続時精算課税適用者」という。)以外の者である場合には相続税法基本通達21の2-3((相続又は遺贈により財産を取得しなかった者の贈与税の課税価格))に規定する暦年課税により、相続時精算課税適用者である場合には相続税法第21条の9第3項により、贈与税を計算することとなり、同項の規定により贈与税を計算する場合には、相続税法第21条の12第1項((相続時精算課税に係る贈与税の特別控除))の規定の適用がないことから、そのことを留意的に明らかにした。

(住宅取得等資金の贈与をした者が贈与をした年中に死亡した場合の贈与税及び相続税の課税)

70の2-14 住宅取得等資金の贈与をした者が当該住宅取得等資金の贈与をした年中に死亡した場合において、特定受贈者が当該贈与により取得した住宅取得等資金について措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けるときには、同条第7項に規定する申告書に同条第1項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算の明細書その他の財務省令で定める書類を添付したものを提出しなければならないことに留意する。
 なお、当該住宅取得等資金について当該申告書の提出がない場合には、同条第1項の規定の適用がなく、当該住宅取得等資金の金額は、相続税法第19条第1項、同法第21条の15又は第21条の16の規定により当該贈与をした者の死亡に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入されることに留意する。
 また、住宅取得等資金を贈与により取得をした日の属する年の翌年3月15日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれることにより措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた者が、同条第4項各号に該当する場合には、同項の規定により当該取得をした日の属する年分の贈与税についての修正申告書を提出し、当該修正申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないのであるが、この場合において、住宅取得等資金のうち同条第1項の規定の適用がなかった金額は、相続税法第19条第1項、同法第21条の15又は第21条の16の規定により当該贈与をした者の死亡に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入され、当該修正申告書の提出により納付すべき贈与税の税額又は当該贈与税の税額に相当する金額は、同法第19条第1項、同法第21条の15第3項又は第21条の16第4項の規定の適用があることに留意する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書に、措置法第70条の2第1項の規定の適用を受ける旨を記載し、計算明細書等の一定の書類を添付する必要がある(措法70の2丸7)。このことは、住宅取得等資金の贈与をした者が当該住宅取得等資金の贈与をした年中に死亡した場合も同様である。
 なお、住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けた住宅取得等資金の金額は住宅取得等資金の贈与した者の死亡に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入されないのであるが、住宅取得等資金の贈与に係る措置法第70条の2第1項の規定の適用を受ける旨を記載し、計算明細書等の一定の書類を添付した贈与税の申告書の提出が贈与税の申告書の提出期限までに提出がない場合には同条第1項の規定の適用がないことから、当該住宅取得等資金の贈与した者の死亡に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入されることとなる。
 また、住宅取得等資金を贈与により取得をした日の属する年の翌年3月15日後遅滞なく特定受贈者の居住の用に供することが確実であると見込まれることにより措置法第70条の2第1項の規定の適用を受けた者が、同条第4項各号に該当する場合には、同項の規定により当該取得をした日の属する年分の贈与税についての修正申告書を提出し、修正申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。この場合には、住宅取得等資金のうち同条第1項の規定の適用がなかった金額は、贈与をした者の死亡に係る相続税の課税価格の基礎に算入され、修正申告書の提出により納付すべき贈与税の税額又は贈与税の税額に相当する金額は、相続税法第19条第1項、同法第21条の15第3項又は第21条の16第4項の規定により相続税の額から控除されることとなる。
 70の2-14は、上記のことを留意的に明らかにしたものである。

(期限後申告による「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用)

70の2-15 期限後申告又は決定による贈与税については、措置法第70条の2第1項の規定の適用がないことに留意する。なお、修正申告又は更正による贈与税については、同条第8項に該当する場合にのみ同条第1項の規定の適用があることに留意する。

(新設)

(説明)

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書に、措置法第70条の2第1項の適用を受ける旨を記載し、計算明細書等の一定の書類を添付する必要がある(措法70条の2丸7)。
 また、その記載又は添付がない期限内申告書の提出があった場合には、その記載又は添付がないことについてやむを得ない事情があった場合に限り、この特例を適用することができる(措法70の2丸8)。
 したがって、期限後申告又は決定においては、期限内申告がないため、この非課税の適用を受ける余地はないこととなる。
 70の2-15は、このことを留意的に明らかにしたものである。