1 措置法第70条の7の3第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる特例受贈非上場株式等の価額の計算(70の7の3−1)

70の7の3−1 措置法第70条の7の3第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる特例受贈非上場株式等の価額の計算は、次の算式により算定して差し支えない。

A×C分のB

(注)

1 上記算式中の符号は次のとおり。
 Aは、措置法第70条の7の3第1項の死亡した贈与者から贈与により取得した特例受贈非上場株式等のうち措置法第70条の7第2項第5号に規定する納税猶予分の贈与税額(以下「納税猶予分の贈与税額」という。)に対応する当該特例受贈非上場株式等の価額
 Bは、当該贈与者の死亡直前の当該贈与者に係る経営承継受贈者の猶予中贈与税額
 Cは、Aに規定する納税猶予分の贈与税額

2 当該死亡した贈与者から複数の認定贈与承継会社に係る非上場株式等を贈与により取得した場合のA及びBの価額は、それぞれの認定贈与承継会社ごとに算定することに留意する(措置法令第40条の8第12項の規定により算出した納税猶予分の贈与税額がAに規定する納税猶予分の贈与税額となる。)。

3 上記により計算した価額に1円未満の端数がある場合には、その端数金額を切り捨てて差し支えない。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける経営承継受贈者に係る贈与者が死亡した場合には、同項の規定の適用を受ける特例受贈非上場株式等(猶予中贈与税額に対応する部分に限る。)は、その者の死亡による相続又は遺贈に係る相続税において当該経営承継受贈者が当該贈与者から相続(当該経営承継受贈者が当該贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により取得したものとみなされる。なお、この場合において、相続税の課税価格の計算の基礎に算入すべき当該特例受贈非上場株式等の価額については、特例対象贈与の時における価額を基礎として計算するものされている(措法70の3の31)。
2 ところで、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けた経営承継受贈者が、措置法第70条の7第5項又は第6項の規定の適用を受けた場合には、納税猶予税額の一部について納税猶予に係る期限が確定することとなるが(70の7−29参照)、同項の表の第2号に規定する事由(譲渡等)以外の事由により納税猶予税額の一部について期限が確定したものがある場合には、上記1により相続又は遺贈により取得したものとみなされる特例受贈非上場株式等の価額の計算をどのように行えばよいか疑義が生ずるところである。そこで通達では、措置法第70条の7の3第1項の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる特例受贈非上場株式等の価額の計算は次の算式により算定して差し支えないことを留意的に明らかにした。

A×C分のB

(注) Aは、当該死亡した贈与者から贈与により取得した特例受贈非上場株式等のうち措置法第70条の7第2項第5号に規定する納税猶予分の贈与税額(以下「納税猶予分の贈与税額」という。)に対応する特例受贈非上場株式等の価額
 Bは、措置法第70条の7の3第1項の贈与者の死亡時の当該贈与者に係る経営承継受贈者の猶予中贈与税額
 Cは、Aに規定する納税猶予分の贈与税額

 また、死亡した贈与者から複数の認定贈与承継会社に係る非上場株式等を贈与により取得した場合のA及びBの価額は、それぞれの認定贈与承継会社ごとに算定する(措置法令第40条の8第12項の規定により算出した納税猶予分の贈与税額がAに規定する納税猶予分の贈与税額となる。)ことを通達の(注)2において留意的に明らかにした。

2 贈与者の死亡の日前3年以内に贈与を受けた非上場株式等(70の7の3−2)

70の7の3−2 措置法第70条の7第1項の規定の適用に係る贈与者が死亡(当該適用に係る特例対象贈与後3年以内の死亡に限る。)した場合の当該死亡に係る相続税の課税関係は、次に掲げるところによることに留意する。

(1) 当該贈与者の死亡の時において、現に同項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等(措置法第70条の7の3第1項に規定する特例受贈非上場株式等をいう。以下(1)において同じ。)は、同項の規定により経営承継受贈者が当該贈与者から相続(当該経営承継受贈者が当該贈与者の相続人以外の者である場合には遺贈)により取得したものとみなされ、特例対象贈与の時の価額を基礎として計算した価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の4第1項の適用に係る要件を満たせば、同項の規定の適用対象となることに留意する。

(注) 当該特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の2第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(2) 当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定しており、かつ、経営承継受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により財産を取得している場合における当該期限の確定に係る特例受贈非上場株式等は、相続税法第19条の規定により、特例対象贈与の時における価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の2第1項及び第70条の7の4第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(新設)
(説明)
1 特例受贈非上場株式等の贈与者が死亡した場合には、それまで納税の猶予を受けていた贈与税は免除され(措法70の716)、その免除の適用を受けた納税猶予税額に係る特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の3の規定により経営承継受贈者が当該贈与者から相続(当該経営承継受贈者が当該贈与者の相続人以外の者である場合には、遺贈)により措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける特例受贈非上場株式等(猶予中贈与税額に対応する部分に限る。)の取得をしたものとみなされ、特例対象贈与の時の価額を基礎として計算した価額で相続税が課税されることとなる。また、相続税法においては、同法第19条の規定により、相続又は遺贈により財産を取得した者が相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与を受けた財産の価額は、その者の相続税の課税価格に加算して相続税の計算をすることとされている。
2 ところで、特例受贈非上場株式等の特例対象贈与が行われ、その後当該特例対象贈与に係る贈与者が3年以内に死亡した場合には、相続税の課税上、措置法第70条の7の3第1項の規定と相続税法第19条の規定との適用関係はどうなるのか、また、相続税の課税対象に取り込まれた特例受贈非上場株式等についての措置法第70条の7の2又は第70条の7の4第1項の規定による相続税の納税猶予の適用関係はどうなるのかなどの疑問が生ずるところである。そこで通達は、措置法第70条の7第1項の適用に係る贈与者が死亡した場合(当該適用に係る特例対象贈与後3年以内の死亡に限る。)における当該死亡に係る相続税の課税関係について次のように明らかにした。

(1) 措置法第70条の7の3第1項の規定の適用関係
 当該贈与者の死亡の時において、現に措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等(猶予中贈与税額に対応する部分に限る。)は、措置法第70条の7の3第1項の規定により経営承継受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされ、特例対象贈与の時の価額を基礎として計算した価額で相続税が課税されることとなる。
 なお、当該特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の4第1項の規定の適用対象となる。

(注) 措置法第70条の7の2第1項の規定の適用対象とはならない(70の7の2−3(3)参照)。

(2) 相続税法第19条の規定の適用関係
 当該贈与者の死亡の日前に、納税猶予に係る贈与税の全部又は一部について既に納税猶予期限が確定し、かつ、受贈者がその死亡した贈与者(被相続人)から相続又は遺贈により財産を取得している場合には、当該既に期限が確定した特例受贈非上場株式等は、相続税法第19条の規定により、贈与の時における価額で相続税が課税されることとなる。
 なお、当該期限の確定に係る特例受贈非上場株式等は、措置法第70条の7の2第1項及び第70条の7の4第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。これは、当該期限の確定に係る特例受贈非上場株式等は、贈与者(被相続人)から生前に贈与を受けたものであり、しかも、上記(1)の場合と異なり、贈与者から相続又は遺贈により取得したとみなされないからである。