31 みなす充足に該当しないこととなる事由(70の7の2−31)

70の7の2−31 措置法令第40条の8の2第37項第1号の「担保の全部又は一部につき変更があった場合」とは、例えば、次のようなものをいうことに留意する。

(1) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が合併により消滅した場合

(2) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等になった場合

(3) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が組織変更した場合

(4) 担保として提供された特例非上場株式等である株式の併合又は分割があった場合

(5) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が会社法第185条に規定する株式無償割当てをした場合

(6) 担保として提供された特例非上場株式等の名称変更があったことその他の事由により担保として提供された当該特例非上場株式等に係る株券の差替えの手続が必要となった場合

(7) 担保財産の変更等が行われたため、特例非上場株式等のすべてが担保として提供されていないこととなった場合

(8) 担保として提供された特例非上場株式等について、措置法規則第23条の10第25項に掲げる要件に該当しないこととなった場合

(新設)
(説明)
 70の7―30(みなす充足に該当しないこととなる事由)の説明を参照。

32 担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足(70の7の2−32)

70の7の2−32 措置法第70条の7の2第6項本文の規定は、同条第1項の規定の適用を受けようとする場合に特例非上場株式等のすべてを担保として提供したときに適用されるものであることから、同条第1項の規定の適用を受けるに当たり特例非上場株式等以外の財産を担保として提供したこと等により同条第6項本文の規定が適用されなかった場合又は同条第6項本文の規定が適用されたものの担保の全部若しくは一部につき変更があったため同条第6項ただし書に該当した場合には、その後に担保財産の変更を行った結果、特例非上場株式等のすべてを担保提供している状況が生じても、その時点から同条第6項本文の規定が適用されるものではないことに留意する。
 ただし、同条第6項本文の規定が適用されたものの担保の全部又は一部につき変更があったため同条第7項ただし書に該当した場合であっても、担保として提供している特例非上場株式等について措置法令第40条の8の2第38項に規定する特定事由が生じた又は生じることが確実と認められるため、同項の規定に基づき、当該特例非上場株式等に対応するものとして新たに取得した特例非上場株式等の全部が担保として提供されたときには、同項第1号の規定により当該担保の解除はなかったものとみなすことから、措置法第70条の7の2第6項本文の規定が継続して適用されることに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7―31(担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足)の説明を参照。

33 譲渡制限株式の担保の取扱い(70の7の2−33)

70の7の2−33 特例非上場株式等のすべてが担保として提供される場合には、当該特例非上場株式等が会社法第107条第1項第1号又は同法第108条第1項第4号の規定により譲渡に制限が付されているものであっても、措置法第70条の7の2第6項の規定により、当該納税猶予分の相続税額に相当する担保が提供されたものとみなすことに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7―32(譲渡制限株式の担保の取扱い)の説明を参照。

34 特定事由(70の7の2−34)

70の7の2−34 措置法令第40条の8の2第38項に規定する「特定事由」とは、70の7の2―31((みなす充足に該当しないこととなる事由))(1)から(6)に掲げるようなものをいうことに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7―33(特定事由)の説明を参照。

35 既に非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等(70の7の2−35)

70の7の2−35 認定承継会社の非上場株式等について、措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けようとする場合において、同項の規定の適用を受けようとする者以外の者が当該認定承継会社の非上場株式等について次に掲げるいずれかの規定の適用を現に受けているときは、同項の規定の適用を受けることができないことに留意する。

(1) 措置法第70条の7第1項

(2) 措置法第70条の7の2第1項

(3) 措置法第70条の7の4第1項

(注)

1 措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けようとする者が当該認定承継会社に係る株式等について上記(1)から(3)までのいずれかの規定の適用を受けている場合には、同項の規定の適用を受けることができることに留意する。

2 上記の措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けることができるかどうかの判定は、認定承継会社ごとに行うことに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7−34(既に非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等)の説明を参照。

36 継続届出書の提出期間(70の7の2−36)

70の7の2−36 措置法第70条の7の2第10項に規定する届出書は、同条第1項の相続に係る同条第2項第7号イに規定する第1種基準日の翌日から5月を経過するごとの日及び同号ロに規定する第2種基準日の翌日から3月を経過するごとの日までに提出しなければならないのであるが、その提出期間は、それぞれ、当該第1種基準日の翌日から当該5月を経過するごとの日までの期間及び当該第2種基準日の翌日から当該3月を経過するごとの日までの期間として取り扱う。

(新設)
(説明)
 70の7−35(継続届出書の提出期間)の説明を参照。

37 増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ(70の7の2−37)

70の7の2−37 措置法第70条の7の2第13項の規定により、増担保命令等に応じないため(措置法令第40条の8の2第38項第2号の規定により増担保命令等に応じなかったものとみなす場合を含む。)納税の猶予に係る期限を繰り上げる場合には、当該担保不足に対応する納税猶予税額だけでなく、猶予中相続税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7―36(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)の説明を参照。

38 持分会社の出資の持分等を担保提供できる場合(70の7の2−38)

70の7の2−38 措置法第70条の7の2第14項第2号の規定は、同条第1項の規定の適用を受けようとする場合に特例非上場株式等のすべてを担保として提供するとき又は措置法令第40条の8の2第38項の規定により特例非上場株式等を再び担保として提供する場合に適用されることに留意する。

(新設)
(説明)
 70の7―37(持分会社の出資の持分等を担保提供できる場合)の説明を参照。

39 延納申請を行う場合の不動産等の割合の計算における端数処理(70の7の2−39)

70の7の2−39 措置法第70条の7の2第14項第10号の適用に当たり、認定承継会社ごとの特例非上場株式等の価額に100分の20を乗じた価額に1円未満の端数が生じた場合は、その端数は切り捨てることに留意する。

(新設)
(説明)
 非上場株式等についての相続税の納税猶予の適用を受ける者が、納付すべき相続税額のうち納税猶予分の税額以外のものについて延納申請を行う場合には、相続等により取得した財産のうち特例非上場株式等の価額は「当該特例非上場株式等の価額に百分の二十を乗じた価額」であるものとして延納期間・利子税割合の判定のために用いる「不動産等の割合」(課税相続財産の価額のうちに不動産等の価額が占める割合)を計算することとされている(措置法第70条の7の2第14項第10号)。
 この「当該特例非上場株式等の価額に百分の二十を乗じた価額」に端数が生じた場合の取扱いを留意的に明らかにした。

(注) 「不動産等の割合」(課税相続財産の価額のうちに不動産等の価額が占める割合)における「不動産等」とは、不動産、立木、不動産の上に存する権利、事業用の減価償却資産、特定同族会社(※)の株式及び出資をいう(相381、相令13、相規19)。
 したがって、特例非上場株式等については、1当該特例非上場株式等に係る認定承継会社が特定同族会社に該当する場合には「不動産等」に該当する、2当該特例非上場株式等に係る認定承継会社が特定同族会社に該当しない場合には「不動産等」に該当しないことになる。

(※) 特定同族会社とは、相続や遺贈によって財産を取得した者又はその親族その他の特別関係者(相続税法施行令第31条第1項に掲げる者をいう。)の有する株式の数又は出資の金額が、その会社の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を占めている非上場会社をいう。

【端数処理の取扱い】
○認定承継会社が1社の場合
「当該特例非上場株式等の価額に百分の二十を乗じた価額」に1円未満の端数が生じた場合は、その端数は切り捨てる。
○認定承継会社が複数ある場合
「認定承継会社ごとの特例非上場株式等の価額に百分の二十を乗じた価額」に1円未満の端数が生じた場合は、その端数は切り捨てる。

40 措置法第70条の7の2第16項に規定する免除届出期限(70の7の2−40)

70の7の2−40 措置法第70条の7の2第16項第2号の規定の適用を受けようとする場合においては、同項に規定する免除届出期限までに同項の届出書を提出しなければならないのであるが、当該届出書を同項第2号の贈与の日以後6月を経過する日後に提出した場合であっても、当該提出をした日が、当該特例非上場株式等の受贈者が措置法第70条の7第1項の適用を受けた申告書を提出した日以後6月を経過する日以前であれば、当該免除届出期限までに提出された届出書として差し支えない。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けていた特例非上場株式等を経営承継期間の末日の翌日以後に、経営承継相続人等が特例非上場株式等につき措置法第70条の7の規定の適用に係る贈与をした場合には、猶予中相続税額(措置法第70条の7の2第2項第7号ロに規定する猶予中相続税額をいう。以下同じ。)のうち、一定の部分(70の7の2−41参照)に相当する相続税については免除することとされている(措法70の7の216二)。当該免除を受けるためには、その該当することとなった日から同日以後6月を経過する日(以下70の7の2−40において「免除届出期限」という。)までに一定の届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。また、同条第22項においては、当該届出書が当該免除届出期限までに提出されなかった場合においても、これらの規定に規定する税務署長がこれらの期限内にその提出がなかったことについてやむを得ない事情があると認める場合において、一定の書類とともに当該届出書が当該税務署長に提出されたときは、当該届出書が当該免除届出期限内に提出されたものとみなすこととされている。
2 ところで、上記1の免除は、上記1の贈与に係る受贈者が、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けることが要件とされている。しかし、当該贈与が行なわれる時期によっては、その贈与の日以後6月を経過する日までに当該受贈者が当該贈与に係る贈与税の申告書を提出していない場合もある。そこで、通達では、免除に係る届出書を措置法第70条の7の2第16項第2号の特例非上場株式等の贈与の日以後6月を経過する日後に提出した場合であっても、当該提出をした日が、当該特例非上場株式等の受贈者が措置法第70条の7第1項の適用を受けた申告書を提出した日以後6月を経過する日以前であれば、当該免除届出期限までに提出された届出書として取り扱うこととした。