31 担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足(70の7−31)

70の7−31 措置法第70条の7第7項本文の規定は、同条第1項の規定の適用を受けようとする場合に特例受贈非上場株式等のすべてを担保として提供したときに適用されるものであることから、同条第1項の規定の適用を受けるに当たり特例受贈非上場株式等以外の財産を担保として提供したこと等により同条第7項本文の規定が適用されなかった場合又は同条第7項本文の規定が適用されたものの担保の全部若しくは一部につき変更があったため同条第7項ただし書に該当した場合には、その後に担保財産の変更を行った結果、特例受贈非上場株式等のすべてを担保提供している状況が生じても、その時点から同条第7項本文の規定が適用されるものではないことに留意する。
 ただし、同条第7項本文の規定が適用されたものの担保の全部又は一部につき変更があったため同条第7項ただし書に該当した場合であっても、担保として提供している特例受贈非上場株式等について措置法令第40条の8第31項に規定する特定事由が生じた又は生じることが確実と認められるため、同項の規定に基づき、当該特例受贈非上場株式等に対応するものとして新たに取得した特例受贈非上場株式等の全部が担保として提供されたときには、同項第1号の規定により当該担保の解除はなかったものとみなすことから、措置法第70条の7第7項本文の規定が継続して適用されることに留意する。

(新設)
(説明)
 措置法第70条の7第7項本文の規定(以下「みなす充足」という。)は、非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受けようとする場合に、特例受贈非上場株式等の全てを担保として提供したときに適用されるものである(納税猶予の適用を受ける最初から特例受贈非上場株式等が全部担保提供されていることが必要)。
 したがって、1非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たって特例受贈非上場株式等以外の財産又は特例受贈非上場株式等の一部を担保として提供したためみなす充足が適用されない場合又は2非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受けるに当たってみなす充足の適用を受けたものの、担保として提供されている特例受贈非上場株式等について全部又は一部につき変更があったことから、同項ただし書によりみなす充足が適用されなくなった場合には、その後に担保財産の変更が行われた結果、納税猶予中の贈与税額について特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供された状態が生じたとしても、その時点からみなす充足が適用されるものではないことを留意的に明らかにした。
 ただし、みなす充足が適用されている場合に、特定事由が生じた又は生じることが確実と認められるため措置法令第40条の8第31項の規定により担保財産の変更(差替え)を行ったときには、同項第1号の規定により担保解除がなかったものとみなすことから、みなす充足の適用が継続することとなる。

32 譲渡制限株式の担保の取扱い(70の7−32)

70の7−32 特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供される場合には、当該特例受贈非上場株式等が会社法第107条第1項第1号((株式の内容についての特別の定め))又は同法第108条第1項第4号((異なる種類の株式))の規定により譲渡に制限が付されているものであっても、措置法第70条の7第7項の規定により、当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保が提供されたものとみなすことに留意する。

(新設)
(説明)
1 非上場株式等の納税猶予制度では、特例受贈非上場株式等の継続保有を促すとともに、認定贈与承継会社の組織変更等に起因して特例受贈非上場株式等に変化が生じた場合に税務署長がそれを適切に把握できるような措置を講じるという趣旨から、特例受贈非上場株式等の全部を担保として提供させることを原則と位置づけ、その場合のみなす充足規定を設けている。
 このため、これまでの担保の取扱いにおいては不適当な財産としていた非上場株式や持分会社の出資の持分についても、それが特例受贈非上場株式等でありかつその全部が担保として提供される場合に限り、担保財産の価額が必要担保額を充足していると法的にみなすことにより、担保提供を認めるものである。

(注) 認定贈与承継会社の持分については、措置法第70条の7第14項第2号により国税通則法第50条第2号に該当する財産として取扱うこととしている。

2 株式の譲渡制限についても、これまでの担保の取扱いにおいては一般的に処分が困難(換価性が低い)となることから、担保提供に当たって譲渡制限を解除する必要があった。
 非上場株式等の納税猶予制度においては、1上記1の趣旨から特例受贈非上場株式等の担保提供を認めるものであること、2譲渡制限の解除は取締役会の承認が必要であり、仮に承認が得られない場合は担保提供が困難となる結果、非上場株式等の納税猶予制度の適用を受けられなくなること、3持分会社の持分は社員以外への譲渡が会社法で禁止されているが非上場株式等の納税猶予制度における担保として認める取扱いとの整合性から、特例受贈非上場株式等の全部が担保として提供される場合に限り、譲渡制限が付されているものであっても担保提供を認めるものである。
 また、特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供された後(みなす充足が適用)において、当該株式に譲渡制限が付された場合についても、「担保の全部又は一部につき変更があった場合」には該当しないものとして取り扱うことになる。
3 したがって、特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供されない場合又は特例受贈非上場株式等以外の財産を担保として提供する場合には、これまでの担保の取扱いによることに留意する。

(注) この場合には、措置法第70条の7第14項第2号の規定が適用されないことから、持分会社の持分は、国税通則法第50条に掲げる国税の担保として提供できる財産には該当しないことに留意する。

(参考)
1 国税通則法における担保の取扱いに当たっての原則
 国税の担保として提供できる財産の種類は国税通則法第50条で規定されており、有価証券については同条第2号で「社債その他の有価証券で税務署長等が確実と認めるもの」と規定されている。
 ここにいう税務署長等が確実と認めるものとは、国税通則法基本通達第50条関係(担保の種類)の1(確実と認める社債その他の有価証券)に掲げられるものをいうが、非上場株は該当していないため、国税の担保とすることは原則として認めていない。
 これは、市場等がなく処分が困難(かつ評価が困難)であることから、税務署長が担保として適当と認める財産から除かれていると考えられる。
2 担保として不適格な財産
 担保として提供できる財産であったとしても、処分に際して支障のあるものなど、次のような財産は担保として不適格な財産として取り扱う。
※相続税法上は、税務署長が「担保が適当でないと認めるとき」と規定されており、その具体的な取扱いとして次のようなものを不適格財産として取り扱うことを事務運営指針(事務提要)で規定している(延納の手引き等にも記載して納税者に周知している。)。
  • 1 法令上担保権の設定又は処分が禁止されているもの
  • 2 違法建築又は土地の違法利用のため建物の除去命令等がされているもの
  • 3 係争中の財産
  • 4 売却できる見込のない財産
  • 5 共有財産の持分
  • 6 利札付き国債その他の有価証券で、利払期未到来の利札が切り取られているもの

※ 非上場株式で定款に譲渡制限があるものは、処分に支障があるものとの整理の上、担保提供に当たって譲渡制限を外すように指導している。

33 特定事由(70の7−33)

70の7−33 措置法令第40条の8第31項に規定する「特定事由」とは、70の7―30((みなす充足に該当しないこととなる事由))(1)から(6)に掲げるようなものをいうことに留意する。

(新設)
(説明)
 措置法令第40条の8第31項の規定により、特定事由が生じる場合に税務署長がやむを得ないと認めたときに限り、あらかじめ担保を解除することができることとされている。
 この場合の「特定事由」については、担保として提供されている特例受贈非上場株式等に変更が生じたため、担保の変更手続きのためにあらかじめ担保解除が必要と認められるような場合であると考えられることから、70の7―30(みなす充足に該当しないこととなる事由)(1)から(6)に掲げるような事由をいうものであることを留意的に明らかにした。

34 既に非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例等の適用を受けている他の者がいる場合等(70の7−34)

70の7−34 認定贈与承継会社の非上場株式等について、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けようとする場合において、同項の規定の適用を受けようとする者以外の者が当該認定贈与承継会社の非上場株式等について次に掲げるいずれかの規定の適用を現に受けているときは、同項の規定の適用を受けることができないことに留意する。

(1) 措置法第70条の7第1項

(2) 措置法第70条の7の2第1項

(3) 措置法第70条の7の4第1項

(注)

1 措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けようとする者が当該認定贈与承継会社に係る株式等について上記(1)から(3)までのいずれかの規定の適用を受けている場合には、同項の規定の適用を受けることができることに留意する。

2 上記の措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けることができるかどうかの判定は、認定贈与承継会社ごとに行うことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第8項においては、「第1項の規定は、贈与者から贈与により取得をした非上場株式等に係る会社の株式等について、同項の規定の適用を受けている他の経営承継受贈者又は次条第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営承継相続人等若しくは第70条の7の4第1項の規定の適用を受けている同条第2項第3号に規定する経営相続承継受贈者がある場合(第1項の規定の適用を受けようとする者が当該経営承継相続人等又は当該経営相続承継受贈者である場合を除く。)には、当該非上場株式等については、適用しない。」と規定されている。
2 通達においては、上記1の重複適用を禁止している範囲について具体的に示すことによりその内容を留意的に明らかにした。また、通達の(注)1においては、同条第1項の規定の適用を受けようとする者が認定贈与承継会社に係る非上場株式等について措置法第70条の7第1項、第70条の7の2第1項又は第70条の7の4第1項の規定の適用を受けている場合には、同項の規定の適用を受けることができることを留意的に明らかにした(例えば、過去に母からの特例対象贈与により取得した当該特例受贈非上場株式等について現に同条第1項の規定の適用を受けている者が、父からの特例対象贈与により取得した当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社と同一の会社の特例受贈非上場株式等について同項の規定の適用を受けることができる。ただし、例えば、過去に母からの特例対象贈与により取得した当該特例受贈非上場株式等について現に同項の規定の適用を受けている者が、その後同じ母からの特例対象贈与により取得した当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社と同一の会社の特例受贈非上場株式等については同項の規定の適用を受けることができない(措法70の71)。)。
3 通達の(注)2においては、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けることができるかどうかの判定は、認定贈与承継会社ごとに行うことを留意的に明らかにした。したがって、例えば、A社の非上場株式等について措置法第70条の7第1項、第70条の7の2第1項又は第70条の7の4第1項の規定の適用を兄が受けている場合でも、B社の非上場株式等について他にこれらの規定の適用を受けている者がいない場合には、これらの項(通達においては、措置法第70条の7第1項)の規定の適用を受けることができる。
【参考】
事業承継パターン(相続税・贈与税共通)

35 継続届出書の提出期間(70の7−35)

70の7−35 措置法第70条の7第10項に規定する届出書は、特例対象贈与に係る同条第2項第7号イに規定する第1種贈与基準日の翌日から5月を経過するごとの日及び同号ロに規定する第2種贈与基準日の翌日から3月を経過するごとの日までに提出しなければならないのであるが、その提出期間は、それぞれ、当該第1種贈与基準日の翌日から当該5月を経過するごとの日までの期間及び当該第2種贈与基準日の翌日から当該3月を経過するごとの日までの期間として取り扱う。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第1項の規定の適用を受ける経営承継受贈者は、申告期限の翌日から猶予中贈与税額の全部につき納税の猶予に係る期限が確定する日までの間に経営贈与報告基準日が存する場合には、届出期限(第1種贈与基準日の翌日から5月を経過する日及び第2種贈与基準日の翌日から3月を経過する日をいう。)までに、引き続いてこの特例の適用を受けたい旨及びこの特例の適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の経営に関する事項等の措置法令第40条の8第33項の規定による記載事項を記載した届出書(以下70の7−35において「継続届出書」という。)並びに措置法規則第23条の9第24項及び第25項に規定する添付書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(措法70の710、措令40の833、措規23の9232425)。

(注)

1 「経営贈与報告基準日」とは、第1種贈与基準日又は第2種贈与基準日をいう(措法70の72七)。

2 「第1種贈与基準日」とは、経営贈与承継期間(申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日又は当該贈与に係る贈与者の死亡の日のいずれか早い日までの期間をいう。以下同じ。)のいずれかの日で、申告期限の翌日から起算して1年を経過するごとの日をいう(措法70の72七イ)。

3 「第2種贈与基準日」とは、経営贈与承継期間の末日の翌日から納税猶予分の贈与税額の全部につき納税の猶予に係る期限が確定する日までの期間のいずれかの日で、当該経営贈与承継期間の末日の翌日から3年を経過するごとの日をいう(措法70の72七ロ)。

2 そして、この継続届出書の提出がない場合には、原則として納税猶予が打ち切られ、当該届出期限の翌日から2月を経過する日(当該2月を経過する日までの間に当該贈与税に係る経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税に係る期限が到来することとされている(措法70の712)。
3 この継続届出書の提出期限については、その期限(終期)は、上記1のとおり明らかであるが、いつから(始期)提出できるのかは必ずしも明らかでない。そこで、継続届出書が直近の基準日(第1種贈与基準日又は第2種贈与基準日)間の事業継続を確認するものであることから、通達において、当該直近の基準日を提出期間の始期として取り扱うこととした。

(注) 円滑化法規則第12条第1項において、「特別贈与認定中小企業者は、当該認定に係る贈与に係る贈与税申告期限から5年間、当該贈与税申告期限の翌日から起算して1年を経過するごとの日の翌日から3月を経過する日までに、次(同項各号)に掲げる事項を経済産業大臣に報告しなければならない。」と規定されている。同条第13項においては、経済産業大臣は当該報告を受けた場合には円滑化法規則様式第16による確認書を交付するものとされており、経営承継受贈者は、当該確認書の写しを当該継続届出書に添付して提出することとされている(措規23の924)。

経営贈与承継期間内の場合と経営贈与承継期間後の場合の図

36 増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ(70の7−36)

70の7−36 措置法第70条の7第13項の規定により、増担保命令等に応じないため(措置法令第40条の8第31項第2号の規定により増担保命令等に応じなかったものとみなす場合を含む。)納税の猶予に係る期限を繰り上げる場合には、当該担保不足に対応する納税猶予税額だけでなく、猶予中贈与税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。

(新設)
(説明)
 増担保命令等に応じないため納税の猶予に係る期限を繰り上げる場合の納税猶予税額の取扱いについて留意的に明らかにした。
 また、措置法令第40条の8第31項の規定により全部又は一部の担保を解除した場合に、認定贈与承継会社の特例受贈非上場株式等の全部又は一部が期限までに再び担保として再提出されなかったため、同項第2号の規定により増担保命令等に応じなかったものとみなす場合を含むことに留意する。

37 持分会社の出資の持分等を担保提供できる場合(70の7−37)

70の7−37 措置法第70条の7第14項第2号の規定は、同条第1項の規定の適用を受けようとする場合に特例受贈非上場株式等のすべてを担保として提供するとき又は措置法令第40条の8第31項の規定により特例受贈非上場株式等を再び担保として提供する場合に適用されることに留意する。

(新設)
(説明)
 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受けようとする場合に、特例受贈非上場株式等の全てを担保として提供するときには、措置法第70条の7第14項第2号の規定により、1これまでの担保の取扱いにおいては担保として不適当な財産としていた非上場株式について担保として認める、2持分会社の出資の持分は国税通則法第50条に掲げる国税の担保として提供できる財産に該当しないものの、国税の担保として提供できる財産として取り扱い、担保として認めることとしている。
 また、特例受贈非上場株式等の全てを担保として提供して非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受けた場合(みなす充足の規定が適用される)に、その後に特定事由が生じたため措置法令第40条の8第31項の規定により、特例受贈非上場株式等を再び担保として提供する場合についても、同項第1号の規定により担保解除がなかったものとみなす(みなす充足の適用が継続)ことから、措置法第70条の7第14項第2号の規定が適用されるものであることを留意的に明らかにした。

38 破産免除等の申請書が申請期限までに提出されない場合等(70の7−38)

70の7−38 経営承継受贈者が措置法第70条の7第17項の規定に基づき贈与税の免除を受けようとする場合には、同項に規定する申請期限(以下70の7−38において「免除申請期限」という。)までに同項に規定する申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければ、同項の規定の適用はないことに留意する。
 当該申請書を免除申請期限までに提出しない場合には、同項各号に掲げる場合の区分に応じ同条第6項の表の各号の中欄に掲げる金額に相当する贈与税については当該各号の下欄に掲げる日から2月を経過する日(当該各号の下欄に掲げる日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税の猶予に係る期限が到来することに留意する。

(注) 免除申請期限までに措置法第70条の7第17項に規定する申請書の提出がなかった場合のゆうじょ規定は設けられていない。

(新設)
(説明)
1 特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等の全部の譲渡等をした場合又は特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社について破産手続開始の決定若しくは特別清算開始の命令があった場合など一定の事由に該当する場合には、納税の猶予に係る期限が確定する贈与税のうち一定の金額が税務署長の通知により免除される(措法70の71718)。
2 上記1の贈与税の免除を受ける場合には、経営承継受贈者は、免除事由に該当することとなった日から2月を経過する日(その該当することとなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日。以下70の7−38において「申請期限」という。)までに当該免除を受けたい旨、免除を受けようとする贈与税に相当する金額及びその計算の明細その他の措置法規則第23条の9第30項に規定する事項を記載した申請書(当該免除の手続に必要な書類をとして同条第31項に規定する書類を添付したものに限る。)を納税地の所轄税務署に提出しなければならないこととされている(措法70の717)。
3 したがって、上記2の申請書が当該申請期限までに提出されない場合には、措置法第70条の7第17項の規定の適用を受けることはできないこととなる。通達ではその旨を留意的に明らかにした。なお、当該申請書の提出に関し、その提出がなかった場合のゆうじょ規定は法令上設けられていない。通達の(注)ではその旨を留意的に明らかにした。

39 措置法第70条の7第17項第1号の規定の適用を受けるための譲渡等(70の7−39)

70の7−39 措置法第70条の7第17項第1号の規定の適用を受けようとする場合には、同条第1項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等のみならず、経営承継受贈者が有する当該特例受贈非上場株式等に係る会社の株式等のすべてを譲渡等する必要があることに留意する。

(新設)
(説明)
1 経営承継受贈者が特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等の全部の譲渡等をした場合には、納税の猶予に係る期限が確定する贈与税のうち一定の金額が税務署長の通知により免除される(措法70の71718)。
2 上記1の免除を受けるためには、措置法第70条の7第1項の規定の適用を受けている特例受贈非上場株式等だけでなく、経営承継受贈者が当該譲渡等の直前において所有する当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等(議決権に制限のある株式等を含む。)の全部を譲渡しなければならないこととされている。通達ではその旨を留意的に明らかにした。

40 特例受贈非上場株式等の時価に相当する金額の意義(70の7−40)

70の7−40 措置法第70条の7第17項第1号イ、第3号イ及び第4号イの「特例受贈非上場株式等の時価に相当する金額として財務省令で定める金額」は、措置法規則第23条の9第33項に規定する金額をいうのであるが、同項の「1単位当たりの価額」は、同項の規定に基づき評価基本通達の定めにより算定することに留意する。
 この場合において、同項の規定により評価基本通達185((純資産価額))のただし書及び評価基本通達188―2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))に定める評価方法(これらの定めと同様に評価することとされている評価基本通達に定める評価方法を含む。)が適用されることはないことに留意する。

(新設)
(説明)
1 経営承継受贈者が特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の非上場株式等の全部の譲渡等をした場合において、次に掲げる金額の合計額が当該譲渡等の直前における猶予中贈与税額に満たないときは、当該猶予中贈与税額から当該合計額を控除した残額に相当する贈与税が税務署長の通知により免除される(措法70の71718)。

(1) 当該譲渡等があった時における当該譲渡等をした特例受贈非上場株式等の時価に相当する金額として措置法規則第23条の9第33項に規定する金額(当該金額が当該譲渡等をした特例受贈非上場株式等の譲渡等の対価の額より小さい金額である場合には、当該譲渡等の対価の額)

(2) 当該譲渡等があった日以前5年以内において、当該経営承継受贈者及び当該経営承継受贈者と生計を一にする者が当該認定贈与承継会社から受けた剰余金の配当等の額その他当該認定贈与承継会社から受けた金額として措置法令第40条の8第18項各号に規定する金額の合計額

2 ところで、措置法規則第23条の9第33項においては、「個人が、措置法第70条の7第17項第1号イの譲渡等の直前において同条第1項に規定する贈与者から特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の発行済株式又は出資(議決権があるものに限る。)の総数又は総額のすべてを贈与により取得したものとした場合の当該贈与の時における当該認定贈与承継会社の株式又は出資の1単位当たりの価額に、同条第17項第1号イの譲渡等の直前において当該経営承継受贈者が有していた・・・乗じて得た金額とする。」と規定されている。通達では、当該1単位当たりの価額は、評価基本通達の定めにより算定することを留意的に明らかにした。
3 また、当該1単位当たりの価額は、措置法規則第23条の9第33項において、個人が同条第1項に規定する贈与者から特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の発行済株式又は出資(議決権があるものに限る。)の総数又は総額のすべてを贈与により取得したものとした場合における価額とされていることから、評価基本通達185((純資産価額))のただし書及び評価基本通達188−2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))に定める評価方法(これらの定めと同様に評価することとされている評価基本通達に定める評価方法を含む。)が適用されることはない。通達の後段においては、その旨を留意的に明らかにした。