21 資本金等の額の減少がその効力を生じた日の意義(70の7−21)

70の7−21 措置法第70条の7第4項第11号の「資本金の額の減少又は当該準備金の額の減少がその効力を生じた日」とは、会社法第449条第6項又は第627条第6項((債権者の異議))に定める日(同法第449条第6項ただし書の規定の適用がある場合には、同条第7項の規定による変更した日)をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第11号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が「会社法第447条第1項若しくは第626条第1項の規定により資本金の額の減少した場合又は同法第448条第1項の規定により準備金の額の減少をした場合(同法第309条第2項第9号イ及びロに該当する場合その他財務省令で定める場合を除く。)」には、当該「資本金の額の減少又は当該準備金の額の減少がその効力を生じた日」から2月を経過する日(当該「資本金の額の減少又は当該準備金の額の減少がその効力を生じた日」から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 会社法上、株式会社においては、原則として、資本金又は準備金(以下「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができることとされており、その場合には、当該株式会社は、会社法第449条の規定に基づく債権者異議手続を経なければならないこととされている。当該手続を経た後の資本金等の額の減少の効力発生の日は、「資本金の額の減少」については、会社法第447条第1項第3号の日(株主総会の決議によって定められた資本金の額の減少がその効力を生ずる日)となり、「資本準備金の額の減少」については、同法第448条第1項第3号の日(株主総会の決議によって定められた資本準備金の額の減少がその効力を生ずる日)となる。ただし、当該債権者手続が株主総会の決議によって定められた効力を生ずる日までに終了していない場合には、その効力は生じないこととされているため(会社法4496一)、その場合には、前もって、同法第449条第7項の規定により当初の効力を生ずる日を変更する必要がある。通達ではこれらのことを留意的に明らかにした。
3 また、合同会社においては、株式会社とほぼ同様に、資本金の額を減少する場合には、当該合同会社に対し資本金の額の減少について異議を述べることができることとされており、その場合には、当該合同会社は、会社法第627条の規定に基づく債権者異議手続を経なければならず、同条第6項においては、当該「資本金の額の減少」は、同条の手続が終了した日にその効力を生ずることとされている。通達ではその旨を留意的に明らかにした。

22 経営承継受贈者が非上場株式等についての納税猶予の適用を取りやめる場合の期限(70の7−22)

70の7−22 措置法第70条の7第4項第12号の規定に該当することによる納税の猶予に係る期限は、同条第1項の規定の適用を受けている経営承継受贈者から同項の規定の適用を受けることをやめる旨の届出書の提出があった日から2月を経過する日(当該届出書の提出があった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)となることから、当該納税猶予に係る贈与税の額及び当該贈与税の額に係る利子税の額の納付の有無に関わらず、当該2月を経過する日に確定することに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第12号においては、経営承継受贈者が同条第1項の規定の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、当該届出書の提出があった日から2月を経過する日(当該届出書の提出があった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 したがって、当該届出書の提出があった場合には、当該届出書の提出があった日から2月を経過する日に納税の猶予に係る期限が到来することになる。通達ではその旨を留意的に明らかにした。
3 なお、農地の納税猶予の場合には、70の4−35において、「措置法第70条の4第1項第4号の規定に該当することによる納税猶予の期限は、同項の規定の適用を受けている受贈者から同項の規定の適用を受けることをやめる旨の届出書の提出があつた場合においても、当該納税猶予に係る贈与税の額及び当該贈与税の額に係る利子税の額(以下70の4―35において「贈与税額等」という。)の全部の納付がない限り、確定しないのであるから留意する。なお、当該届出書の提出があつた後に贈与税額等の全部の納付があつたときは、当該届出書は、当該贈与税額等の全部の納付があつた日に提出されたものとして取り扱う。」としているが、これは、措置法第70条の4第1項第4号において、受贈者が措置法第70条の4第1項の規定の適用を受けることをやめようとする場合において、納税猶予に係る贈与税の額及び当該贈与税の額に係る利子税を納付してその旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときは、当該届出書の提出があった日から2月を経過する日(その該当することとなった後同日以前に当該受贈者が死亡した場合には、当該受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)まで納税を猶予すると規定されていることによるものであり、上記1のとおり、措置法第70条の7第4項第12号の規定ぶりとは異なることから、この70の7−22は、70の4−35における取扱いとは異なることとなる。

23 合併がその効力を生じた日の意義(70の7−23)

70の7−23 措置法第70条の7第4項第13号及び第6項の表の第3号下欄並びに同条第5項の「合併がその効力を生じた日」とは、吸収合併の場合には吸収合併契約において定めたその効力を生ずる日をいい、新設合併の場合には新設合併設立会社の成立の日(設立登記の日)をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第13号及び第6項の表の第3号並びに同条第5項においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が合併により消滅した場合には、猶予中贈与税額(措置法第70条の7第2項第7号に規定する猶予中贈与税額をいう。以下同じ。)の全部又は一部について、当該合併がその効力を生じた日から2月を経過する日(当該合併がその効力を生じた日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 会社法上、合併には、吸収合併と新設合併とがあり、前者は、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいい(会社法2二十七)、株式会社が存続会社になるものと持分会社が存続会社になるものがある(会社法749〜752)。また後者は、2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいい(会社法2二十八)、株式会社を設立するものと持分会社を設立するものとがある(会社法753〜756)。
3 吸収合併の場合には、株式会社が存続会社になるものも持分会社が存続会社になるものも吸収合併契約において、その効力を生ずる日を定めることとされており(会社法7491六、7511七)、当該効力を生ずる日に吸収合併存続株式会社又は持分会社が、吸収合併消滅会社の権利義務を承継等する(会社法750、752)。
 また、新設合併の場合には、当該新設合併により設立された会社が、株式会社である場合でも持分会社である場合でも、当該株式会社又は持分会社が成立した日に新設合併消滅会社の権利義務を承継等(会社法754、756)し、当該株式会社又は持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する(会社法49、579)。
4 通達においては、上記2及び3の会社法の規定を踏まえ、措置法第70条の7第4項第13号及び第6項の表の第3号下欄並びに同条第5項の「合併がその効力を生じた日」とは、吸収合併の場合には吸収合併契約において定めたその効力を生ずる日をいい、新設合併の場合には新設合併設立会社の成立の日(設立登記の日)をいうことを留意的に明らかにした。

24 株式交換等がその効力を生じた日の意義(70の7−24)

70の7−24 措置法第70条の7第4項第14号及び第6項の表の第4号下欄並びに同条第5項の「株式交換等がその効力を生じた日」とは、株式交換の場合には株式交換契約において定めたその効力を生ずる日をいい、株式移転の場合には株式移転設立完全親会社の成立の日(設立登記の日)をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第14号及び第6項の表の第4号並びに同条第5項おいては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が株式交換等(株式交換又は株式移転をいう。以下同じ。)をした場合には、猶予中贈与税額の全部又は一部について、当該株式交換等がその効力を生じた日から2月を経過する日(当該株式交換等がその効力を生じた日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 会社法上、株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいい(会社法2三十一)、株式移転とは、1又は2以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう(会社法2三十二)。
3 株式交換の場合には、株式交換完全親会社が株式会社であっても合同会社であっても、株式交換契約において株式交換がその効力を生ずる日を定めることとされており(会社法7681六、7701五)、その効力を生ずる日に株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得等することとされている(会社法769、771)。
 また、株式移転の場合は、株式移転完全親会社(株式移転により設立する株式会社をいう。)が成立の日に、株式移転完全子会社(株式移転完全親会社が株式移転に際して株式移転をする株式会社をいう。)の発行済株式の全部を取得等することとされており(会社法774)、当該株式移転完全親会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する(会社法49)。
4 通達においては、上記2及び3の会社法の規定を踏まえ、措置法第70条の7第4項第14号及び第6項の表の第4号下欄並びに同条第5項の「株式交換等がその効力を生じた日」とは、株式交換の場合には株式交換契約において定めたその効力を生ずる日をいい、株式移転の場合には株式移転設立完全親会社の成立の日(設立登記の日)をいうことを留意的に明らかにした。

25 非上場株式等に該当しないこととなった場合等の意義(70の7−25)

70の7−25 措置法第70条の7第4項第15号の「当該特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の株式等が非上場株式等に該当しないこととなった場合」とは、次に掲げる場合をいい、「その該当しないこととなった日」とは、当該場合の区分に応じ次に定める日をいうことに留意する。

(1) 措置法規則第23条の9第6項第1号に規定する金融商品取引所(金融商品取 引所に類するものであって外国に所在するものを含む。)への上場又は当該上場の申請がなされた場合 当該上場の申請がなされた日(申請が不要の場合には、当該上場がなされた日)

(2) 措置法規則第23条の9第6項第3号に規定する店頭売買有価証券登録原簿(店頭売買有価証券登録原簿に類するものであって外国に備えられているものを含む。)への登録若しくは当該登録の申請がなされた場合 当該登録の申請がなされた日(申請が不要の場合には、当該登録がなされた日)

(注) 持分会社の出資の場合にも、上記に準ずることに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第15号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社の株式等が非上場株式等に該当しないこととなった場合には、その該当しないこととなった日から2月を経過する日(その該当しないこととなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、ここでいう非上場株式等とは、措置法第70条の7第2項第2号及び措置法規則第23条の9第6項において、会社の株式等のすべてが、次に掲げる要件を満たす株式等をいうこととされている。

(1) 会社の株式のすべてが金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所(以下70の7−25において「金融商品取引所」という。)に上場されていないこと。

(2) 会社の株式のすべてが金融商品取引所への上場の申請がされていないこと

(3) 会社の株式のすべてが金融商品取引所に類するものであって外国に所在するものに上場がされていないこと又は当該上場の申請がされていないこと。

(4) 会社の株式のすべてが金融商品取引法第67条の11第1項に規定する店頭売買有価証券登録原簿(以下70の7−25において「店頭売買有価証券登録原簿」という。)に登録がされていないこと又は当該登録の申請がされていないこと。

(5) 会社の株式のすべてが店頭売買有価証券登録原簿に類するものであって外国に備えられるものに登録がされていないこと又は登録の申請がされていないこと。

3 したがって、一般的には当該金融商品取引所への上場又は当該店頭売買有価証券登録原簿への登録をする前には、その申請が必要であることから措置法第70条の7第4項第15号の「その該当しないこととなった日」は、上場又は登録の申請がなされた日となる。通達はそのことを留意的に明らかにした。

26 風俗営業会社に該当することとなった日の意義等(70の7−26)

70の7−26 措置法第70条の7第4項第16号に規定する「風俗営業会社」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)(以下70の7−26において「風営法」という。)第2条第5項((用語の意義))に規定する性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社をいい、同号の「その該当することとなった日」とは、風営法第27条第1項、第31条の2第1項、第31条の7第1項、第31条の12第1項又は第31条の17第1項((営業等の届出))の届出書を提出した日とする。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第4項第16号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社又は当該認定贈与承継会社の特別子会社等(措置法令第40条の8第22項に規定する者をいう。)が風俗営業会社(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律122号)(以下「風営法」という。)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社をいう。以下70の7−26において同じ。)に該当することとなった場合には、その該当することとなった日から2月を経過する日(その該当することとなった日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、風営法上、「性風俗関連特殊営業」とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業をいうこととされており(風営法25)、これらの営業を営もうとする者は、公安委員会に一定の届出をしなければならないこととされている(風営法27、31の2、31の7、31の12、31の17)。
3 通達においては、上記風営法の規定を踏まえ、措置法第70条の7第4項第16号に規定する「風俗営業会社」とは、風営法第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当する事業を営む会社をいい、同号の「その該当することとなった日」とは、風営法第27条第1項、第31条の2第1項、第31条の7第1項、第31条の12第1項又は第31条の17第1項の届出書を提出した日をいうこととした。

27 会社分割をした場合等の意義(70の7−27)

70の7−27 措置法第70条の7第6項の表の第5号上欄に掲げる場合には、株式等以外のみを配当財産とする剰余金の配当があった場合は含まれないことに留意する。
 また、同号下欄の「会社分割がその効力を生じた日」とは、吸収分割の場合には吸収分割契約において定めたその効力を生ずる日をいい、新設分割の場合には新設分割設立会社の成立の日(設立登記の日)をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第6項の表の第5号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が会社分割をした場合(当該会社分割に際して吸収分割承継会社等(会社法第757条に規定する吸収分割承継会社又は同法第763条に規定する新設分割設立会社をいう。以下同じ。)の株式等を配当財産とする剰余金の配当があった場合に限る。)には、猶予中贈与税額の全部又は一部について、当該会社分割がその効力を生じた日から2月を経過する日(当該会社分割がその効力を生じた日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 会社分割により分割会社は吸収分割承継会社等から対価を取得する(会社法758四、760五)がその対価が吸収分割承継会社等の株式等である場合には、当該会社分割に際して当該分割会社はその株主等に対して当該株式等を剰余金の配当として交付することができることとされている(会社法758八ロ、760七ロ)。当該株式等が剰余金の配当として交付された場合には、特例受贈非上場株式等を認定贈与承継会社に譲渡し、その対価として吸収分割承継会社等の当該株式等を受け取ったことと経済的実質が同じであることに鑑み、当該譲渡部分に相当する猶予中贈与税額について納税猶予に係る期限を確定するものである。ただし、当該株式等以外を配当財産とする剰余金の配当は、会社分割のタイミングで支払われたとしても、当該株式等を受け取った場合と異なり、会社法上の配当可能限度額の規制も効いているため(株式等が配当財産である場合には配当可能限度額の規制は効かない(会社法792、812)。)、その経済的実質は、譲渡の対価というよりむしろ通常の配当と同様であるという考え方に基づき規定されていることから、通達ではそのことを留意的に明らかにした。
3 また、会社法上、会社分割には、吸収分割と新設分割とがあり、前者は、株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいい(会社法2二十九)、後者は、1又は2以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう(会社法2三十)。
4 吸収分割の場合には、株式会社に権利義務を承継させるものも持分会社に権利義務を承継させるものも吸収分割契約において、その効力を生ずる日を定めることとされており(会社法7581七、7601六)、当該効力を生ずる日に吸収分割承継会社(会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社をいう。)が、株式会社である場合も持分会社である場合でも、吸収分割会社(吸収分割をする会社をいう。)の権利義務を承継等する(会社法759、761)。
 また、新設分割の場合には、当該新設分割により設立された会社が、株式会社である場合でも持分会社である場合でも、当該株式会社又は持分会社が成立した日に新設分割会社(新設分割をする会社をいう。)の権利義務を承継等する(会社法764、766)こととされており、当該株式会社又は持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する(会社法49、579)。
5 通達においては、上記3及び4の会社法の規定を踏まえ、措置法第70条の7第6項の表の第5号下欄の「会社分割がその効力を生じた日」とは、吸収分割の場合には吸収分割契約において定めたその効力を生ずる日をいい、新設分割の場合には新設分割設立会社の成立の日(設立登記の日)をいうことを留意的に明らかにした。

28 組織変更をした場合等の意義(70の7−28)

70の7−28 措置法第70条の7第6項の表の第6号上欄に掲げる「組織変更」とは、会社法第2条第26号((定義))に規定する組織変更をいうのであるから、持分会社の中で会社の種類を変更した場合(例えば、合名会社から合資会社への変更など)は含まれないことに留意する。
 また、同号下欄の「組織変更がその効力を生じた日」とは、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日をいうことに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第6項の表の第6号においては、特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が組織変更をした場合(当該組織変更に際して当該認定贈与承継会社の株式等以外の財産の交付があった場合に限る。)には、猶予中贈与税額の全部又は一部について、当該組織変更がその効力を生じた日から2月を経過する日(当該組織変更がその効力を生じた日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人(包括受遺者を含む。)が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日をいう。)に納税の猶予に係る期限が到来することとされている。
2 ところで、会社法上、組織変更とは組織を変更することにより株式会社から持分会社に又は持分会社から株式会社になることをいうため(会社法2二十六)、通達においては、持分会社の中で会社の種類を変更した場合(例えば、合名会社から合資会社への変更など)は措置法第70条の7第6項の表の第6号上欄に規定する組織変更に含まれないことを留意的に明らかにした。
3 また、組織変更の場合には、株式会社が組織変更をする場合も持分会社が組織変更をする場合も組織変更計画において、その効力を生ずる日を定めることとされており(会社法7441九、7461九)、当該効力を生ずる日に株式会社又は持分会社となる(会社法745、747)。
4 通達においては、上記3の会社法の規定を踏まえ、措置法第70条の7第6項の表の第6号下欄の「組織変更がその効力を生じた日」とは、組織変更計画において定めたその効力を生ずる日をいうことを留意的に明らかにした。

29 納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の贈与税の額の計算(70の7−29)

70の7−29 措置法第70条の7第5項又は第6項の規定により納税猶予税額の一部について、納税猶予の期限が確定する場合における贈与税の額の計算は、これらの項の規定に該当する直前の猶予中贈与税額(同条第2項第7号ロに規定する猶予中贈与税額をいう。以下70の7の4−7までにおいて同じ。)に、次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める割合を乗ずることにより行うことに留意する。
 なお、これにより算出された金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨て、その切り捨てた金額は、納税猶予税額として残ることに留意する。

(1) 同条第5項の規定に該当する場合

(合併前純資産額又は交換等前純資産額)分の(吸収合併存続会社等又は同項の他の会社が、消滅する認定贈与承継会社又は株式交換完全子会社等のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等(株式等以外の金銭その他の資産を言う。以下70の7−29において同じ。)の額)

(注)

1 上記の分子の金銭等に、合併又は株式交換等(株式交換又は株式移転をいう。以下70の7の2−31までにおいて同じ。)に際して交付すべき吸収合併存続会社等又は措置法第70条の7第5項の他の会社の株式に1株未満の端数が生じたため交付されたものがある場合の措置法規則第23条の9第18項第5号又は第19項第5号の要件の判定に当たっては、当該交付された金銭等は同条第18項第5号又は第19項第5号の交付しなければならない株式に含まれるものとして判定することに留意する。

2 「吸収合併存続会社等」とは、措置法第70条の7第5項に規定する吸収合併存続会社等をいう。以下70の7−29において同じ。

3 「株式交換完全子会社等」とは、措置法第70条の7第4項第6号に規定する株式交換完全子会社等をいう。以下70の7−30までにおいて同じ。

4 「合併前純資産額」とは、合併がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額(資産の額から負債の額を控除した残額をいう。「承継純資産額」という場合を除き、この70の7−29において同じ。)をいう。以下70の7−29において同じ。

5 「交換等前純資産額」とは、株式交換等がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。以下70の7−29において同じ。

6 上記4及び5の「純資産額」を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることに留意する。

(2) 同条第6項の表の第2号の規定に該当する場合

(譲渡等の直前における特例受贈非上場株式等の数又は金額)分の(譲渡等をした特例受贈非上場株式等の数又は金額)

(3) 同条第6項の表の第3号の規定に該当する場合

(合併前純資産額)分の(吸収合併存続会社等が、消滅する認定贈与承継会社のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等の額)

(4) 同条第6項の表の第4号の規定に該当する場合

(交換等前資産額)分の(同号の中欄の他の会社が、株式交換完全子会社等のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等の額)

(5) 同条第6項の表の第5号の規定に該当する場合

(分割前純資産額)分の(承継純資産額×((吸収分割承継会社等から、当該認定贈与承継会社が交付を受けた当該吸収分割承継会社等の株式等の数又は金額)分の(認定贈与承継会社から、当該認定贈与承継会社のすべての株主等に対し配当された吸収分割承継会社等の株式等の数又は金額)))

(注)

1 「承継純資産額」とは、吸収分割承継会社等が認定贈与承継会社から承継した資産の当該会社分割がその効力を生ずる日の属する年の前年12月31日における価額から当該吸収分割承継会社等が当該認定贈与承継会社から承継した負債の同日における価額を控除した残額をいう。

2 「吸収分割承継会社等」とは、措置法第70条の7第6項の表の第5号の上欄に規定する吸収分割承継会社等をいう。以下70の7−29において同じ。

3 「分割前純資産額」とは、会社分割がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。

4 上記1の「承継した資産の当該会社分割がその効力を生ずる日の属する年の前年12月31日における価額」及び「承継した負債の同日における価額」並びに上記3の「純資産額」を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることに留意する。

(6) 同条第6項の表の第6号の規定に該当する場合

(組織変更前純資産額)分の(認定贈与承継会社から当該認定贈与承継会社のすべての株主等に対し交付された金銭等の額)

(注)

1 「組織変更前純資産額」とは、組織変更がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。

2 上記1の「純資産額」を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることに留意する。

(新設)
(説明)
1 措置法第70条の7第5項においては、経営贈与承継期間内に特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が適格合併又は適格交換をした場合において、当該特例受贈非上場株式等に係る経営承継受贈者が、吸収合併存続会社等(会社法第749条第1項に規定する吸収合併存続会社又は同法第753条第1項に規定する新設合併設立会社をいう。以下同じ。)及び他の会社(当該認定贈与承継会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等(会社法第768条第1項第1号に規定する完全交換完全子会社又は同法第773条第1項第5号に規定する株式移転完全子会社をいう。以下同じ。)となった場合における当該他の会社をいう。)の株式等以外の金銭その他の資産の交付を受けたときは、「猶予中贈与税額のうち一定の部分」について、当該合併又は当該株式交換等がその効力を生じた日から2月を経過する日(当該効力を生じた日から当該2月を経過する日までの間に当該経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税の猶予に係る期限が確定することとされている。
2 また、同条第6項においては、経営贈与承継期間の末日の翌日から猶予中贈与税額に相当する贈与税の全部につき納税の猶予に係る期限が確定する日までの間において、譲渡があった等の一定の事由が生じた場合には、「猶予中贈与税額のうち一定の部分」について、当該事由が生じた日から2月を経過する日(当該事由が生じた日から当該2月を経過する日までの間に経営承継受贈者が死亡した場合には、当該経営承継受贈者の相続人が当該経営承継受贈者の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税の猶予に係る期限が確定することとされている。
3 上記1及び2の納税の猶予に係る期限が確定する「猶予中贈与税額のうち一定の部分」については、措置法令第40条の8第24項から第29項までにおいてその計算方法が規定されており、通達ではこれらの計算方法を算式により次のとおり留意的に明らかにした。
 なお、経営贈与承継期間内に特例受贈非上場株式等に係る認定承継会社が合併により消滅した場合や株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社となった場合には、猶予中贈与税額の全部について納税の猶予に係る期限が到来することになるが、適格合併をした場合又は適格交換等をした場合で、措置法第70条の7第5項の規定に該当するときには、猶予中贈与税額の一部について納税の猶予に係る期限が到来することになる。ここで適格合併又は適格交換等に該当するか否かの判定は、それぞれ、措置法規則第23条の9第18項又は第19項の要件を満たすか否かにより行う必要があるが、合併又は株式交換等に際して交付すべき吸収合併存続会社等又は措置法第70条の7第5項の他の会社の株式に1株未満の端数が生じたため交付されたものがある場合には、措置法規則第23条の9第18項第5号又は第19項5号の要件を満たしているか疑義が生ずるところである。そこで通達の(1)の(注)1では、(1)の算式の分子の金銭等に、合併又は株式交換等に際して交付すべき吸収合併存続会社等又は措置法第70条の7第5項の他の会社の株式に1株未満の端数が生じたため交付されたものがある場合の措置法規則第23条の9第18項第5号又は第19項第5号の要件の判定に当たっては、当該交付された金銭等は同条第18項第5号又は第19項第5号の交付しなければならない株式に含まれるものとして判定することを留意的に明らかにした。
 また、通達の(1)の(注)6、(5)の(注)4及び(6)の(注)2では、(1)(3)(4)の分母である「合併前純資産額又は交換等前純資産額」、(5)の分子である「承継純資産額」、(5)の分母である「分割前純資産額」又は(6)の分母である「組織変更前純資産額」を算定する場合における各資産及び各負債の価額は、評価基本通達の定めにより算定した価額となることを留意的に明らかにした。

(1) 同条第5項の規定に該当する場合

(合併前純資産額又は交換等前純資産額)分の(吸収合併存続会社等又は同項の他の会社が、消滅する認定贈与承継会社又は株式交換完全子会社等のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等(株式等以外の金銭その他の資産を言う。以下70の7−29において同じ。)の額)

(注)

1 「合併前純資産額」とは、合併がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額(資産の額から負債の額を控除した残額をいう。「承継純資産額」という場合を除き、この70の7−29において同じ。)をいう。以下70の7−29において同じ。

2 「交換等前純資産額」とは、株式交換等がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。以下70の7−29において同じ。

(2) 同条第6項の表の第2号の規定に該当する場合

(譲渡等の直前における特例受贈非上場株式等の数又は金額)分の(譲渡等をした特例受贈非上場株式等の数又は金額)

(3) 同条第6項の表の第3号の規定に該当する場合

(合併前純資産額)分の(吸収合併存続会社等が、消滅する認定贈与承継会社のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等の額)

(4) 同条第6項の表の第4号の規定に該当する場合

(交換等前資産額)分の(同号の中欄の他の会社が、株式交換完全子会社等のすべての株主等に対し交付しなければならない金銭等の額)

(5) 同条第6項の表の第5号の規定に該当する場合

(分割前純資産額)分の(承継純資産額×((吸収分割承継会社等から、当該認定贈与承継会社が交付を受けた当該吸収分割承継会社等の株式等の数又は金額)分の(認定贈与承継会社から、当該認定贈与承継会社のすべての株主等に対し配当された吸収分割承継会社等の株式等の数又は金額)))

(注)

1 「承継純資産額」とは、吸収分割承継会社等が認定贈与承継会社から承継した資産の当該会社分割がその効力を生ずる日の属する年の前年12月31日における価額から当該吸収分割承継会社等が当該認定贈与承継会社から承継した負債の同日における価額を控除した残額をいう。

2 「分割前純資産額」とは、会社分割がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。

(6) 同条第6項の表の第6号の規定に該当する場合

(組織変更前純資産額)分の(認定贈与承継会社から当該認定贈与承継会社のすべての株主等に対し交付された金銭等の額)

(注) 「組織変更前純資産額」とは、組織変更がその効力を生ずる日の属する年の前年の12月31日における認定贈与承継会社の純資産額をいう。

4 なお、組織再編があった場合(上記3の(1)及び(3)から(5)までに該当する場合)の計算方法のイメージについては、次図参照のこと。

【図】

組織再編があった場合の確定税額の計算方法(イメージ)1〜2

組織再編があった場合の確定税額の計算方法(イメージ)3〜4

組織再編があった場合の確定税額の計算方法(イメージ)5〜6

30 みなす充足に該当しないこととなる事由(70の7−30)

70の7−30 措置法令第40条の8第30項第1号の「担保の全部又は一部につき変更があった場合」とは、例えば、次のようなものをいうことに留意する。

(1) 担保として提供された特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が合併により消滅した場合

(2) 担保として提供された特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等になった場合

(3) 担保として提供された特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が組織変更した場合

(4) 担保として提供された特例受贈非上場株式等である株式の併合又は分割があった場合

(5) 担保として提供された特例受贈非上場株式等に係る認定贈与承継会社が会社法第185条((株式無償割当て))に規定する株式無償割当てをした場合

(6) 担保として提供された特例受贈非上場株式等の名称変更があったことその他の事由により担保として提供された当該特例受贈非上場株式等に係る株券の差替えの手続が必要となった場合

(7) 担保財産の変更等が行われたため、特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供されていないこととなった場合

(8) 担保として提供された特例受贈非上場株式等について、措置法規則第23条の 9第26項に掲げる要件に該当しないこととなった場合

(新設)
(説明)
 特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供され、措置法第70条の7第7項本文の規定により、必要担保額を充足する担保提供があったものとみなす取扱い(以下「みなす充足」という。)の適用を受けた後において、担保として提供されている特例受贈非上場株式等について全部又は一部につき変更があったことから、みなす充足が適用されなくなる事由を例示したものである。
 非上場株式等に係る認定贈与承継会社の組織変更等に起因して、非上場株式等に変化が生じた場合や株券の差替えが必要となった場合、担保財産の変更又は一部解除に伴い特例受贈非上場株式等のすべてが担保として提供されていないこととなった場合、措置法規則第23条の9第26項に掲げる担保として不適格な事由が生じた場合などを想定している。
 したがって、認定贈与承継会社の業績や資産状況の変動に伴い非上場株式等の評価額(株価)が減少した場合は該当しないことに留意する。
 なお、当該事由が生じた場合には、みなす充足が適用されなくなるため、措置法第70条の7第14項第3号に該当し、担保として提供された財産の価額が必要担保額を充足しないと認められる場合等には、国税通則法第51条第1項の増担保等の要求手続きにより担保の差替え(上記事由により新たに取得した非上場株式等の提供)等を求めることができる。